冷凍食品は「手抜き」ではなく「手間抜き」!上手く活用することで、コスパ・タイパの良い生活を送ろう
冷凍食品は「手抜き」ではなく「手間抜き」!上手く活用することで、コスパ・タイパの良い生活を送ろう
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
2020年8月、「冷凍餃子」「手間抜き」という話題がX(旧Twitter)でトレンド入りしたことを覚えていますか?ある女性が投稿した冷凍餃子を食卓で出すことは手抜きなのか、という話題に対してさまざまな意見が交わされ、味の素冷凍食品株式会社の公式アカウントが発信した「冷凍餃子を使うことは、手抜きではなく、“手間抜き”です」という内容が大きな反響を呼びました。今回は、冷凍食品のトレンドや、家計節約という観点から見た活用法、魅力について、冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんにお話を伺いました。
コロナ禍で一気にユーザー増。家庭用冷凍食品の変遷
マネ活編集部:最近はいろいろな冷凍食品があり、普段から活用している人も増えているのではないかと思います。ここ数年の業界の流れ、トレンドの変遷について教えていただけますか?
山本さん:家庭用冷凍食品の注目度が高まったのは、2015年ですね。春に大手メーカーの冷凍炒飯が大リニューアルされ、同年夏には別の大手メーカーの冷凍炒飯が大人気を博し、「炒飯戦争」と呼ばれるほど話題となったのです。この盛り上がりは、メーカーが男性需要の開拓の可能性に気付くきっかけにもなりました。
マネ活編集部:もう10年ほど前から盛り上がりを見せていたのですね。
山本さん:はい。その後、2016年11月にはフランスの冷凍食品専門店の1号店が出店し、2017年ごろからはコンビニも冷凍食品売り場を本格展開し始めました。2018年秋には大手生活雑貨・食品メーカーも冷凍食品に参入、「キンパ」が大ヒットし話題となっています。
2019年12月には、大手チェーンレストランが外食品質の冷凍食品シリーズを販売。このような話題から、生活者の冷凍食品に対するイメージも変化していきました。そこにやってきたのが、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックです。
マネ活編集部:外食はもちろん、緊急事態宣言中は買い物にも気軽に行けませんでしたね。
山本さん:食事は家庭内で、食品は買い溜めておくという状況でしたよね。そこで生活者が選んだのが、「長く保存できておいしい」冷凍食品だったのです。この時、それまで冷凍食品になじみがなかった方が購入し、品質やコスパの良さに驚いてファンになるという現象も起きています。結果、冷凍食品ユーザーの増加、需要の底上げにつながったのです。
冷凍食品といえば、主婦/主夫が家族のために買い求め、主にお弁当のおかずに使うものと認識されていました。それが、老若男女、誰もが自分の食べたいものを買うという食品になっていったのです。
マネ活編集部:コロナ禍が落ち着いた今も、需要に変化はないのでしょうか。
山本さん:変わらず需要があります。物価高騰の流れは冷凍食品業界にもあるのですが、それでもコスパの良い食品と認識されているようで、需要は大きく落ち込んでいません。節約のために外食を控えている中でも、冷凍食品であればリーズナブルに外食レベルのおいしさを楽しめるという認識も広がっています。
マネ活編集部:最近のトレンドはありますか?
山本さん:以前からあったものですが、2023年春ごろからワントレー(ワンディッシュ)商品が需要を伸ばしています。主菜と副菜がセットになったおかずセットタイプ、主食もついているお弁当セットタイプ、丼タイプ、カレーライスなどで、数分間のレンチン1回で1食が整う商品ジャンルです。
マネ活編集部:手軽にバランスの良い食事がとれますね。
山本さん:主食、主菜、副菜を1食分揃えるのは手間と時間がかかりますし、食材を揃えるコスト、使い切れない場合はフードロスにもつながります。ワントレー商品は400円前後、宅配向けでも1,000円以下とリーズナブルです。さらに調理時間は数分と、コスパもタイパ(タイムパフォーマンス)も良いといわれるようになりました。
タイパに関しては、総菜や弁当より冷凍食品はタイパが良いというアンケート結果もあるんですよ。
マネ活編集部:意外です。温めずに食べられることを考えると、総菜や弁当のほうがタイパは良さそうなイメージなのですが。
山本さん:不思議ですよね。なぜこんな結果が出ているかというと、冷凍食品は買い溜めして自宅にストックできるからだと思います。1日自宅にいる場合、総菜や弁当は買いに行かなければなりません。でも、冷凍食品であれば、出してレンチンすればすぐに食べられる。買い出しの時間も含めると、冷凍食品のタイパが良いということになります。
マネ活編集部:自宅でリモートワークをすることを考えると、確かに家から出ずに食べられるほうが時短になりますね。購入される方の属性に変化はありますか?
山本さん:あるメーカーの研究結果で、昨年ごろからユーザー層の幅が広がっていることがわかっています。それまでは主婦/主夫層のランチ需要が主力なのではと考えられていたのですが、今はシニアの夫婦や一人暮らしの方も好んで購入されているようです。特にシニアの男性は調理に苦手意識を持っている方もいますので、一皿で食べられる商品は需要にあっているのでしょう。男性に好まれるコンセプトの商品をメーカーが販売したのも、男女問わず広がりを見せている理由だと思います。
山本さんおすすめ!冷凍食品の活用アイディア
マネ活編集部:日々の生活に賢く冷凍食品を活用するには、何をどう使うのがおすすめですか?
山本さん:コスパ良し、タイパ良しは冷凍めん類ですね。コロナ禍以降、需要増アイテムの筆頭は「うどん」なんです。あたたかいメニューはもちろん、冷たいメニューもレンチンして水で冷やすだけなので、手軽です。夏場に冷たいめんメニューを作るのは、お湯を沸かして茹でて水でしめるという重労働をともないますが、冷凍うどんであれば労働力も調理のエネルギーコストもリーズナブルですよ。
マネ活編集部:最近は光熱費も上がっていますし、茹でるよりもレンチンのコスパが良いかもしれないというのはうなずける話です。おすすめのアレンジはありますか?
山本さん:卵とめんつゆでたまごかけうどん。冷たいうどんでおすすめなのは、納豆とオクラ、ネギ、キムチ、めんつゆを使ったスタミナうどんです。オクラもネギも、刻んだ状態の冷凍食品があるので、そちらを使えばコスパもタイパも良いですよ。材料費は200円以内、調理時間は5〜6分です。
マネ活編集部:オクラやネギも冷凍食品を使えば、包丁を使う必要もないですね。
山本さん:具がセットになったうどん、パスタ、ラーメン、そばもおすすめです。ラーメンは人気店監修の商品が400円前後で購入できますよ。
ほかにも、活用しやすいのは冷凍野菜ですね。これは単身の方におすすめです。冷凍野菜であれば、生ごみも出ず無駄なく使え、いつでも旬の味わいを楽しめます。なお、冷凍野菜をおいしく食べるには、加熱度合いが重要です。冷凍野菜は下茹でがされているため、生鮮からの加熱を10としたら2ぐらいでOK。シャキッとした食感を楽しめますよ。
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家計の節約を叶える冷凍食品の活用法
マネ活編集部:冷凍食品を上手く使えば、時間もお金も節約できることがわかりました。そのほか、家計節約につなげるための秘訣、注意点はありますか?
山本さん:冷凍食品は、いかに外気に触れさせないかが重要です。買った時は、自宅まで保冷状態のまま持ち帰ること。そして、帰宅後は真っ先に冷凍庫に入れること。アイスクリームと同じで、溶かさないことがおいしく食べられて有効に活用できる秘訣なんです。
冷凍庫で保管する際は、中を4つの区間にざっくり分けておくと、在庫の把握がしやすいですよ。この4つの分け方に決まりはなく、ご自身の使いやすい形でOKです。例えば、主食系、おかず系、めん系で分ける、などですね。なぜ分けておきたいかというと、出し入れの時間をできるだけ短くしたいからなんです。
マネ活編集部:出し入れ時間が長くなると、冷凍庫内の温度が上がってしまうからですね。
山本さん:そのとおりです。使いかけのものは取り出しやすい場所に動かしておくなど、工夫してみてください。小分けにして使う時は、残ったものの空気をできるだけ抜き、密閉、さらにジップ袋に入れても良いでしょう。それを冷凍庫にしまってから、調理を始めてください。とにかく「できるだけ外気に触れさせない」「溶かさない」ことが重要です。なお、冷凍庫はぎっしり詰まっていると冷凍効率がより良く、長く品質を保てますよ。
マネ活編集部:ここを押さえておけば、業務用の大容量のものも家庭で活用できそうです。
山本さん:大容量の冷凍食品は、割安感があるので人気があります。ただ、使い切るサイクルだけは意識しておいていただきたいです。「冷凍庫に入れていればいつまででも保存可能」と思われている方もいるのですが、それはあくまでも業務用冷凍庫の温度で、かつ密閉されたままの状態である場合に限ります。業務用冷凍庫より温度が高く、かつ開閉される家庭用冷凍庫では、買って1〜2カ月で消費するのが基本です。
注意点としては、調理方法ですね。商品に記載されているワット数、時間を守ることがおいしく食べる秘訣です。「ワット数を高くしたほうが時短できるのでは」と考える方もいますが、それは失敗のもと。もったいないですよ。
マネ活編集部:ホームフリージングについてはいかがでしょうか。良い活用方法はありますか?
山本さん:うっかりカピカピにさせてしまうニンニク、しょうがは冷凍保管がおすすめです。あとはスイーツですね。スポンジケーキ系は何でも冷凍できますし、あんこ系の和菓子、おもちなんかも冷凍できます。食べる時は、スポンジケーキ系は軽くレンチンして置いておけばOK。おもちはレンチンするとつきたて感を味わえますよ。
冷凍する時は「おいしいうちに」が鉄則です。ご飯やパンは炊き立て、焼き立て、買ってきた日のうちに、粗熱を取って冷凍しましょう。このとき、ステンレスがついているところに置いて、上に保冷剤を載せてあげると、ほかの冷凍食品に影響が出にくいのでおすすめです。
あとは、しっかり密閉すること、平らにすること。空気は酸化の原因になるので、できるだけ抜くことが大事です。平らにするのは、冷凍スピードを速くしたいからですね。また、薄い状態で冷凍しておくと、割って好きなだけ出せるので、使うときにも便利です。
なお、冷凍食品は1〜2カ月で使ってほしいとお話ししましたが、ホームフリージングのものは2〜3週間を目途に使い切ってください。週末に肉や魚に下味をつけて冷凍し、平日に使い切るといったサイクルがおすすめです。
〔写真:エフエフプレス掲載「冷凍生活アドバイザー西川剛史の西川式ホームフリージング」より〕
冷凍食品は「時空間超越システム」。上手く活用して豊かな食卓作りを
マネ活編集部:長年冷凍食品を見てこられて驚いたものはありますか?
山本さん:ここ数年で驚いたのは冷やし中華ですね。レンジは氷を苦手とするという特徴を生かして、1度のレンチンでめんと具を解凍、溶け残った氷でめんを冷やして冷やし中華を完成させるという素晴らしい商品なんです。発売されたのは2年前で、昨年、今年とリニューアルを続けています。暑い時期に暑い思いをせずに3分でひえひえの冷やし中華が食べられますよ。
マネ活編集部:ぜひ試してみたいです。「こういうものが出てほしい」と思うものはありますか?
山本さん:本当にあらゆるものが冷凍食品になっているので、もう驚かなくなってきています。ただ、いまだないのは生野菜なんですよね。これだけは克服できないだろうと思っています。
ただ、温野菜サラダには可能性を感じています。一部すでに出しているメーカーもあるのですが、温野菜パックの冷凍食品が増えてほしいですね。スチームして冷凍した野菜は茹でたものよりもおいしいですし、何種類かミックスされていれば野菜不足の解消にも役立てられます。コスパもタイパも良しと、良いこと尽くめだと思いますね。
マネ活編集部:ありがとうございます。最後に、読者にメッセージをお願いいたします!
山本さん:1食完結商品が流行していますが、バランスの良い食生活を送るのは自己責任。普段の食事に手間抜きの冷凍食品をちょい足しし、足りないものを補うと、食卓を整えやすいですよ。例えば、冷凍餃子を焼きながら生野菜サラダを作り、豆腐や残りもの野菜を入れた具沢山味噌汁を作れば、10分ほどで食事を用意できます。レンチンだけで食べられるのも冷凍食品の魅力ですが、上手く活用するには、家庭での調理と上手く組み合わせることが重要です。
冷凍食品のメリットは、「時間を止めて空間を超越できる」こと。このメリットを利用しない手はありません。市販の商品、ホームフリージングともに、上手く活用して豊かな食卓を作っていただきたいですね。
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