編集部：出雲さんは、多数の芸能人を鑑定し、開運に導いていますが、風水に詳しくなったきっかけは何だったのでしょうか。

出雲阿国さん（以下、出雲）：私、実は過去に「5なし時代」、っていうのがあったんですよ。

デビューして割とすぐにレギュラー番組が決まり、ありがたいことにそんなに下積み時代を経験せずに芸人として食べていけるようになりまして。そうなると「私、面白いんだ！」と調子に乗っちゃいましてｗ。

でも、実力がないものだから長くはその勢いも続かなくて、6本もあったレギュラーが、わずか2年で1本もなくなっちゃったんです。

「彼なし、金なし、仕事なし。友だちもいないから、なすすべもなし」。そんな5なし時代に突入してしまったんです。

そんなときに「ダメな女芸人を風水で救えるか？」という企画があったんです。当時は、風水について怪しい「幸運のツボ」を売りつけられるのではないか？という意識しかもっていなかったのですがｗ。でも、なすすべのない私にとっては、その企画に頼るしかなくって。
そこで、風水師さんに家に来てもらったんです。

編集部：最初は番組の企画だったのですね。

出雲：「彼なし」と言いましたが、実はDV系の悪い男につかまっていました。DVって不思議で、暴力を受けても「彼しかいない！」って思い込んじゃう。それで友だちも、いくらアドバイスをしても私が聞き入れないから離れていってしまう　という悪循環でした。

ところが、何も話しをしていないのに、家にやって来たその風水師さんが「あなた、今、悪い男と付き合っているでしょう！？」と言い当てたんです。「え？誰かから聞いたわけじゃないよね？」とびっくりするぐらい、それ以外の現状もバンバンと言い当てられて！

すごい衝撃でした。「もしかしたら、風水が本当に私を救ってくれるかも」という気持ちになりましたよね。

番組の企画はその1回だけだったのですが、風水の勉強を始めたのはそこからでした。当時どんどんハマって、夢中になって自分の家を風水的に改造し始めたんです。

たとえば縁切りできるという風水を試したら、そのDV男と別れられたので「やった〜！すごい！」と思って。
次は風水で「玉の輿に乗れる」という開運行動を試してみようと思って龍の置物を玄関に置いてみたりもしました。すると起業家の彼氏ができたんです！もう、そうなってくると風水を軸に生活を回してしまいますよねｗ。

ところがある日、起業家の彼氏がうちの玄関の龍の置物を見て、ドン引いてしまった。そりゃそうですよね、20代半ばの女性が玄関に仰々しい龍の置物を置くセンスなんて、普通じゃない。風水にどっぷりハマっていた私には、それがわからなくなっていたんです。あの起業家の彼氏のドン引きの顔を見た時、ようやく「私、ちょっと変になってるかも」となりました。

そして、それから風水って何？開運ってどういうこと？と、テクニックに頼るのではなく風水の本質を勉強するようになりました。後の師匠になってくれる人も現れ、今に至る、というわけです。

編集部：きちんと風水を勉強するようになってから、風水との関わり方に変化はあったのでしょうか。

出雲：私の場合でいう龍の置物、など「運気を上げるためだけの理由で、心の底からいいなと思っていないもの」を買うことやめるようになりました。

編集部：出雲さんが考える本当の風水とは、どのようなものでしょうか。

出雲：自分が一時期、感覚が麻痺した危ない風水野郎になってしまったのは自信がなかったからだと思います。
でも、今は風水や東洋思想の学びを深めていくと現代でいう心理学や色彩心理学などと風水が共通する点がたくさんあることがわかりました。
風水って環境が体に影響を与えているっていうことを利用した昔の人が残してくれた知恵なんだ。と学びました。
おまじないや、不思議なパワーではなくて五感で感じる刺激を意識して変えることで脳の働き、体のパフォーマンスを改善できる。そうなれば思考はクリアになるし、判断力も上がる。物事は良い方向に進みますよね。

「運気」は自分がいる環境の刺激を変えることで作ることができるんだ！って感動しました。

でも「不思議なパワー」として伝えたほうが、正直過去の私のように自信がなくてメンタルが弱っている人には届きやすいですよね。
となると、ついつい自分の人生の刺激として関係のない怪しい開運グッズを理由もわからず買ってしまったりします。

そういう先入観を払拭するために、昔ながらの知恵で環境を変えて、自分をよくしていく学問なんだって。風水も現代版にアップデートしていく必要があるんじゃないかな、と考えました。

例えば、「運気が上がる」とされる風水は、五感を刺激するようなものになっています。五感への刺激をコントロールできれば、脳の働き、パフォーマンスを改善できる。そうなれば当然、物事は良い方向に進みますよね。実は、運気が上がる風水は、パフォーマンスを良くする環境づくりだった、というわけなんです。

同じように、色彩心理学の色の効果が風水でも同様の効果をうたっていてリンクする。「心理学」なんていう言葉がなかったから、昔の人は事象を観察して、「風水」として学問を広めたんじゃないかなぁって思います。

以前の私がそうでしたが、風水と聞くと、怪しいものを買わされる、と考える人が多いですし、そういう本が世の中にあるのも事実です。そうした先入観を払拭するために、昔ながらの知恵である風水学も現代版にアップデートしていく必要があるんじゃないかな、と考えました。

編集部：なるほど、何かしら買わなければならない“物”と関係なく、パフォーマンスを改善できる環境づくりが風水の基本ということなんですね。その知識に至ったということが理由とは思えないほど多くの芸人さんたちに効果的なアドバイスをされているようですが。

出雲：それはたくさんの人を鑑定させてもらった、経験値が多いからですね。今までで3万6,000人以上の方のお家を鑑定させていただいているので、どんなお家だとどんな思考になりやすいか、などたくさんのデータを取らせていただいていて、それが風水で学んだままの結果になっていることが多いんです。

それこそ風水を学び始めの頃は、よく吉本に所属しているタレントさんをたくさん見させていただいていたのですが、それぞれの共通点とか傾向があったりするんです。

例えば、売れている芸人さんの家はすごくきれいだったりとか、ネタがめっちゃ面白いのに売れていない芸人さんの家は、湿気がこもっていてカビが生えていたりする。これは、売れているからきれい、売れていないからカビが生えている、ということではなく、実はその逆なんです。

人って、環境に適合するし、環境に左右されますよね。無意識下で環境の影響を受け、「自分はこういう人間なんだ」と良くも悪くも考えてしまう。考えを変えるには、環境をまず変えないといけない。なりたい自分に合わせてまず環境を作って行く、それが風水なんだなって実感しました。

環境と心、そして体は三つ巴の関係にあります。色彩心理学や色とホルモンの関係について、また健康な肉体のために薬膳や漢方についても学ぶことで、なりたい自分が生まれる環境づくりのアドバイスができるようになったんです。

結局のところ、「運」って脳のクオリティを上げることなんですよ。チャンスが巡ってきたときに、それを前にしてぼーっとしているのか、それともすぐに変化のサインをキャッチして人生をハッピーな方向に進めていけるか。体がほぐれていてベストコンディションであれば性格が柔らかくなるし、脳も柔軟になる。その環境づくりに風水がこういう形で関わっているということを知っているだけで、おまじないや神様とかに頼らなくても、自分で変えて行くことができるんだ〜って思えませんか？ 

編集部：「美人のマネ活」ということで、お金周りについてもお聞きしたいと思います。ズバリ、金運アップと室内環境の関係について教えていただけますか。

出雲：昔から、北東や南西は鬼門と言われ、水回りを置かないようにと言われていました。金運ダウンの間取りですよね。

なぜか。

実は、その方角は湿気が多くカビやすいという特徴があるんです。そうすると、必然的に体調不良になる。「湿邪」という言葉がありますが、湿気は消化を悪くし、夏バテを引き起こす。湿度の高い日本では、湿気対策が健康な心身を保つのに重要な役割を担う。それが風水として「鬼門には水回りの設備を置くな」と伝えられたというわけですね。   

トイレについては、ほかにも風水的に気を付けたいことがあります。「金運アップにはトイレ掃除がいい」って聞いたことがありませんか？実は、金を生むのは“土の気”と言われており、東洋の中医学的思想では、消化器系が人体の中では土の気を持っているとされています。

良いお通じがある人は、考えがポジティブ。逆に、溜まってしまっている人はネガティブになりがち。お腹が弱い人は悩みやすいんです。ちびまる子ちゃんの山根くんとか典型的ですよね。胃腸が弱いからネガティブ発言ばっかりですｗ。

トイレが汚いと、トイレで長い時間過ごしたくないし、行きたくもなくなってしまう。入ったとしても、臭ければ呼吸が浅くなり、リラックスした排泄ができなくなる。そもそも、不快な臭いは脳に危険信号を灯させます。当然、良い考えが浮かばないですよね。

でも、掃除の行き届いているきれいなトイレなら、深呼吸できるしリラックスできる。排泄もスムーズに行なえます。良い方向に五感が刺激され、アイデアが生まれやすいというわけです。

科学が発達していなかった時代では、「トイレの神様が〜」と言ったほうが言いつけが守られたでしょうけれど、現代では逆効果。理由をしっかり話してあげたほうが、聞いてもらえるし、行動を起こしてくれるんじゃないでしょうか。

でもそうなると「もう家買っちゃった！」「引っ越しちゃったのにどうしよう！」って不安になっちゃいますよね！
その考え方が怪しいグッズ買っちゃう予備軍です♪もし、悪い間取りなどであってもその悪い作用がわかっていれば「綺麗にする」とか「リラックスできる要素をたす」など悪いところを改善して行くことをして行けばいいだけなので、風水的に悪かったとしても「なんのために風水をするのか」に立ち返って考えてみると良いと思います！

例えば、トイレ掃除が金運アップ！って聞いて日に何度も掃除したりする人もいます。
ま、しないよりはいいんですけどW。
なんのためにするか、って考えたら、お家であれば1日1回で十分だったりしますよね。トイレ掃除しすぎてる時間にできること、あるでしょ。って。
リラックスしながら排泄できるような空間にすることで、自分が「ポジティブになれる」。結果、金運アップにつなげて行きましょ！

編集部：金運アップのアイテムやカラーはありますか。

出雲：ラッキーカラーというのは、風水ではなく占いの領域になるんですが、あえて言うと、2021年は、白、シルバー、ゴールド、黄色などの明るい色や、気分を落ち着かせるラベンダーや高貴な色のロイヤルブルーを身に着けるといいですね。

アイテムでは、“入れ物”を大切にすること。入れ物というと、かばんやポーチなどと考えがちですが、靴なら足を入れる入れ物ですし、家は人を入れる入れ物。自分の持っている入れ物を大切に、ステキにすることを強化してみてください。

特に、メイクポーチは見直してもらいたいですね。実は、メイクポーチを見れば、その人の金運がわかる、とまで言われているんです。

というのも、お金を貯めるには、使い方が大切ですが、お金の使い方が上手な人は整理整頓が上手なもの。毎日使うメイクポーチなら、自分の傾向が出やすくなります。

「普段よく見る刺激」はやはり、脳に大きな影響を与えます。
整って綺麗で取り出しやすい状態のものをみればリラックスできるし、必要な時にさっと使えるので余計な判断能力を使わなくてすみます。でも汚いしごちゃごちゃしていると、自分の思考もこんがらがったり、ネガティブな思考に陥ります。

なので、毎日使うメイクポーチは綺麗にしておくと、無駄に脳のクオリテイが下がるのを防げますよね！
もう、今早速メイクポーチ直したい気分なんじゃないですか？

同様の考え方で、あるあるなのが携帯の画面がバッキバキに割れているのをそのままにして使っている人。
よく目にする機会がある携帯の画面が割れていたら確実に脳はストレスを感じます。
自分の視界に無意識に入ってくるものが良くも悪くも自分に影響を与えているんだっていうことを意識してみると運気はアップして行きますよ♪

編集部：パワースポットについてもお聞きしたいと思います。金運に良い影響を与える場所ってありますか。

出雲：2021年に限定すれば、長い階段のある神社、ご神山を持っている神社ですね。今年は六白金星中宮年といわれる年なので、寺社仏閣の当たり年になっているんです。この、「六白金星中宮年」というのは、権威のあるものにパワーが宿る年のこと。寺社仏閣、教会など宗教的なものに限らず、格式の高いホテルや旅館、ハイブランドのものなどがいいですね。

「これまでがんばってきた自分にご褒美♪」と考えて、ぜひ、本物に触れてもらいたいです。

岩手・花巻にある新鉛温泉も、金運が上がりますよ。ここは、今年に限らずいつでも行っていいんじゃないでしょうか。

編集部：投資運を上げるスポットはありますか？

出雲：これも2021年に限らずなんですが、個人的には、鳥取県の金持（かもち）神社が金運アップに特にオススメです。名前からして、金運が上がりそうですよね（笑）。

ここは、偏在運を上げてくれる場所。自分の手持ちのお金を使う、つまり投資というリスクを経て財産をアップさせるパワーがあるスポットなんです。宝くじを買う前にお参りして、当たった人がバカスカと出ました。

東京近辺では、神田明神と不忍池にある弁天堂で9月に開かれる巳成金大祭（みなるかねたいさい）がオススメ。

神田明神には、「勝守」※があります。これは勝負運を上げる「勝つ」運気を高めてくれるものなので、私は受験の時や大事なコンテストの時など欠かさず授与してもらっているのですが、いつもご利益をいただいて合格したり、勝ち進んだりして行くことができました！

投資をある種の「勝負」と考えればこのお守りもいいかもしれませんね！

※「勝守」――関が原における天下分け目の合戦で、徳川家康を勝利に導いた神田明神の神職にあやかって作られた御守

巳成金大祭では、福財布というここでしか買えない財布を販売しています。買い求めてみてはどうでしょうか。

編集部：なるほど、ありがとうございます。他に、金運関連で生活の中で気をつけるべきことはありますか？

出雲：「台所」は強化しておきたいポイントです！

風水では、冷蔵庫は「金庫」と言われているくらい、金運と関係があると考えられています！
冷蔵庫の中が綺麗に整頓してあって、過不足なく必要なものがバランスよく保存されている人は金運が上がるとされています。時々いらっしゃるのは「これ、何の汚れ？」っていうような液だれやシミがある冷蔵庫。私はこれを「しみったれた金運冷蔵庫」って呼んでいますｗ。

冷蔵庫は自分の体を作る食材を入れておく場所。そこがパンパンだったり、整頓ができてなかったら、腐っているかどうか？新鮮なものか？と無駄な脳のエネルギーを使う元になってしまいます。
いつでも新鮮な食べ物にアクセスできる、適切で必要な栄養が取れることをイメージして「サゲ冷蔵庫」にしないことがオススメです。

また、コンロや電子レンジなど火の気のエネルギーを持つ場所は判断能力と密接な関わりがあるとされています。
汚れていると判断力が低下してアイディアが生まれなかったりチャンスを逃しやすくなります。
勝負に勝ちたいときは火の気と関連する場所を綺麗にキープして見るのも良いですよ！

編集部：風水の奥深さや、今すぐにできることをたくさん教えて下さいました。特に、新生活を始めるにあたり、湿気のこもらない環境づくりを心がけること、水回り、冷蔵庫、火の回りを清潔に保つべき理由についてもわかって、なんだかスッキリしました。

最後に読者にメッセージをお願いします。

出雲：自分が何か悩んだりうまく行かないことが起こった時に、感情的になったり苦しんだりするよりも「あ、一旦環境を整えてみよう」って視点を変えたり、刺激を変えたり、色々な方法で解決していけるので、その一個の方法として「風水の知識」があると自分の引き出しが増えるのかなって思います。

風水についてみんなに知ってもらいたいですが、あくまで「開運グッズを買う」開運に縛られないでｗ。
この頃では科学的なアプローチでも裏打ちされ始めていて、学問や生活の知恵として活用できるのが現代版の風水。環境から自分を変えて行く技術をぜひ、活用してみてください！

龍の置物や幸運のツボよりも、可愛く、賢く、実用的に風水を活用して、理想の自分の手助けにしていけたらいいですね！

編集部：ありがとうございました！さっそく私の汚いメイクポーチを買い替えたいと思います！