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キャンプ女子株式会社・橋本華恋さんに教わる かんたん・かしこいキャンプのはじめ方
「キャンプ女子」「おうちキャンプ」など、キャンプに関する気になるワードを見聞きする機会が増えていませんか?「興味はあるけど、女性だけで行くのは不安」「何から準備していいのかわからない」という方に、女子キャンプの仕掛人・キャンプ女子株式会社の橋本華恋さんにお話を伺います。
- 「キャンプがある人生は楽しい!」 圧倒的に少なかった女性目線のアウトドア情報を発信
- テント泊、コテージ泊、グランピング…その違いは? キャンプデビューにオススメなのは?
- 「家でも使える」「借りて済ます」用具選びは賢く判断
「キャンプがある人生は楽しい!」 圧倒的に少なかった女性目線のアウトドア情報を発信
マネ活編集部:橋本さんが手掛けている「キャンジョ(SNSアカウント:camjyo)」の活動内容を教えてください。
橋本:「キャンプがある人生は楽しい」をモットーに、キャンプ人口を増やすことを会社のミッションに掲げて活動を展開しています。
私自身、2019年にキャンプ女子株式会社を立ち上げる前は、7年ほど会社員として働いていたのですが、仕事のストレスを週末のアウトドアで発散することでバランスを取りながら日々を送っていたんですね。キャンプに救われたことがとても多いので、みんなにもぜひアウトドアを体験してほしい、外遊びをする人を増やしたい、という思いで会社を立ち上げたんです。
マネ活編集部:橋本さんがキャンプにハマったきっかけは何だったのでしょうか。
橋本:たまたま友人に週末のキャンプイベントに誘われたのがきっかけです。割と皆さんキャンプ好きの友人や家族に誘われてからハマって…といったパターンが多いと思いますよ。
マネ活編集部:趣味として好きになったキャンプで起業しようと思った理由は何だったのでしょうか。
橋本:初めから起業したかったわけではないんです。キャンプに関する仕事をしたいなと思ったのが最初で、アウトドアショップやキャンプ用品のメーカー、フリーランスのキャンプライターなど、いろいろな道を模索しました。
最終的に起業を選んだのは、私がやりたい仕事が既存のアウトドア系の職業になかったからです。私がメインでやりたかったのは、当時まだまだ少なかった女性向けアウトドア情報の提供。特定の企業に入ってしまうと、中立な立場での情報発信が難しくなるため、自分で会社を立ち上げるしかないなと思いました。
マネ活編集部:女性向けアウトドア情報とは、どういったものなのでしょうか。
橋本:例えば、トイレの数や清潔さ、子連れでも行きやすいキャンプ場情報など、細やかな女性目線の情報ですね。会社を立ち上げる前は、どうしてもメンズ向け記事が多く、良い情報ではあっても、女性の私には真似できないな…と思うものが多かったんですよ。
Instagramでハッシュタグ検索をしてみたところ、「キャンプ女子」というタグで200件ほどの投稿が見つかりました。200件しかないけれど「キャンプをしている女性は確実にいる!」と。であれば、Instagramでキャンプ女子というアカウントを立ち上げてみようと思ったのがスタートでした。
とにかくビジュアルで見てわかりやすい情報がいいなと思ったので、女性が「こんなキャンプだったらやってみたい」と思えるような、女性を意識した世界観をInstagramで発信し始めたんです。今では、フォロワーさんも6万人を超える規模になりました。
キャンジョのコミュニティの特徴としては、情報のやり取りが双方向ということ。積極的に参加してくださる方が多いので、とても密な交流ができる場に育っていて、企業としても多くの気づきを与えてもらっています。
マネ活編集部:アウトドアにはキャンプの他にも種類がありますが、橋本さんはなぜ特にキャンプに惹かれたのでしょうか。
橋本:心と体、そして時間に余裕を生んでくれるところですね。朝起きて、ぼーっと過ごせるのはキャンプに行くときくらいなんじゃないかと思います。みんな、日常生活では何かと時間に追われていますよね。私は忙しいときほど、キャンプに行く時間を作るようにしています。立ち止まる時間を作ることで、頭も心もすごくリフレッシュできるんです。
マネ活編集部:当メディアの読者は主に女性なのですが、女性がキャンプを趣味にすることによるメリットは何かありますか?
橋本:女性特有のメリットというのはあまりないかもしれませんが、男性より女性の方がキャンプに行くまでのハードルはやっぱり高いと思うのです。でも、キャンジョの活動を始めて、「女の子だけでもキャンプって行けるんだ!」という驚きの声をよく聞くようになりました。
今ではキャンジョをはじめとした女性向けの情報やイベントも増えてきています。女性目線の知識を仕入れるだけで、ハードルはぐんと下がるんです。「興味を持たない夫を置いて母子キャンプに行ってみた」「今度ソロキャンプにチャレンジします」なんていう声を聞くと、みなさんが自分の世界を広げていく楽しみが伝わってきて、こちらも嬉しくなるんです。ぜひ心のハードルを乗り越えて、まずは一度行ってみてほしいですね。
マネ活編集部:あらゆる面で便利な現代社会の生活に慣れていると、キャンプでは不便さを感じることも多そうですが…。
橋本:確かに、トイレや水道が離れている、スマホの電波状況が悪いといった不便さや、地面に寝るわけですからベッドと比べれば寝心地は劣るわけです。でも、実は不便さってそれぐらいなんですよ。
私はキャンプではとにかくゆっくり時間を過ごしたいと思っているので、できるだけ簡単に組み立てられるテントを選んでいます。凝った料理をするより手軽に作れる料理を選び、事前に下ごしらえをして、現地では最小限の調理ですむようにしているんです。
大掛かりなテント設営、おしゃれな料理やテーブルセッティングをしたい方はすればいいし、したくなければ私のようにすれば良くて。「こうしないと」という縛りはまったくない。多少の不便さとの引き換えに、とにかく心をフリーにできるということに価値を見出してほしいですね。
マネ活編集部:デジタルデトックスもできそうですし、キャンプで多少の不便さに慣れておくのも現代人には必要なのかもしれませんね(笑)。
橋本:そうですね。キャンプ場によっては電波状況が悪い場合もありますから、そこは割り切って「いまそこにある体験」を最大限に楽しんでほしいです。
それから、キャンプ用品は災害時に役立つものがとても多いので、最近は防災の面からキャンプに興味を持つ方も増えています。キャンプ中は電気が使えないこともありますから、調理のメインはグリル、カセットコンロ、バーナーなどのガス調理器になります。水場が遠い場合もありますし、ある意味、疑似的な避難生活の体験ができるんですね。
「水道が遠いから水を汲んで手元に用意しておこう」「ガスを無駄遣いしないように食材は小さめに切っておこう」など、体験から学ぶ生きた知識は、災害時に不便な生活を送ることになってもきっと共通項が多いのです。不便を楽しめる人は、その分、肝心な部分はきちんと計画的。ですから、どんな状況でも慌てず生きていける人だと思います。キャンプを経験することで、生きる知恵も育めるのではないでしょうか。
のんびり派もアクティブ派も、自由なスタイルで自然を味わえるのがキャンプの魅力
テント泊、コテージ泊、グランピング…その違いは? キャンプデビューにオススメなのは?
マネ活編集部:キャンプを始めたい方がまず知っておきたいことを教えてください。テントやコテージ、最近ではグランピングもよく耳にします。何から始めるのがおすすめですか?
橋本:「宿泊するキャンプ」が目標なのであれば、グランピングはそもそも別物だと考えてもらったほうがいいですね。これは外で泊まるホテルのようなもので、料理も宿泊場所もすべて用意されています。キャンプを楽しむ重要な要素である計画〜準備の過程が省かれているんですね。
なので、宿泊のキャンプをしたいなら、テントサイトと同じ敷地内にあるコテージ泊からチャレンジしてみましょう。コテージならテントを張る必要はないですが、火起こしや調理の準備など、「寝る」以外の部分を体験できます。
キャンプでやっぱり慣れが必要なのは調理なんです。まずは調理する環境や手順に慣れてもらって、その次の段階でテント泊に挑戦するのがいいんじゃないかなと思います。
マネ活編集部:橋本さんは友人に誘われたのがキャンプデビューでしたが、周りにキャンプ経験者がいない場合はどうしたらいいのでしょうか。
橋本:一番のおすすめは、やはり経験者と一緒に行くことです。いくら事前情報を集めていっても、どうしても現場で知りたいことは出てきます。でもキャンプ場は基本的にWi-Fiなどが弱く、現地で動画確認やネットリサーチをしづらいんですよ。
ですから、もし周りに経験者がいない方は、初心者向けのキャンプイベントなどに参加してみることもおすすめです。あとは、管理人さんがちゃんといて、何かあればヘルプをお願いできるキャンプ場を選ぶのもいいですね。
マネ活編集部:コロナ禍になって、メディアで「おうちキャンプ」というものを見かけるようになりました。こちらについてはいかがでしょうか。
橋本:火付け役は、2020年の非常事態宣言下でキャンプに行けなくなったキャンパーたちなんですよ。4~5月はキャンパーたちにとって最高のキャンプシーズンなのに、非常事態宣言が出てキャンプに行けないストレスでおかしくなりそうだった(笑)。そこで、家の食器をキャンプ用のものに変えるとか、ランタンを部屋で使ってみるなど、家でキャンプの雰囲気を味わえる工夫をしたわけです。
2021年になると、キャンプ未経験の人がSNSで見たおうちキャンプを真似て、そこからリアルなキャンプを始めるという流れもできてきました。キャンジョのフォロワーさんにもInstagramで発信されている方が多くいましたので、私たちもInstagramでおうちキャンプの様子をシェアするキャンペーンを開催したら盛り上がりましたね。
「家でも使える」「借りて済ます」用具選びは賢く判断
マネ活編集部:まずキャンプに行ってみようと思ったとき、最低限揃えたほうがいいものは何でしょうか。
橋本:経験者と一緒に行ける「お呼ばれキャンプ」がデビューになるなら、人数分必要となる自分たちの食器・椅子を。寝袋まで揃えられたらベストですね。
初期費用をかけないために100均などで揃えたい気持ちもわかるのですが、結局は使い捨てのような形で無駄につながることが多いのです。キャンプ用とはいえ、特に食器は日常使いができるもの。できれば普段の生活に取り入れたくなるものを揃えると愛着も出ますから、買い替えのリスクも減ると思います。
マネ活編集部:慣れてきたあと、テントなどを買えばいいのでしょうか。
橋本:そうですね。ただ、最近ではレンタルも充実しているので、必ずしも買う必要はありません。購入予定でも、初回はテントをレンタルして試すことをおすすめします。寝袋もレンタルで抵抗がないのであればひとまず購入しなくてもOKです。
<初キャンプで購入したほうが良いもの>
・食器
・調理道具
・椅子
<初キャンプでレンタルがおすすめなもの>
・テント
・テーブル
・ランタン
・クーラーボックス
・寝袋
買うか借りるかの基準としては、キャンプだけでしか使えないものは借りる、家でも使えるものは買う。その上で、肌に触れる寝袋は買いたいなどがあれば、好みで揃えていけば良いですね。
テントも購入して本格的に始めたいとなれば、1~2人で10〜15万円ほど初期費用を見込んでほしいです。それ以下だとどうしても耐久性の低いものになりがちで、買い替えになる可能性があるからです。
一方で、キャンパーの中にはテントは買わずに毎回借りるという方もいらっしゃいます。自宅の置き場所の問題もありますし、キャンプに行く人数に合わせて異なるテントを借りることもできますからね。キャンプに行く回数は平均で年4回。年に1〜2回の方も多いので、レンタルで十分という考え方もありだと思います。
マネ活編集部:キャンプ用品のメンテナンスに関してはいかがですか?
橋本:テントのケアで重要なのは、とにかく濡れたままにしないこと。きちんと乾燥して保管しておきましょう。テントは使用後の掃除や修理に対応してくれるメーカーもありますから、アフターサービスがしっかりしているという視点でテントを選ぶことも賢い選択だと思います。購入価格は少し高くなりますけど、長持ちさせることは節約にもつながりますから。
最近は、アウトドア専門の中古ショップも充実してきました。中古のアウトドア用品を買うのであれば、専門のスタッフさんに相談できる場所だと尚更おすすめです。食器やランタン、椅子などは日常生活に取り入れることがメンテナンスにもなります。キャンプのときだけ使うのでは、破損や電池切れに気づかないおそれがありますしね。
また、キャンパーに芽生えてくるのは「お気に入りは自分で直そう」というDIYの意識。時代的にも、メンテして長く使う意識を持とうという流れがありますし、そういう意味でもこだわりを持って物を選ぶことを大切にしてほしいです。
マネ活編集部:橋本さんが考えるキャンプに必要な「計画性」は何でしょうか。
橋本:まずはできるだけ情報を集めることですね。初心者の方は、「初心者向け」「管理人さん常駐」「車の横づけ可能」といったキーワードでキャンプ場を検索して選ぶこと、食材の買い出しは事前に行って下ごしらえまで済ませておくことなど、何を選んで、どこまでやっておけば安心なのかをきちんと計画する。
お金の面でも、毎月少しずつ「キャンプ貯金」をするなど計画的にしておけば、高めの用品を購入する時の負担が減りますね。私は、キャンプを通して実生活や仕事にも活かせる計画性がとても身についたと思っているんです。
キャンプ場をバーチャル背景にしてキャンプの楽しさを語ってくださった橋本さん
マネ活編集部:最後に、キャンプにチャレンジしたいと思っている方にメッセージをお願いします。
橋本:私も失敗を重ねながら学んできました(笑)。失敗を回避するための計画性も大切ですが、その場で臨機応変に考える力も重要です。事前情報だけではどうにもならなくなった場合、キャンプ場には「助け合いの精神」を持っている人が多いので、頼ることも大いにあり。ハプニングも一期一会のきっかけだと捉えることができれば、とてもオープンマインドになれる素敵な空間なんです、キャンプ場って。
SDGsやサスティナブルって最近よく聞きますよね。物を大事に長く使う、自然環境に配慮するといった行動を、キャンパーはずいぶん前から自然とやっているんですよ。都市部では少なくなっている「ご近所付き合い」のようなコミュニケーションが自然に育まれているのもキャンプ場という空間です。「行ってみたい」と少しでも感じるなら、ぜひ思い切って体験してみてください。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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