ビットコインは不況に強い!?「ミス・ビットコイン」藤本真衣氏に聞いた、暗号資産(仮想通貨)との上手な付き合い方

リリース日:2020/08/05 更新日:2022/06/06

10年近く前からビットコインの持つ可能性に注目し、その普及に尽力してきた藤本さん。現在は、ビットコインを扱う企業の顧問やコンサルティングを務める他、「ミス・ビットコイン」として啓蒙活動も行っています。藤本さんによると、新型コロナウィルス感染症の流行で、経済活動が世界的に落ち込んでいる今こそ、ビットコインを始めるべきだとのこと。それはなぜなのか、お話を伺いました。

更新日:2020/8/5
  1. 資産は「日本円だけ」で大丈夫?
  2. ビットコインは「分散」しているから信頼できる
  3. 資産を守るだけじゃない、ビットコインの可能性
  4. まずは信頼できる取引所で購入し、小額から始める
  5. ビットコインには既存のルールを変える可能性がある

資産は「日本円だけ」で大丈夫?

マネ活編集部:藤本さんが啓蒙活動をされている仮想通貨ですが、最近は「暗号資産」という言葉を使っていますね。暗号資産をもつメリットを教えてください。

 

藤本:いくつかありますが、大きなメリットは、自分の資産を守れるところだと思います。とくに今のような、世界的な不況の中では有効だと思います。

 

マネ活編集部:不況の中で有効、というのはどういうことなのか、詳しく教えください。

 

藤本:はい。現在、世界中の中央銀行が、新型コロナウイルス感染症による不況への対応策として、お金をたくさん発行しています。例えばアメリカの通貨供給量は前年比の20%以上に高まっていると言われています。1960年の統計開始以降、最も伸び率が上がっている状態です。

 

日本でも、たくさんのお金が新たに発行されていて、その量はリーマンショック以前の5倍以上に増加しています。この状況が続くと、日本円の価値が薄くなりインフレが起きる可能性があります。

 

マネ活編集部:インフレは、お金の価値が下がり、商品やサービスの値段が上がってしまう状況ですよね?

 

藤本:そうです。そうならないよう、さまざまな対策が講じられていますが、先のことは誰にも分かりません。

 

 

マネ活編集部:現在の世界や日本の状況はわかりましたが、暗号資産を保有するメリットはどこにあるのでしょうか?

 

藤本:国や政府など、特定の管理者が発行するお金は、状況によってその価値が下落するリスクがあります。それに対して、ビットコインをはじめとした暗号資産は、特定の管理者が存在しないので政治の影響を受けにくいのです。あらかじめ供給量も決まっているので、不況時に政治的事情でたくさん発行され、インフレ傾向になるなんてことも起こりません。

 

マネ活編集部:なるほど。インフレ対策には不動産投資がよいと聞きますが、それよりも暗号資産の方が良いのでしょうか?

 

藤本:不動産投資は決して安くはない元手が必要な分、誰でも手軽に始められる方法ではないように思います。暗号資産であれば、必要な分だけ自分で決めて買えるので、手軽に始めやすいです。

 

マネ活編集部:ビットコインは1コイン100万円ほどですが、0.01コインから、なんて買い方もできますよね。

 

藤本:そうですね。他にも、銀行にお金を預ける場合と比べて、ビットコインを預ける場合の方が利率が圧倒的に高いこともメリットだと思います。そのようなサービスを提供している取引所がありますが、例えばビットコインだと年率3%になる場合もありますが、日本円の利率は今、0.001%くらいしかありません。

 

マネ活編集部:100万円預けたとすると、3万円増えるか10円増えるか、と大きな差になりますね。預ける形によって利率は全然変わってくるんですね。

ビットコインは「分散」しているから信頼できる

マネ活編集部:一口に暗号資産と言っても約2,000種類ほどあります。どの銘柄がおすすめなのでしょうか?

 

藤本:私も保有してますが、ビットコインがおすすめです。最初に作られた暗号資産であり、他と比べて歴史が長く、それだけ多く「分散」されていますので。

 

マネ活編集部:「分散」とはなんでしょうか?

 

藤本:簡単に言うと、たくさんの人がビットコインの取引記録に関わっているということです。ビットコインに限らず暗号資産は「ブロックチェーン」という技術により、過去の全ての取引履歴が世界中のサーバーに分散保存されています。

 

マネ活編集部:なぜ分散していると良いのでしょうか?

 

藤本:分散していればしているほど、取引内容の記録が改ざんされにくいからです。例えば、一つのブロックチェーンのサーバーの51%以上を一つの企業が独占していると、その企業が取引履歴を改ざんできてしまう懸念があります。つまり、分散されて、なおかつ時価総額が高いほど、ブロックチェーンの乗っ取りが困難になるのです。

 

ビットコインは10年以上の歴史があり、世界中にビットコインの取引履歴を検証するサーバーが分散されているうえに、自家総額も仮想通貨の中で世界一なので、それだけ安全性が高いと言えます。歴史上、一度もシステムに不具合が起こったことはありません。非常に信頼できる暗号資産の一つなのではと考えています。

資産を守るだけじゃない、ビットコインの可能性

マネ活編集部:藤本さんはなぜビットコインの世界に飛び込んだのでしょうか?

 

藤本:私が初めてビットコインを手にしたのは2011年の12月です。当時私は世界中に寄付を送るプラットフォームを作ろうとしていました。しかし、海外への送金手数料の高さや、送られた寄付の使い道が不透明であることなど課題が山積みで、行き詰まっていました。

 

そんななか、たまたまビットコインを知り、調べるうちに送金手数料が圧倒的に安いことや、ブロックチェーン技術により取引記録が残るため、誰が何に使ったのかなどを追跡しやすいことを知り、感動しました。そこからビットコインの良さをもっと知ってほしいと思い、啓蒙活動を始めました。

 

マネ活編集部:最初に知ったきっかけは資産運用の手段としてではなく、寄付に最適な方法として、だったのですね。

 

藤本:そうなんです。ブロックチェーンなど、仕組みを完全に理解して始めたわけではないんです。最初は難しいテクノロジーの話は全く理解できませんでしたね(笑)。現在も、私もお手伝いしている、新型コロナウイルス感染症の被害に対する寄付を暗号資産で集めるキャンペーンが行われていて、トータルで4億円ぶんもの暗号通貨が集まっています。ビットコインには、新しい寄付の仕方を提案するなど、社会をよりよく変える力があると思っています。

 

ビットコインを理解してもらうのに、私はよく「始まった背景」についてお伝えするようにしています。

 

藤本さんが代表を務めるBitcoinで支援先に寄付ができるプラットフォーム『kizuna』

 

マネ活編集部:ビットコインが、なぜつくられたのかということですね

 

藤本:そうです。実はビットコイン製作者は特定されていません。ただ、そのシステムの中に製作者の思想を表現したメッセージが埋め込まれていました。それは「The Times 03/Jan/2009/Chancellor on brink of second bailout for banks」という言葉で、直訳すると「米連邦準備制度理事会が追加で提供する2兆3,000億ドルは、2008年の救済額を超える」というもの。リーマンショックへの対策として、イギリスが行った施策を皮肉ったものであるとされています。

 

ビットコインが生まれた当時は、銀行が引き起こした問題に対して、市民の税金が補てんされるのはおかしいと言う激しい反発が起こっていました。中央銀行を取り巻く金融システムに頼るのではなく、ブロックチェーン技術などを駆使し、別の方法で管理する新しいお金の形を作るべきだという思想がビットコインの根底には流れているのです。このメッセージを、今こそ私たちは真剣に受け止めるべきではないかと思います。

まずは信頼できる取引所で購入し、小額から始める

マネ活編集部:いざビットコインを買う場合は、何に気をつければ良いのでしょうか?

 

藤本:まずは金融庁の認可がおりている日本の取引所でで買うことをお勧めします。経営基盤や信託保全のしっかりしていない取引所の場合、ハッキングなどで流出した際に、保証してくれない可能性があります。セキュリティが万全というのはどの取引所もアピールしていますが、中の事はわからないので、ユーザー目線で見ると、万一の際も保証してくれるところで購入するのが良いでしょう。その点「楽天ウォレット」は、信託保全など手厚い管理・保証体制があるので良いのではないでしょうか。

リンク:https://www.rakuten-wallet.co.jp/service/security.html

 

マネ活編集部:買った後は、どのように運用すると良いのでしょうか?

 

藤本:初心者の場合は、頻繁に売り買いするのはおすすめしません。ビットコインは値段の変動幅がドルや円の3~5倍ほどあると言われています。素人がトレードに手を出すと損をする可能性が大きいです。

 

だからこそ初心者の方へのおすすめは、あくまでも自分の資産を守るためのリスク分散の一つの方法として活用し、長期保有をしてもらうことです。毎日の価格の変化に一喜一憂するのではなく、長い目で見ることが大事です。

 

マネ活編集部:最初は0.01コインなど、小さく始める人が多いと思います。小額からでも始める意味はあるのでしょうか?

 

藤本:あると思います。少しでも買ってみることで興味がわき、暗号資産について勉強をするようになるからです。

 

現在、ITの進化に伴い、お金を含めあらゆるもののデジタル化が世界的に進んでいます。そんななか暗号資産は、新しいものもどんどん生まれていて、今後注目されることは間違いない領域だと思っています。将来のためにも今、勉強しておいて損はない分野です。新型コロナウイルス感染症流行のため外に出ないからと、お洋服代など浮いているお金がある方は、ぜひ自分自身への投資をしてみてはどうでしょうか。まずは、小額から始めてみることをおすすめします。

 

ビットコインには既存のルールを変える可能性がある

マネ活編集部:資産は将来の備えのために必要なものだと思います。どれくらい持っておくと安心なのでしょうか?

 

藤本:一概には言えませんが、あるに越したことはありません。逆に質問ですが、今流行っているSF海外ドラマ「アップロード」を知ってますか?

 

簡単に言うと、死んだ後に自分の脳をデータ化してバーチャルな世界で生きられるようになった世界の話です。この話はあくまでもフィクションで非常に極端な可能性の一つです。でも、これから先どんな技術が開発され、将来、何にどれぐらいお金がかかるのかは誰にも分かりません。私は、アップロードできるなら将来したいと思うでしょう(笑)その為にはお金が…必要…。このような先の読めない未来に備えるためにも、資産形成は積極的に行うべきだと考えています。

 

マネ活編集部:急にSFの話になってびっくりしました(笑)。でも、ないとは言い切れない世界ですね...。最後に、ビットコインの今後の可能性について教えてください。

 

藤本:社会のルールを変える可能性があると思っています。例えば、ビットコインが世の中に浸透すると、信用そのもので生きていけるようになるのではと考えています。各人の取引履歴が見えるようになり、「自分の行い」が貯蓄されるからです。お金という資産をいくらあっても利用できなくて、信用の貯蓄のある人だけがが受けられるサービスも出てくると思っています。人々が正しい行いを心がけるようになると、SDGs(※)への取り組みなども加速するのだと思います。

 

私がビットコインを買っているのは、そんな大きな可能性を感じられるからでもあります。これからも、ビットコインのような社会のルールを変える可能性のあるものに敏感であり続け、新しい当たり前を自分に取り入れ、勉強していきたいです。

 

※SDGsとは
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年、ニューヨーク国連本部において開催された「国連持続可能な開発サミット」にて採択された。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など17の目標と、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」など169のターゲットからなる。

藤本真衣
この記事を書いた人
藤本真衣

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

神戸生まれ神戸育ち。19歳からフリーランスとして家庭教師派遣の営業を行い、日本トップの成績を納める。その後、上京し子ども向けWebコンテンツ「キッズ時計」の立ち上げや、全国の「いいね!」を集める「いいね!JAPAN」などのコンテンツプロデュースに関わる。2011年、ビットコインと出会い、2014年に株式会社グラコネを設立。「ミスビットコイン」の愛称で親しまれ、ビットコインを扱う企業の顧問やコンサルティングなどを行う。

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