Question

介護負担額の控除やそのリスクに備える保険について

介護による費用の控除について法律で変わるかもしれない、という話題をテレビで見かけたのですが、どのように変わっていく予定なのか、また先にリスクに備えて入って置ける保険などがあったら教えていただけますでしょうか。

※相談者プロフィール
・年齢:40代
・未既婚:既婚
・子ども:なし
・住居:持ち戸建(自己)
・職業:会社員
・世帯年収:1,200万円~1,500万円未満
・借入有無:あり

 

Answer

介護認定された場合、介護保険を活用することで一定のサービスを自己負担1割(受給年金のみで年間280万円以上など一定以上の所得がある場合は2割)で受けることができます。

要介護度は要支援1~要介護5まで7段階の認定があります。要支援1なら約5万円、要介護5なら約36万円までのサービスを約5千円や約3.6万円(一定以上の所得の場合1万円や7.2万円)で受けることができます。介護保険制度をつかって利用するサービスのうち、療養に関する内容は医療費控除の対象になります。

定められているサービス以外は自己負担となることや、要介護度が高く多くのサービスを必要とする場合、1割とはいえ自己負担額もかさみます。介護期間の平均は約5年というデータがありますが、仮に月々必要となる介護関連費用が5万円程度とすると、合計で約300万円(5万円×5年間)必要です。

親の年金や貯蓄などでまかなえる場合もありますが、必要な金額として意識しておけると心強いですね。

介護保険料は40~64歳が負担していますが、2017年8月から主に大企業の会社員の負担が4年間かけて段階的に引き上げられることになりました。労使合計で平均月727円の負担増の計画です。

ひと月あたりの医療費自己負担額に上限をもうける「高額療養費制度」があります。70歳以上では、標準的な収入(住民税が課税されていて年収約370万円未満)の場合、入院と外来(世帯合算)で月4.4万円、外来のみ(個人ごと)で月1.2万円を超えると払い戻しを受けられます。この上限額の引き上げも最近決まりました。


2017年8月からは入院と外来では月5.76万円に、外来のみについては1.4万円に引き上げられます。外来のみの上限額は2018年8月からはさらに1.8万円となります。

少子高齢化で、保険料を納める人が減り、保障を受ける人が増えるため、今後も受けられる保障を減らし、自分で備える必要性が増す傾向と考えられます。


一方で、公的な介護保険や健康保険は税金で補填されていて、被保険者にとっては通常、民間の保険商品よりも有利な内容になっています。公的な介護保険で足りない分を民間の介護保険などで検討するようにしましょう。貯金が十分にある状態であれば、民間の介護保険ではなく貯蓄で対応可能なことも。


民間保険は、今すぐ介護が必要になった場合に手元資金が心許ない場合に検討し、ゆくゆくは備えている貯蓄で対応できる状況を作る方が家計としては有利なことが多いでしょう。

回答者:フィナンシャルプランナー 風呂内 亜矢さん

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳のとき、貯金80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです—お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか—(祥伝社)』、『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』などがある。

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