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マネ活女子 必見! 映画コラムニスト・新谷里映さんセレクト 「お金の使い方を考える」映画5選!
映画館やBlu-rayだけではなく、サブスク配信サービスでも気軽に楽しめるようになった映画。そんな映画を観ながら「お金の使い方」について考えてみませんか?映画コラムニスト・ライターとして活躍されている新谷里映さんに、マネ活女子におすすめの映画作品をセレクトしていただきました。
プロフィール写真:平岩 亨
近年、注目されている題材は「ジェンダー」。LGBTQや女性の生き方を描いた作品に良作あり
マネ活編集部:新谷さんの肩書きとしては、映画コラムニストまたは映画ライターとなるかと思うのですが、お仕事の内容を教えていただけますか。
新谷:私の仕事内容は大きく分けて4つあります。1つ目は映画の紹介です。映画公開前に試写で映画を観て、雑誌やウェブメディアなど、掲載先に合わせて映画をセレクトして紹介する仕事ですね。2つ目は俳優や監督へのインタビュー。3つ目は映画業界ではオフィシャルライターと呼ばれる仕事なのですが、邦画の撮影現場に参加し、マスコミ向けのプレス資料や劇場用パンフレットの文章を作成する仕事です。4つ目は洋画邦画問わず、トークイベントでのMCとして、イベントの場を仕切る仕事になります。
マネ活編集部:映画コラムニストになったきっかけは何だったのでしょうか?やはり昔から映画がお好きだったのですか。
新谷:中高生の頃から映画好きでしたが、映画コラムニストになろうと思っていたわけではないんですね。地元・新潟の小さな出版社で編集者として情報誌やサブカル誌を担当していたのですが、人事異動の関係で映画ページも担当することになったんです。その仕事がきっかけで、独立して映画の仕事に集中していきたいなと思って。29歳のときに会社を辞め、東京に出てきてフリーのライターになったんです。
マネ活編集部:映画をお仕事にするには知識が必要かと思うのですが、どのように知識を深掘りされていったのでしょうか。
新谷:もともとはハリウッドの大作を中心に楽しむ洋画派で、マニアックなレベルの知識は全然ありませんでした。出版社の仕事で映画を担当してから、昔の邦画も含め幅広く観るようになって知識を増やしていきましたね。
マネ活編集部:難しいと思うのですけど、これまでに観られた映画の中で人生を変えた一本を挙げるとしたら、どの作品ですか?
新谷:『愛と哀しみの果て』という、ロバート・レッドフォードとメリル・ストリープ主演のアカデミー受賞作品ですね。私が映画を積極的に観るようになったきっかけの一本です。
これは15、16歳頃の話なんですが、もともとは『愛と青春の旅だち』というリチャード・ギア主演の作品を借りにレンタルショップに行ったんですよ。でも、ちょうどそれが借りられていたんです。代わりに近くにあったのが『愛と哀しみの果て』。これもアカデミー賞作品だし、同じ「愛」がつく作品だし、ということで借りたんです(笑)。
そこから、主演のロバート・レッドフォードやメリル・ストリープの出演作を遡って観て、次は監督のシドニー・ポラックの別作品を…と、どんどん観る作品が広がっていきました。
マネ活編集部:偶然の出会いから興味が広がったのですね。映画には時代ごとに流行があるかと思いますが、最近の傾向について新谷さんはどう見られていますか?
新谷:莫大な予算を掛けてメジャー俳優が出ていて、というザ・ハリウッド大作は減ってきている気がします。最近では、よりパーソナルなテーマを扱う作品、たとえばLGBTQやジェンダーについて丁寧に描く作品が増えていると感じますね。
特に、女性同士の連帯を描いた映画やシスターフッドを感じさせる映画、女性の社会進出や格差など、女性に関連する問題を取り入れた作品が増えていると感じています。「#MeToo」運動の影響も少なからずあるのかもしれません。特に海外作品にその傾向が見られますね。
マネ活編集部:最近の傾向に該当する作品で、おすすめ映画を教えてください。
新谷:最近公開されたの作品だと、韓国映画『サムジンカンパニー1995』。平社員のOLたちが会社の不正を暴いていくコメディタッチの作品です。フランス映画『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』という、ゲイのアマチュア水球チームの奮闘を描いた映画もおすすめ。クスッとするコメディ感と大切なことに気づかせてくれる感動があって、楽しめる作品だと思います。
邦画では、2021年に公開された『あのこは貴族』。まったく異なる生き方をする2人の女性が自らの人生を切り拓こうとする姿を描いた作品でおすすめです。他にもここ数年に公開されたもので、以下をはじめ、観ていただきたい作品がたくさんあります。
◉『ビリーブ 未来への大逆転』(監督:ミミ・レダー/2018年製作)
◉『RBG 最強の85才』(監督:ベッツィ・ウェスト他/2018年製作)
◉『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(監督:グレタ・ガーウィグ/2019年製作)
◉『82年生まれ、キム・ジヨン』(監督:キム・ドヨン/2019年製作)
マネ活編集部:わ〜!興味のある作品が多いです! 人によっては映画監督を追って作品を見る方もいると思うのですが、個人的に注目されている監督はいますか?
新谷:ヨルゴス・ランティモス監督ですね。ギリシャ出身の監督で、アカデミー賞にノミネートされた『女王陛下のお気に入り』で注目されました。個人的には『ロブスター』が特におすすめ。ある条件のもと独身者は動物に変えられてしまうという設定なのですが、脚本の強烈な世界観を、この監督は「こうまとめたのか!」という衝撃が走りました(笑)。次にどんな作品を手掛けるのか、楽しみにしている監督の一人ですね。
邦画界では、近年増えてきている女性監督たちに注目しています。大九明子監督や三島有紀子監督は、個人的にとても好きな監督です。
マネ活編集部:俳優さんに関してはいかがですか?
新谷:いま注目している若手俳優はたくさんいますが、最近だと、特に金子大地さんと清原果耶さんですね。金子さんは、2021年に公開された『猿楽町で会いましょう』や、公開予定(2021年8月時点)の『サマーフィルムにのって』と、主役・準主役の作品が続くため、ブレイクの年になるんじゃないかなと。
清原さんは、2021年前期のNHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』のヒロインを演じられているのでご存知の方も多いでしょうか。映画では『まともじゃないのは君も一緒』、山崎賢人さんと共演する『夏への扉 キミのいる未来へ』、声優を務めたアニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』に出演されています。彼女も今年、主役・準主役級の作品が多く、気になり続けている存在ですね。
選考委員を務める日本映画批評家大賞 受賞式での新谷さん(写真提供/日本映画批評家大賞)
さまざま角度から「お金の使い方を考える」映画5選!
美人のマネ活の読者のみなさんに向けて「お金の使い方を考える」映画5作品をセレクトしていただきました。新谷さんのコメントとともにご紹介します。
『お買いもの中毒な私!』(監督:P・J・ホーガン/2009年製作)
クレジットカードの上限を超えてしまい、使用が制限されるほどの服好きで、セールとなると飛びついてしまう女性が主人公のロマンチックコメディ。園芸誌の編集者をしていた彼女が経済誌で働くことになったのをきっかけに、カードの使い過ぎについて考え直すようになります。そのドタバタな日常も面白いですし、上司とのロマンスも…。お金の無駄遣いについて、堅苦しくないながらも、しっかり考えさせてくれる映画です。「セール」の文字に弱い人は背筋が伸びるかも?
『マイ・インターン』(監督:ナンシー・マイヤーズ/2015年製作)
『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロの共演作品。仕事とプライベートをどうやって両立していけばいいのか?を、経営者役のアン・ハサウェイの立場になって考えることができる作品。ロバート・デ・ニーロの役柄も見どころです。直接的にお金に関連するというより、「自分が大事にできるものを選ぶ」という観点から楽しんでほしいと思います。ぜひ『お買いもの中毒な私!』とセットで観ていただきたいですね。
『武士の家計簿』(監督:森田芳光/2010年製作)
実は、位が上がるほど出費がかさんでいた江戸時代の武家。その家計管理の裏側をユーモアたっぷりに描いている作品です。主演の堺雅人さん演じる猪山直之の家がどのように家計をやり繰りをしていたのか?ただ我慢するだけではない、本当の意味での「倹約」のヒントを得られると思いますよ。私は家計簿を付けられないタイプなので「ちゃんとつけなきゃ」と反省もしました(笑)。
『365日のシンプルライフ』(監督:ペトリ・ルーッカイネン/2013年製作)
実写の映画化もされているドキュメンタリー映画です。主人公は自分の家にあるものをすべて倉庫に預けて、文字通り「身ひとつ」になって1日1個倉庫から取り出していきます。ものを取捨選択して手放していくのとは逆の発想で面白いですよね。でも、「自分にとって大切なものは何か?」を問うという意味では共通していて、とても考えさせられるんです。
『おいしいコーヒーの真実』(監督:マーク・フランシス他/2006年製作)
この映画を観たあと、私はフェアトレードについて調べ始めました。自分が口にしたり買ったりするものがどうやって作られてきたのかを知ることも、経済を知ることのひとつ。株やその他の投資をするときにも、きちんとした会社に投資したいと思うようになりました。日々の暮らしになじみのあるコーヒーを通して経済を学ぶのもいいのではないかと思い、ピックアップしました。
映画鑑賞で育む「自分軸」。AIに頼らず直感で観る大切さ
マネ活編集部:作品のご紹介ありがとうございました。コメディからドキュメンタリーまで、意外な視点から「お金を考える」ことができそうですね。続いて、映画鑑賞を楽しむコツをお聞きしたいと思います。
新谷:一期一会の出会いを大切にしてほしいと思っています。今はサブスクサービスも増え、「いつでもどこでも映画を観られる」と感じている方もいると思うのですが、映画館で上映した作品が必ずしも配信やBlu-rayになるわけではないんですよね。
ですから、観たいと思ったタイミングで、ぜひ映画館に行っていただきたいですね。今は、コロナの影響で2020年に上映延期になった作品が溢れているので、ヒット作以外は上映期間が短くなる可能性もあります。「また今度」と思っていたら上映が終わっていたということもあるので、気になる映画は逃さず観てほしいなと思います。
また、個人的には誰かのおすすめ作品を観るだけではなく、「自分がいいなと思ったから観る」体験を重ねてもらえたらと思います。映画の予告編を観て面白かったから観てみるとか。直感に従って観ていくうちに、自分の好みもわかるようになっていきますし、好みの映画にたどり着く「直感力」が磨かれていくんですよ。
もちろん誰かの評価や口コミ、ランキングを参考にしたい心理はわかります。映画館で観るには、成人だと2,000円近くかかりますしね。ですから、せめて自宅で観るときだけは自分の「何か引っかかるな」という感覚を大切にして観てほしい。
「つまらないな」と思う映画との出会いもあっていいと思うんですね。自分はどんな作品を面白く感じて、どんな作品をつまらないと感じるのかを知るには、両方を知る必要がある。でも、そもそも作り手は面白いと思って作っているわけですし。そうした感性の違いを批判せず、「こういう解釈をする人もいるんだ」と受けいれられるようになることも、これからの時代に大切な考え方なのかなと思います。
マネ活編集部:AIが「おすすめはこれ」と教えてくれるので、ついそこに頼ってしまいがちなのですが(笑)。
新谷:私も最初はなんて便利なんだろうと思いました(笑)。でも、ふと「この映画、どうですか?」とベルトコンベアーのように流れてくる作品を、与えられるがままに観ることに違和感を抱いた瞬間があって。自分で選ぶ楽しみを奪われているんじゃないか、と考えるようになったんです。AIがすすめてくれる中にももちろん新しい発見はありますが、自分で見つける、探す、という思考を大事にしています。
ただ、同じおすすめでも、「自分と感性が合う」というくくりで、友人、好みのメディアやSNS、趣味のコミュニティなどで知ったおすすめは参考にしてみていいと思っています。受動的なおすすめとは違い、自分の意思で能動的に情報を取りに行っているわけですから。自分のアンテナに引っかかった作品を観て、面白かった、つまらなかったという「自分軸」を育みながら映画を楽しんでほしいですね。
新谷さんが解説記事を担当された書籍『海外名作映画と巡る世界の絶景』(インプレス編集部)
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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