社会人経験ゼロの主婦から始めた「稼げる仕事」づくり!フリーライター卯岡若菜さんに聞くスタートのコツ

リリース日:2021/12/03 更新日:2022/06/06

育児をしながら働きやすい環境の整備が急がれています。しかしあるアンケートでは、産後も仕事を続けたいと考える女性が約8割なのに対して、仕事を再開することを不安に感じている方も約8割いるという結果が出ています。マネ活読者の皆さんの中にも、育児中の仕事をどうするか悩まれている方もいらっしゃるのでは。今回は、2児の母であり、社会人経験ゼロの中、独学でインタビューライターとしてキャリアを作ってこられた卯岡若菜さんに、仕事をつくるコツやそのメリットを伺います。

更新日:2021/12/3
  1. 産後、未経験からフリーのライターに
  2. 自分らしい発信と人とのつながりが仕事に
  3. 選択肢が広がり、家庭のピンチを回避
  4. 選択肢の中から光を探して、今を楽しむ

産後、未経験からフリーのライターに

マネ活編集部:卯岡さんのお仕事を教えてください。

 

卯岡:フリーランスで、いろいろな方を取材して記事を執筆するインタビューライターをしています。看護師さんや保育士さんの求人媒体や、企業のオウンドメディア、中学受験を目指す親子向けのメディアなど、紙、ウェブ問わず、様々な媒体の記事を書かせていただいていますね。

 

企業さんから直接お仕事をいただくこともありますが、お取引が多いのはいろいろなメディアからの制作依頼を受けてコンテンツを作る制作会社さん。だいたい4~5社とお仕事させていただいています。月にだいたい20本ほど記事を作っています。

 

マネ活編集部:20本!土日を除くと、ほぼ毎日記事を書かれているんですか?

 

卯岡:そうですね、ただちゃんと夜は寝ていますよ(笑)。基本的には平日の朝から稼働して、18時30分ごろまでには仕事を終えるようにしています。ただ、「文章を書くのは筋トレ」と言う方もいるように、書かない時間が長いとアクセルが踏みにくくなると感じているので、土日も短時間は稼働するようにしています。

 

マネ活編集部:フリーランスという働き方の良さ、大変さはどんなところにありますか?

 

卯岡:大変なのは、一人一人スタイルが違うので、自分はこれでいいのか常に問い続けなければならないところですね。「この賞や資格をとったら良い」というのがありませんし、例えばライターだったら自分の名前や顔を出してエッセイストに近い活動をされている方もいらっしゃれば、名前も顔も出さないけれどたくさんの企業案件を受けて稼いでいる方もいらっしゃる。いろいろな道筋があるので、自分は何がやりたいのか、何が向いているのかを確立できないと悩んでしまうと思います。

 

一方で良いところは、様々な案件を受けられて評価が分散するところ。会社に勤めていると安心感はありますが、ひとつうまくいかなかったらそこでの評価が絶対になってしまいます。フリーランスでいろいろな会社さんとお付き合いをすると、A社ではうまくいかなくてもB社だと絶賛されるというようなことがよくあるので。気持ちの切り替えができますし、自分を客観的に見て合うところとお仕事しやすくなると思います。

 

それから、私にとって大きかったのが、キャリアがなくてもチャンスがあることです。私は大学を中退して結婚し、専業主婦をしていました。女性で母親で、華々しいキャリアが何もないので、この仕事じゃなかったらここまでしっかり収入を得られていなかったと思います。

 

マネ活編集部:出産されたあと、専業主婦からフリーライターの仕事を始められたんですね。きっかけを教えてください。

 

卯岡:私は23歳で結婚し、2人の子どもを授かりました。家計が厳しく、最初はアルバイトを始めました。午前中にお弁当、午後に新聞を配る仕事です。配るのが好きなんだねと友達に言われましたが(笑)、そういうわけではなくて、格安の託児所がついていたから選びました。

 

しかし、下の子が幼稚園に通うようになったことと、夫が好きな仕事をするために飲食業界へ転職したことが重なり、それだけでは収入が足りなくなったんです。これ以上の掛け持ちは無理だし、今後子どもが小学生になったらもっとお金がかかる。子育てしながらできる仕事はあるか?と調べ始めました。

 

私の場合、実家が遠いから子どもを預けることも難しく、子どもが熱を出すなど何かあったとき稼働するのは自分だったんですよね。だから会社で働くのは無理だと思いました。大学を中退しているので学歴も高卒ですし、採用されるような履歴書でもありません。自分が持っている選択肢の中で絞って選んでいく感覚でしたね。

 

そこで、当時流行っていたクラウドソーシングの中でライターという仕事を見つけたんです。もともと文章を書くのは好きで、趣味でブログを書いていました。夫も好きな仕事をするために転職したし、自分だけ家計のためだけの仕事をするのも違うなと思い、じゃあ好きなことを仕事にしてみようとライターを始めました

 

卯岡若菜さん

自分らしい発信と人とのつながりが仕事に

マネ活編集部:未経験からどうやって仕事を作っていったんですか?

 

卯岡:最初はハードルが低そうなクラウドソーシングに登録しました。1文字が1円にも満たないようなあまりにも単価の低い案件は避けながら、コツコツ受注し実績を作っていったんです。価格以外にも、自分の興味の向かない仕事は受けないようにしていました。いくら単価が良くても、興味がないと続けられないと思ったので

 

同時に、ツイッターやnoteでの発信を始めました。ブログのような感覚でありのままを書いていましたね。ツイッターでは良いなと思う方に積極的にリプをして、つながりを作っていきました。

 

そこからライターや編集者同士の交流会があることを知り、参加するように。情報交換をする中で、フリーの編集者の方とお知り合いになり、担当されているメディアの仕事をいただけることになりました。そこから別のメディアも紹介していただき、制作会社さんや企業さんと直接お仕事できるようになっていったんです。

 

マネ活編集部:発信や人との交流からお仕事に繋がっていったんですね。それぞれ、気をつけていたことはありますか?

 

卯岡:発信では、ありのままを心がけていました。ライターなんだからもっと構成を考えろというご指摘もあると思いますが、あまり作り込まず(笑)。でもそれを続けた結果、人柄や価値観などが伝わって、今はSNS経由でもお仕事のご依頼をいただくようになっています。「考え方が合う人と仕事をしたい」と考える方もいらっしゃるので、無理なく気持ちや考えを発信するのもありだと思います。noteやブログはライターにとって、編集を介さない文章はこんな感じです、と見ていただくポートフォリオにもなるので活用するのがオススメですね

 

人との交流でも、仕事と結びつけるのではなく、純粋に友達になれそうな人と話すようにしていました。そうやって繋がった人と、仕事を探している時に声をかけたりかけられたりして仕事しています。

 

マネ活編集部:仕事をする上で大事にされていることは?

 

卯岡:まずは基本的なことですが、納期を守ること。それから私は雑談が弾む相手とのお仕事はうまくいくなと感じています。特にコロナ禍でリモートがメインになってからは、お互いに心理的安全性があることがより大事になっていると思いますね

 

また、一社だけではなく複数社で働くことも大事にしています。そうすると自分の仕事の相場観も見えますし、編集さんが何を考えているかも掴みやすくなります。比較しながら自分に合うコミュニケーションスタイルを見つけられるのも良いですね。

選択肢が広がり、家庭のピンチを回避

マネ活編集部:仕事をしてみて、家庭とのバランスはいかがでしたか?

 

卯岡:最初は、仕事をすることをなかなか理解してもらえませんでした。仕事を始めても家庭のことは私がやるのは変わらずで、子どもが散らかすのを片付ける暇もなく、家事が回らないと感じました。でもある程度稼げるようになると、自分のお金でご飯を買って帰ったり、外で食べて帰るという選択ができるようになりました。収入が増えたことで、精神的にも安定しましたね。

 

そんな中でコロナ禍になって、飲食業界で働いていた夫が退職することになったんです。私がメインで仕事し、夫が家事を担うことになりました。家のことをやり始めてから、夫も子どもたちと向き合う時間ができましたし、私も母親が過干渉になりすぎないことの大切さを感じています。

 

私自身、夫の収入があったから比較的好きなことを仕事に選ぶことができました。だから夫にも、収入のためだけでなくやりたいことを軸に仕事を選んで欲しいと伝えています。仕事をしていなかったら、夫にそう言うこともできなかったと思います。仕事をしたことで、確実に選択肢が広がりましたね

 

昔話ではよく「夫は山へ芝刈りに、妻は川で洗濯に」出かけますが、別に妻が芝刈りに行っても、夫が洗濯をしてもいいと思うんです。無意識のうちに男性だから仕事しなきゃ、女性だから家を守らなきゃと思ってしまいがちですが、その役割や形は家庭や状況によって違うはず。流動的に変わっていくのが普通だし、そんな姿を子どもたちにも伝えたいと思っています。

 

卯岡若菜さん

選択肢の中から光を探して、今を楽しむ

マネ活編集部:仕事をしたことで、選択肢が広がったんですね。産後に仕事をすることを不安に感じる方も多いと思います。これから仕事を始める方にメッセージをお願いします。

 

卯岡:働ける状況にあって、働きたい気持ちがあるなら、とりあえず動いてみたほうが悔いはないと思います。もちろん、今この状況で動けない、無理だと感じる場合は働く必要はありません。ただその場合も、誰かに無理だと言われたからではなく「自分で決めた、自分で選んだ」と思えることが大事だと実感しています。誰かのせいにすると短期的には楽なのですが、そのあと結局しんどくなってしまうので。

 

状況が99%無理でも、1%は自分で選べる部分があるかもしれない。それを探してチャレンジしてみることで、自分が納得できる選択ができるんじゃないかと思います。今は選択肢がすごく狭くても、子どもが育つと広がっていくので、その時々で選択し直すこともできます。状況の中で選択肢が狭まって大変なこともあるけれど、その中でも探していけば、希望の光はあるはず。まず動いてみると、運と縁が生まれます。それに助けられてきたと思っています。

 

あとは、無理はしすぎず、健やかであることを大事にしたいですよね。私は子どもたちにも「ママも人間だからさ」「今日は仕事がピンチだから早くご飯食べて寝ようね」と率直に言うようにしています。ちゃんとしようと思うと自分が辛くなってしまうので、大人だってちゃんとしていないってことは伝えていこうと(笑)。一方で、自分で決めたことはちゃんとやる、そんな部分も見せていければと思っています。選択肢の中から光を探して進んでいって、子どもたちに「大人は大変だけど楽しいよ」と伝えていきたいです

卯岡若菜
この記事を書いた人
卯岡若菜

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

さいたま市在住のフリーライター。某心理学系大学中退。2児の母。未経験からインタビューライターになる。生きる・働く・ジェンダー・福祉・教育・歴史など幅広い興味関心を生かして多ジャンルの記事を手がける。

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