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ヨガ呼吸の実践法も!インド在住・ヨガ哲学講師 永井由香さんに学ぶ、自分との向き合い方
1年以上続く新型コロナウイルスの影響もあり、気づけばストレスが溜まりがちになっていませんか?リモートワークでオンオフの切り替えが難しくなったことで、頭や心の中が常にゴチャゴチャしている…と感じている方もいるかもしれません。 そんな散らかった頭や心を整理するのに役立つのがヨガです。今回はヨガの本場・インドでヨガ哲学講師として活動されている永井由香さんに、ヨガの魅力や、今日から取り入れられる意外なヨガの実践方法についてお話を伺います。
本当にやりたいことをしていれば、たとえ結果がついてこなくても後悔しない
マネ活編集部:永井さんのお仕事「ヨガ哲学講師」について教えてください。
永井:日本ではヨガと聞くと「アーサナ」と呼ばれるポーズを取るイメージをされる方が多いのではないかと思います。実際、日本でヨガを教えていらっしゃる方の多くがアーサナを教えているのですが、インドで生まれた古典的なヨガには哲学的な側面があるんです。
「自分の内面と向き合って自分らしく快適に人生を送る」というのが古典的なヨガの教え。マットの上でアーサナをするだけはなく、日常生活にもその思考を活かしていけるものなんです。私がお伝えしているのは、そうした「哲学」部分も含めてのヨガなので、ヨガ哲学講師という肩書きでインドを拠点に活動しています。
マネ活編集部:そもそも、永井さんがヨガに興味を持たれたきっかけは何だったのですか?
永井:最初に興味を持ったのは中学生の頃。文化的・宗教的なことに関心があったこともあり、たまたま図書館でインドの神様の経典を手に取ったんです。神秘的で面白いなと思いましたね。
ビートルズがインドで音楽を学んだことを知ったり、ジョージ・ハリスンがインドの音楽家と活動していたりということも重なり、インドの思考や文化にますます興味を抱くように。その流れで、ヨガについても学び始めたんです。
マネ活編集部:インドを拠点にされていらっしゃるのも、インドへの興味やヨガ好きなことが理由ですか?
永井:そうですね。日本で就職して働いていたのですが、ヨガ好きが高じ、修行のためにインドに行ったんです。帰国後も学びたい気持ちがどんどん強まり、ビザが切れる半年を目途に日本と行き来するようになりました。徐々にインドへ生活の拠点を移し、2〜3年後には本格的にインドで仕事も始めて、長期滞在ビザも取得したのです。
マネ活編集部:永井さんがそこまで魅了されるヨガの魅力について、教えていただけますか?
永井:インドのヨガは「人生で起こっているすべてのことはヨガに通じる」という捉え方で、日本で認知されているヨガの考え方とは少し違うんです。日本で勉強してきたヨガは、どちらかというと「この効果があるからヨガをしましょう」という考えで、目的に対して効率的に効果を出すことを重視しがちなんですよね。
その点、インドのヨガはひたすら自分の内面と向き合う。外側に向きがちな意識をいかに内側に向けるかに学びの重きをおいているんです。現代人の多くが、大半の意識を外側に向けています。自分について考えているようで、実は会社や家庭の中での立場を考え、適した振舞いをしようとしているんです。そうなると「こうあるべき」ばかりを考え、自分を制限してしまう。
特に女性は器用な方が多い分、無意識にいろんな役割に自分を合わせていってしまい、本来の自分の心が「迷子」になりがちです。ヨガで自分にベクトルを向けることで、本来の自分の心と向き合い、自分で作りあげてしまった窮屈さから脱することができるようになるのです。
マネ活編集部:「ヨガを始めたことでこんなことが変わったよ」といったエピソードがあればお聞きしたいです。
永井:私が20代の頃、アーサナの練習を毎日1時間程度始めたところ、2〜3日で坐骨神経痛が緩和され、10日ほどで便秘も解消されたんです。運動でお腹が空くので、食事量は増えたはずなのに、結果的に体重は10kgも減りました。
精神面にも変化がありましたね。自分が本当にやりたいことに向き合って行動するようになりました。失敗もあるのですが、自分がやりたいと思ってやった結果なので、後悔しにくい。心に素直になれることで考え方も積極的になり、それが生き方の変化となって表れたと思っています。インドに行くと決めたのもその一つですね。
生徒さんの話で面白いなと思う変化は、ベジタリアンになる方が多いことです。ベジタリアンになろうと思ってというより、自然と肉や魚を受け付けなくなってしまったというケースが多いのです。無意識に食べていたけれど、自分と向き合ってみたら体質に合っていなかったことに気づいたわけですね。
アーサナを取る永井さん。ヨガを通して自分と向き合うことを楽しむ日々だ
マルチタスクは非効率?「今ここ」にフォーカスする大切さ
マネ活編集部:ヨガをすることで、身体面・精神面ともに変化があるとのことですが、仕事面にもいい影響があるのでしょうか。
永井:ありますよ!「一つのこと、今向き合うべきことにきちんと向き合いましょう」というのをヨガでは大切にしています。ですので、ヨガをすることで集中力を高めることができるんです。
私自身も自覚しているのですけど、リモートワークが増えたことでマルチタスクに慣れてきていませんか?仕事の合間に家事をしてとか、常にいくつかの物事を切り替えながら同時に進めている気がします。
マルチタスクは一見、スピーディーで効率的に思えるのですが、実は一つひとつの物事にきちんとフォーカスし切れていないので、ミスも起こりやすい。一方、シングルタスクだと集中して取り組む分、品質やクオリティ面が保たれ、結果的には効率が良くなるというわけです。
とはいえ、どうしてもマルチタスクで進めることは避けきれませんよね。ヨガで集中して、いったん頭をクリアにしてあげることは、マルチタスクの仕事の効率を上げることに繋がるのです。
また、自分の内面と向き合うことは、客観的に自分を見ることでもあります。自分のキャパシティも把握できるので、適正な仕事量やペースを把握することができるんです。これは「自分のことだけを考える」わけではなく、全体を見渡す目も養えます。対自分、対他人、その全体のバランスを見ながら「継続できる」判断を下せるようになるんですね。
さらには、感情コントロールも上手くできるようになります。本当の自分の感情と向き合うので、衝動的に何かをしてしまうことが少なくなります。たとえば、衝動的に買い物をしてしまっていた人が「本当に必要なのか」を考えられるようになり、無駄買いを減らせる、とういうこともありますね。
マネ活編集部:ついつい「安いから」「ポイントが倍になるから」と買ってしまうことがあるのですが(笑)
永井:本当に必要なものならいいのですが、ストレスを解消するために「安いから」と言い訳をして買っているだけだとしたら、表面的な幸せな気がしませんか?それなら、自分の本心に向き合って「買わない」選択ができるほうが結果的にハッピーなのではないでしょうか。
マネ活編集部:なるほど、お金の面でもいろいろプラスの影響がありそうですね。
永井:お金といえば、ヨガ自体が「コスパがいい」ものなんですよ(笑)。たとえば、ヨガで身体の不調が改善されれば、整体やマッサージ代が削減できます。健康への意識が高まり、日頃から食事などに気を配るようになれば、長い目で見たときに健康寿命が延びて医療費が大幅に減らせますよね。
さらに、先ほどお話した無駄遣いのカット。心が整えば、さまざまな選択のシーンで正常な判断ができます。私はヨガを始めたことで、毎日飲んでいたお酒がいらなくなりました。私の場合は、お酒が好きで飲んでいたわけではなく、ストレスのはけ口だったということですね。
マネ活編集部:ヨガは始めようと思ったらすぐに始められるのでしょうか?また、スタートしてから効果が出るまでの期間はどれくらいですか?
永井:インストラクター資格を取るなら話が別ですが、ヨガは比較的低コストで始められますよ。ヨガマットさえあればすぐできます。いきなりレッスンに行かなくても、初心者向けのDVDやYouTubeの動画で試してみることだってできますしね。
ただ、ヨガはとっても良いものですが、効果の出方は人それぞれ。大切なのは「自分と向き合うこと」ですから、大きな変化を求めすぎることには注意してほしいですね。
すぐに変化を感じられる方もいれば、今までの考え方から抜け出せず、なかなか変われないと感じられる方もいます。そういう方は「完璧に変わらなきゃ」と思い過ぎている場合もあるので、小さな変化でも、まずは自分を認めてあげてほしいと思いますね。
まずは心にスペースを。余白があるから「自分」にきちんと向き合える
マネ活編集部:実際にヨガを試してみたいという方に向けて、スキマ時間にできるようなおすすめの方法を教えてください。
永井:今回は「これもヨガなんだよ」という事例として、「マインドフルネス」と「ウジャーイ呼吸」の2つをご紹介したいと思います。
まず、マインドフルネスですね。目を閉じて瞑想するのをイメージされる方が多いのではないかと思うのですが、ぜひやってみていただきたいのが、コーヒーや紅茶を使ったマインドフルネスです。
時間が15分あるとしたら、その15分間を使ってコーヒーや紅茶に集中してみましょう。お湯を沸かす、淹れるときの香りを楽しむ、深く味わう。このとき、スマホなどの「ながら」はNG。ただただ淹れること、飲むことに集中するんです。15分、他のことを考えないことで頭がクリアになり、次の作業に集中できる余白を作れます。
マネ活編集部:意外なマインドフルネスですね。マルチタスク脳を休ませるにも良さそうです。
永井:次はウジャーイ呼吸ですね。特にデスクワークが多い方は、呼吸が止まったり浅くなったりしがちなので、休憩時間に取り入れてほしいですね。
①舌先を上あごにつけ、一呼吸してリラックスする
②そのまま、寝息を立てるように息を吐き出し、胸を膨らませながら息を吸い込む
③シューっと音を立てながらお腹から細く長く息を吐き出す
②③のイメージとしては、スターウォーズに出てくるダースベイダーの呼吸音が近いです。普通の深呼吸だと雑念が浮かびやすいのですが、ウジャーイ呼吸だと音に意識が向くので、集中しやすいんですよ。
10回ほどゆっくり吸って、吐いてと繰り返していただくと、頭の酸素が行き届いてスッキリする感覚が味わえるかと思います。新陳代謝や免疫力をアップさせるのにもいいんですよ。ただし、妊娠中や生理中、高血圧の方は避けてくださいね。
マネ活編集部:これらはちょっとした休憩時間にできるとのことですが、本来、ヨガに適した時間帯はあるのでしょうか?
永井:胃の中に食べものがあると体に負担がかかるため、空腹時がおすすめです。また、アクティブなヨガは朝や日中にし、夜はリラックスできるものにしましょう。
アクティブなものとリラックスできるものに関しては、どちらのほうがいいといったことはありません。運動をしたいならアクティブなものを、癒されたい方はリラックスできるものを選ぶ。漠然と「ヨガで何となく幸せになりたい」と始めるより、どうなりたいかをクリアにしておくほうがいいと思います。
マネ活編集部:やってみたいと思ったとき、何から始めるのがおすすめですか?
永井:YouTubeの動画を観るのはどうでしょう?有名講師の動画もありますし、まずはお金をかけずに始められる入口からでOKです。ヨガマットも1,000円程度のもので十分。
自分がヨガを通してどうなりたいのかを言語化して、「ヨガ、アクティブ」などと検索してみると、適したものが見つかるのではないでしょうか。コロナの状況によりますが、公民館でヨガ講座が行われていたり、屋外でのレッスンもありますから、さらに興味が出てきそうなら、そうした場に足を運ぶのも一つの手です。
また、もしヨガ哲学に関心のある方は、私の著作になりますが『ヨーガ哲学初心者のための ヨーガ・スートラの教えを身近に活かす方法』(電子書籍)を読んでいただくと、その思考が理解しやすいかと思います。
インドから、ヨガ哲学のオンラインレッスンも開講している永井さん
マネ活編集部:ありがとうございます。あらためて、コロナや日々の多忙な生活でストレスを抱えている方に向けて、メッセージをお願いできますか。
永井:頑張り屋さんの人ほど、ストレスや違和感があっても「仕方がないんだ」と心に蓋をしてしまいがちです。それでは、本当の自分と向き合えずに「自分迷子」のまま。その状態が続けば、いつか不満が大爆発したり、体の不調となって現われるおそれがあるんですよね。
いっぱいいっぱいになる前に、自分のために何かをする時間を意識的に設けてほしいなと思います。自分のために時間を使うときは、心をできるだけシンプルな状態にできるようにする。モヤモヤを友だちに吐き出したり、体を動かして心身をリフレッシュさせたり。そうやって心に余白を作ってあげることで、初めて自分の内面と向き合うことができるのだと思います。
人生って、すべて「私たちの心」が作っているんです。心が行動を作り、行動が習慣になり、習慣によって人生が作られていく。ですから、本当に自分らしい人生にしていくためには、できるだけ心を良い状態にして自分と向き合うことを大切にしてほしいのです。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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