3年間で資産1,000万円を達成した元浪費家が語る、モチベなしでお金を貯める「ほったらかし投資」
不安定な時代だからこそ、いいパートナーシップがカギになる。あつたゆかさんに聞く夫婦のいい関係を築くコツ
お互いに好き合って結婚したはずなのに、愚痴ばかりが浮かんできてしまったり、険悪ムードに突入してしまったり。夫婦やカップルなどパートナーとの関係性を良好に維持するのは、なかなかどうして難しいものです。そして、パートナーだからこそ、お金の話をするのが難しいと感じる人も多いようです。パートナーシップを探求し、支えるアプリ「ふたり会議」や、オンラインコミュニティ「すきだよラボ」を運営するあつたゆかさん。あつたさんがパートナーシップに関心を抱いた背景、円満の秘訣についてお話を伺いました。
- 結婚後、仲が悪くなる前提に違和感。円満の秘訣はオープンになっていない
- 家事分担が問題ではない。私vs相手ではなく、私たちvs課題
- その出費は消費? 投資? 浪費?を考えてみる
- モヤモヤをそのまま出してもいい。話すことで自分のニーズが見えることも
結婚後、仲が悪くなる前提に違和感。円満の秘訣はオープンになっていない
マネ活編集部:あつたさんが経営されている「株式会社すきだよ」はインパクトのある社名ですよね。どういった活動をされているのでしょうか。
あつた:「誰もが大切な人とずっと幸せでいられる社会を作る」をミッションに掲げ、カップルや夫婦のパートナーシップの課題を解消する事業を行っています。
マネ活編集部:パートナーシップに注目されたのは、なぜですか。
あつた:いくつかきっかけがありました。まずは、起業前のライター時代に、経営者さんのパートナーシップの現状や価値観を聴く機会に恵まれ、苦労されていることも含めさまざまな話を知れたこと。
そして、パートナーとの関係性のピークを結婚式だと捉えている風潮に疑問を抱いたんです。「結婚は墓場」という言葉がありますよね。そこまでではなくても、結婚式場の人に「今が一番幸せな時期ですよね」と言われたり。「え? 何で私の幸せのピークが結婚式だって決められちゃうの?」と私自身、戸惑うことがあったんです。
そこで、なぜ結婚後に仲が悪くなることを前提とした言葉をかけられるんだろうと調べていくと、実際に結婚したカップルの3分の1が離婚してしまうことや、2分半に1組の夫婦が離婚しているというデータが出てきて、上手くいかないケースの多さを知りました。一方で、「こんな風に夫と仲良くやっているよ」という私のツイートへの大きな反響から、パートナーシップに悩んでいる方も多いんだと知ったんです。
「勉強になりました」「参考になりました」という反応もたくさんあり、「こういう発信が参考になるんだ」「パートナーシップを良くしていくための秘訣ってクローズドになっていて教わる機会もない」と。
マネ活編集部:いくつかのきっかけが重なって、サービス立ち上げに至ったんですね。
あつた:パートナーの良さを語れる場所ってないなと思い、安心してのろけ話ができる「スキ活サロン」の運営を始め、パートナーとの会話のきっかけにしてもらえたらとアプリ「ふたり会議」を作りました。累計利用人数は6万人と、多くの方々に使っていただいています。
マネ活編集部: どういったサービスなのでしょうか。
あつた:アプリ内でYES・NOの二択で答えられる質問を用意しています。お金の話だったら、資産形成どうするという質問から、借金やローンについてなど、多くの質問に答えます。そこで、お互いの希望、あるいは「したくないこと」がわかります。
でも、二人の回答は揃わなくてもいいんです。揃わなかったときには、「なぜ、NOだと思ったの?」と聞いてみる。そのステップを踏むことで、二人にとってベストな選択肢を見つけられる可能性が高まると思っています。
そして、話し合いの仕方についての動画も用意する予定です。「アサーション」という相手を否定せずにこちらの主張も伝えるコミュニケーションスキルについても情報発信していこうと思っています。
マネ活編集部:白黒つけるための話し合いではないんですね。
あつた:どちらが正しいかを決めるのではなく、二人にとってのベストを見つけるのが目的です。日本人はディスカッションの経験をあまり積まないまま大人になってしまうので、相手と意見が違うことを避けたがるところがあるのかなと。
意見が違うことは相手の否定ではないですし、異なること自体はダメではないんですよね。パートナーと話すなかで、意見が違っても建設的な結論を出せた成功体験を積んでほしい思いを込め、「ふたり会議」を運営しています。
あつたさんが手がけたアプリ「ふたり会議」。キャリア、お金、子ども、住まいなど、大切な話を切り出せるきっかけをつくってくれる
家事分担が問題ではない。私vs相手ではなく、私たちvs課題
マネ活編集部:結婚後に仲が悪くなると言われる背景には、「結婚前に猫をかぶっていた」「結婚後にボロが出た」といったギャップもあるのかなと思います。ただ、相手を騙しているつもりではないけれど、どうしても出会った頃や交際中は、好かれたいがあまり自分を良く見せたい気持ちがあるのも仕方ないと思うのですが…。
あつた:憧れの人に振り向いてもらうために自分を良く見せたいと思うのは、悪いことではないと思います。ただ、やっぱり付き合いが長くなると、ずっと無理した自分のままではいられないですよね。小出しでいいから自分を見せていけたらいいのかなと思います。
マネ活編集部:あつたさんはご自分を「おおざっぱ」だと発信されていますが、パートナーにさらけ出すハードルはなかったのでしょうか。
あつた:同棲前はずっと隠していました。同棲後、夫は「こんなおおざっぱな子だったとは!」と驚いたと思います(笑)。ただ、私たちの場合は、夫が「僕がゆかを好きなのは、素直なところや行動力があるところだから」と言ってくれて。私もおおざっぱなところにコンプレックスがあったので、その言葉には救われましたね。そう考えると、例えば家事スキル以外の部分を好きになってもらえていたら、後から「実は家事ができなくて」と判明しても関係は壊れないのかもしれません。
期待値のコントロールも大切でしょうね。どうしても良く見せたい気持ちはあるものですが、だからといってあまりにも自分とかけ離れた嘘は初めからつかないほうが楽です。家事が全然できないのに、「家事できるキャラ」でいってしまうと、「家事ができる子だから好き」になられる可能性がありますよね。こうしたケースでは、家事ができないことで好きの前提条件が崩れてしまうため、別れたほうがお互いにハッピーだと思います。
マネ活編集部:あつたさんのパートナーも当初はギャップに驚いたとのことですが、その後は問題なかったのでしょうか。
あつた:細かいところが気になる側がストレスを溜めがちだと思うので、本人にたまに聞くんです。「どこかストレスが溜まることはある」と(笑)。ただ、長所短所は表裏一体で、私が夫のように細かくなるということは、今の私の持ち味である大胆さが失われてしまうことなのだからと言ってくれています。
マネ活編集部:素敵です。本当に仲が良いんですね。
あつた:ただ、やっぱりそんな私たちであっても、常に問題がないわけではないんですよ。いくら仲の良いパートナー同士であっても、絶対にもめないことなんてありません。問題なのは「話し合わないこと」ではないかと思っています。
企業によく例えるんですが、小さなモヤモヤが生じたときに上司に言いづらい会社は、必然的に隠ぺい体質になってしまいますよね。結果、大きな問題にまで膨れ上がってしまう。逆に、伝えやすい会社では、解決するための新しい施策作りに繋がっていくと思うんです。パートナーシップも同じことで、小さな問題はいくら仲が良い間柄でも発生する。大切なのは、そのときに問題をそのままにせず、相手に共有して解決していくことだと思っています。
マネ活編集部:二人で話し合い解決するには、関係が対等である必要がありますね。一方が専業主婦やパート・アルバイト勤務の場合、どうしても収入を得てくる側に率直な意見を言えないと感じてしまう方もいるのではと思うのですが、お金と対等な関係に対して、あつたさんはどう感じられているのでしょうか。
あつた:特に女性ですよね。ただ、妊娠や出産を考えれば、どうしても女性は一時的に収入が下がるタイミングがありますし、女性のほうが低賃金で働いてきた社会背景もある。理想を言えば、収入に関係なくお互いに困ったときに助け合える関係を築きたいですよね。収入が低い側が高い側に感謝するのはいいことですが、高い側がそれを免罪符にして偉そうに振舞うのは違うかなと。
マネ活編集部:収入差を持ち出されて揉めがちなものの一つに、家事分担があると思います。
あつた:両方働いているから半々にするのが対等であるとか、収入差が6:4だから家事は4:6負担にしようという議論を始めてしまうのは、結構厳しいなと思っています。そもそも、家事には決められた頻度やゴールの正解がないので、何をもって割合を判断するのか疑問ですよね。また、家事は何も夫婦二人で分担しなければならないものでもないんですよ。
マネ活編集部:どういうことでしょう。
あつた:まず明確にしなければならないのは、家事をどちらがするのかではなくて、「二人がそれぞれどう生きたいか」「いま何に注力したいか」だと思います。たとえば、資格取得のために勉強時間を多く取りたいとか、管理職になりたいから仕事に注力したいといった思いですね。お互いの思いを知ると、二人が家事にどれだけリソースを割けるのかが見えてきます。結果、「今は二人とも仕事で大切な時期だから、自炊は無理」という結論が出るかもしれません。そこがわかれば、「じゃあ、どうするか」を探せる。建設的な話し合いに移れるんです。
マネ活編集部:外部サービスを活用したり、便利家電を導入したりといった別の解決策に目が向くようになるんですね。
あつた:はい。相手が抱えている背景を知らないから、「私はこんなにやってるのに、あなたもやってよ」とか「収入差で分担を決めよう」といった話になるんじゃないかなと。対立構造で考えるのではなく、一緒に「今、二人の前にある課題」の解決策を探るのが、円満なパートナーシップに繋がっていくのではないでしょうか。
マネ活編集部:双方が納得いく落としどころ、見つかるものでしょうか。
あつた:双方の理想を満たした解決策を探すのではなく、二人のストレスが最小化される道を模索したほうがいいと思います。理想は専業主婦だけど、家計的にパートに出る必要がある場合、じゃあ少しでもストレスのない職場を探そう、とか。家事負担を軽くするために食洗機を買おう、とか。何にストレスを覚えるかは人それぞれなので、そこも含めて二人にとって良い選択をしていけたらいいですよね。
その出費は消費? 投資? 浪費?を考えてみる
マネ活編集部:先ほども話が出た「お金」も、人それぞれ価値観が異なるものだと思います。あつた家ではどう管理、共有をされているのでしょうか。
あつた:我が家は会社の経理方式で管理しています。私がレシートを出して、夫が管理している形ですね。財布は完全に別で、個人出費なのか家計費なのかを夫が確認し、立替分を振り込むといったスタイルです。会社経理スタイルは几帳面な夫だから管理できているものなので、二人に合う管理方法を採用すればいいと思います。
マネ活編集部:家計費と個人出費の区分けや、先ほど出た家事負担軽減のための投資にもつながる話として、お金の使いどころに関する価値観が合わないといったケースもあるのではと思います。
あつた:よく聞くのは、ドラム式洗濯機を買いたい妻と無駄遣いだと懸念を示す夫、みたいな事例ですね。これも、やっぱりその思いの裏側をお互い掘り下げていくことが必要です。出費は消費・投資・浪費の3パターンに分けられ、「これにお金をかけたい」の裏側を知ることでどれに当てはまるかがわかると思うんですよ。ドラム式洗濯機の例でいうと、妻にとっては、これは家事の時短ができるからキャリアのための投資と考えている。でも、妻の仕事への想いを知らない夫からしたら浪費にしか思えない。そこの掛け違いが揉める原因だと思います。
マネ活編集部:何が投資になるのかも、人それぞれ違いますもんね。
あつた:妻からしたら浪費にしか思えない夫の飲み会代も、実は夫にとっては人間関係構築のための投資なのかもしれない。消費・投資・浪費のどれなんだろうという確認はしたほうがいいんじゃないかと思います。
マネ活編集部:ただ、お金の話をいきなり相手に持ち掛けるのは、やっぱり心理的なハードルがあります。
あつた:そうしたお声はよくお聞きします。我が家はもともと同じ会社の先輩後輩だったため、収入や昇給についてオープンに話しやすいところがありましたが、それでもきちんとお金の話をし始めたのは最近なんです。「ふたり会議」のユーザーさんからは、お金に関する質問を入れてほしいといったご要望がありました。「借金が判明して別れた」という方もいらっしゃって。お金に関する話は、ほぼ皆さんしっかりできていらっしゃらないんだなと。そこで、アプリへの追加機能としてお金にまつわる質問事項を追加することにしたんです。
マネ活編集部:こちらも二択で答えていくものなのでしょうか。
あつた:はい。25問くらいの質問を用意していて、答えていくなかで互いのお金の価値観をすり合わせられる内容になっています。あと、お金に関しては専門知識も必要なことがあるので、たとえば「iDeCoって何?」など、学べる動画も有料コンテンツとして出していきたいと思っています。
「ふたり会議」アプリで、収入に対する考え方、使い方の希望などの質問に答えることでパートナーとお金に関する意見や考えをすり合わせできる
モヤモヤをそのまま出してもいい。話すことで自分のニーズが見えることも
マネ活編集部:パートナー選びで「価値観の合う人がいい」と言われたり、価値観の不一致で別れたりといったことがありますが、あつたさんのお話をお聞きして、価値観を常に合わせる必要はないのかなと感じました。
あつた:パートナーといえども他人ですからね。そもそも違っていて当たり前だと思っています。
マネ活編集部:家事負担や出費に関するところで、「自分はどう生きていきたいのか」という言葉が出てきました。これが価値観だと思うのですが、相手に伝えるためにはまず「自分はこうだ」と認識している必要があると思います。そして、自己認識が実は大変なのではないかと思うのですが…。
あつた:難しいですよね。ただ、伝える前に自分の中で、必ずしもしっかり言語化しておく必要はないと思っています。実際に、私も「自分でもよくわかっていないんだけど、モヤモヤしてるから聞いて!」と夫に聞いてもらったことがあるんですよ。
マネ活編集部:どういった内容だったのでしょう。
あつた:出費に関する話です。先ほどもお話したように、我が家では二人の出費と個人出費を別に考えて管理しているのですが、食品と生理用品を一緒に買ってきたレシートを提出したら、夫は生理用品は個人出費だと判断したんですね。その判断にモヤモヤがあったんですが、その理由が自分でもわからなかった。なかなかモヤモヤが晴れないので、「聞いてほしい」と夫に持ち掛けたんです。
話し合いの結果、夫はふだん個人出費でまかなっているコンタクトや化粧品と同じように、生理用品も「ゆかが使うもの」として「仕訳していただけ」だとわかりました。そして話をしてみると、私は数百円を自分で出費することが嫌だったわけではないと気づけたんです。個人出費として仕分けられたことで勝手に「生理の苦しみは、女性であるあなたが一人で担ってね」と言われた気持ちになってしまったんですよね。もちろん、夫にはそんな意図は微塵もありませんでした。お互いの思いを話し合うなかでモヤモヤの正体を見つけられ、「そうだったのか、ごめんね」とすっきりさせることができたんです。
マネ活編集部:言語化できていないモヤモヤの中に、自分の本心があるかもしれない?
あつた:そうですね。「これこれこうだからモヤモヤしていて、こうしてほしいんです」と、理由から提案まで言語化できてからでないと伝えられないと思われている人が多いと感じます。そうではなく、「自分でも整理できてないんだけど、モヤモヤするから話していい?」もありじゃないかなと。私も「ちょっとモヤモヤしてるんだけど、ちょっと待ってね、待ってね…」と夫と話すなかで「これだ!」に行き着いたので。
ご自身の経験も踏まえて、パートナーシップについて考え、語ってくださったあつたさん
マネ活編集部:いいパートナーシップに関しては、よく「相手がいい人だから」「相性がいいから」で済まされてしまうところもあるなと感じていたのですが、パートナーシップは一緒に育んでいくものなんですね。
あつた:そうなんですよ。相性だけで済むものではなくて、努力と継続が本質だと思っています。昔は、男性は仕事で女性は家事育児で…と役割分担がはっきりしていたので、話し合いができていなくても、役割さえまっとうしていれば何とかやっていけたところがあったと思うんです。でも、これからの時代はそうじゃない。雇用も不安定ですし、男性育休や産休、副業の解禁など、幅広い選択肢のなかから、自分たちの家庭経営のためにベストな判断をしていく必要があります。そのためには、パートナーシップのケアやメンテナンスが欠かせません。家庭力の底上げと言いますか、パートナーシップのインフラ作りを、今後もやっていけたらいいなと思っています。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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