Question
iDeCoによって大学の給付型奨学金の額が変わる可能性は有りますか? -
年齢:40代
職業:会社員
世帯年収:400万円未満
ペンネーム:umi
確かにiDeCoで資産運用をすることで、所得控除が受けられ、住民税の額が変わることもありますが、そのことで奨学金が全額給付の対象(第1区分)となるかは断定が難しそうです。
日本学生支援機構が給付型奨学金の区分を判定する際、所得からiDeCoなどの「所得控除」を差し引いた「課税標準額」などが使われています。iDeCoを行うことで課税標準額が引き下がるため、奨学金の支給において、判定が有利に働く可能性があります。
なお、ふるさと納税や住宅ローン減税等の「税額控除」を受けている場合は、市区町村民税が非課税であっても、対象とならない場合があるとされています。つまり、何らかの控除をもって非課税となっている場合には全額給付の対象とならない場合があること、この基準が来年など将来、変わらないとは言い切れないこと、などが懸念されます。
実際に給付される奨学金は自宅から国公立大学に通う場合で考えると、全額給付の第1区分では月額2万9,200円、2/3給付の第2区分では月額1万9,500円となり、9,700円の差となります(私立や自宅外など組み合わせで金額も異なります)。仮にiDeCoを満額で月2万3,000円とした場合、そのお金は将来のための貯蓄ではありますが、足下の家計の手取りとしては1万3,300円、少なくなります。
不確定要素がある中で決断するには、給付型の奨学金が第1区分にならなかったとしても、iDeCoそのものに魅力を感じているかを一考してみることが重要かもしれません。
なお、我が家の今の状況で具体的にどうなるか知りたい場合は、学校経由で日本学生支援機構に問い合わせるなどの方法があります。
お子さんが学校に通われている間に、umiさんご自身の収入が変動する可能性もあるでしょうし、控除をどう考えるかの審査の基準が変わることも考えられます。第1区分にならなくても、あるいは途中から第1区分から外れてもiDeCoを続けられそうか、考えてみるのがおすすめです。なお、iDeCoは月5,000円など拠出額を下げることもできるので、厳しい時期は金額を調整することもできます。一方で、そのことによって奨学金の判定区分が変わる可能性もありますし、iDeCoの口座維持には手数料がかかるため、拠出額に対して手数料の割合を下げるという観点だと、可能であれば月1万円程度の拠出を継続できると理想的であるという点もふまえて検討できると良いですね。
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風呂内亜矢さん
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。
26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)#なぜたま!』などがある。
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