Question
年収800万円のマイホーム購入、住宅ローン控除と頭金の関係について
※相談者プロフィール
年齢:30代
未既婚:夫婦
子ども:なし
住居:賃貸マンション
職業:会社員
世帯年収:600万円~800万円未満
借入有無:なし
2021年12月31日までに入居する、条件を満たした物件が受けられる住宅ローン減税は、年末のローン残高の1%が10年間です。対象となるローン残高は一般の住宅で4,000万円、認定長期優良住宅など性能が高い住宅だと5,000万円までです。
例えば1月に4,000万円の住宅ローンを組んで、12月末の残高が3,900万円になっていたら、減税される金額は39万円(3,900万円×1%)となります。
仮に4,000万円を金利1.5%、35年返済した場合、月々の返済額は122,474円、総返済額は約5,144万円です。500万円頭金を入れて3,500万円を同様に35年返済すると月々の返済額は107,165円、頭金も含む総返済額は約5,001万円です。
頭金を入れずに返済開始10年経過後に期間短縮の繰上返済をすると月々の返済は変わらず122,474円ですが、総返済額は約4,943万円になります。頭金を入れていないことで10年間は500万円多くローンを借りていることになるため、10年間で50万円、より多く減税されます。
ただし、この話には少し落とし穴があります。
頭金をいれて3,500万円を借りる場合、35年返済にするのではなく、頭金を入れなかった場合の月々の返済額と同程度になるように期間を短くするとどうでしょうか。
例えば、返済期間を29年と短くすると、月々の返済額は124,093円、総返済額は約4,818万円となります。
頭金を入れずに10年経過後繰上返済をした場合の約4,943万円から、多く減税を受けた50万円を差し引いた約4,893万円よりも、総額は抑えられる結果になりました。
つまり、今回の金利条件だと、頭金を入れるなら、入れない場合と月々の返済額が同等になる程度まで期間を短くするなら有利ということがいえます。頭金は入れたものの、返済期間は長いままにするくらいなら、頭金を入れずに10年後に繰上返済をした方が理論上はお得です。
後はその500万円が10年間、手元にある方がいざという時に対応ができるのか、月の返済額が10万円や12.2万円は大丈夫だけど、12.4万円はつらい、などの家計状況に応じて無理がない組み合わせを、住宅ローンシミュレーションサイトなどを使って試算し、探していくことがお勧めです。
総額を抑えることだけがベストとは言えません。毎月の返済に無理をしすぎない範囲で期間を短くし、ゆとりがある時に繰上返済を行うなどでコントロールができると理想的です。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳のとき、貯金80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです—お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか—(祥伝社)』、『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』などがある。