伊藤修子さんのおひとりさまライフ―「女優」というにはあまりにも多彩な顔
劇団「拙者ムニエル」の看板女優、大喜利力を競う「IPPONグランプリ」初の出演女優、編み物の腕前はニットの貴公子が絶賛……。多才さを持ち合わせている個性派俳優 伊藤修子さんの、過去から現在、そして将来を見据えたお金に関する本音をうかがいました。
親に反対された女優への道
マネ活編集部:大学卒業前後に劇団「拙者ムニエル」に入団され、すぐに看板女優になられたとお聞きしています。あまりお金のことで苦労をされなかったのではないかと思うのですが……。
伊藤修子さん(以下、伊藤):演劇の年収が40万円だったこともありましたので、実際けっこう苦労したと思いますよ。それでも「演劇で、こんなにもらえるのか」と喜んでいました。
そのため、メインの収入はアルバイト。パソコンなどデジタル系が得意でなかったこともあり、高収入のバイトに就けず、流通の梱包作業のような短期バイトを転々としていました。
親からは、女優になることを反対されていて、それをやんわりと無視し続けて、今に至る、という感じですね。
マネ活編集部:反対されていたのであれば、金銭面での支援も得られなかった?
伊藤:それが、本当にお金がなくなったときにはちょっと送ってくれたりして。厳しいのか甘いのか、よくわからないですね。
今は、テレビドラマに出させていただくこともあり、なんとか仕事で食べていけるようになりました。NHKの大河ドラマに出たときには、親も喜んでくれて、恩返しできたかな、と感じます。
親世代では理解しづらい、今どきな内容のドラマに出ていても、わからなさそうなので、今は「あなた、全然活躍していないじゃないの」と思われているかもしれませんね。
渡瀬恒彦さんから拍手をもらう!?
マネ活編集部:そんな中、番組開始以来初めての女優として、大喜利力を競う「IPPONグランプリ」に出場なさいました。
伊藤:ほんと、なんかね(笑)。舞台で、バッファロー吾郎さんという、よしもとの先輩芸人さんと共演させていただく機会があり、わたしが稽古中にセリフをちょこちょこ変えるのを見て、「IPPONグランプリに出ない?」ってお声がけくださいました。
はじめは、自分にできるのかわかりませんでしたので、お断りしたんですよ。そうしたら、周囲からも「いや、出たほうがいい」って推してもらって。
事務所を通じてオーディション用紙に大喜利ネタを記入して送ったところ、通ってしまい…強烈に出たい、という気持ちだったわけではなかったこともあり、複雑な気持ちでしたね。IPPONグランプリのスタッフさんから「今回の意気込みは?」って尋ねられたんですが、意気込みっていう感じでもないし(笑)。
舞台と違って、テレビではより表現に気をつける必要がありますから、そういうところに気を使いすぎてストレスを感じたんでしょうね。
だから、急に振られても答えられるよう、常に喫茶店などで面白そうなことや言葉を考えたり、ネタ帳を持ち歩いてメモしたりしていました。何もないところから都合よく出てきませんから。
マネ活編集部:女優なのにネタ帳。伊藤さんが努力家なのが伝わってきます。
伊藤:「一発ギャグのイベントに出ませんか」と声をかけられて出たこともありました。思いついた一発ギャグも書き留めておいてよかったです。
マネ活編集部:女優としてのお仕事で、印象深いものはありますか。
伊藤:少し参加するだけ、という仕事が多いのですが、渡瀬恒彦さんのドラマ(2013年放映TBS 「月曜ゴールデン 十津川警部シリーズ49」)に出させていただいたときのことは忘れられません。
実は、間違えて準備稿の台本を覚えてきてしまっていたんです。完成台本のセリフとかなり違ったため、現場で覚え直しました。「これは、怒られるだろうなぁ」とビクビクしていたんですが、無事にセリフを言えたところ、終わってから渡瀬さんが拍手してくださって。あのレベルのかたとご一緒できる機会が少ないこと、台本を間違えたこと、拍手していただいたことなどすべてが強烈で、本当に忘れられない思い出になりました。
多彩な趣味を活かせるおひとりさまライフを満喫
マネ活編集部:マネーに関することもお聞きしていきます。伊藤さんは、芸が多才なだけでなく、編み物、料理、イラストなどさまざまな趣味をお持ちだとうかがっています。どんなふうに暮らしに役立っていますか。
伊藤:コロナ禍ということもあり、仕事が激減して、外出する機会がめっきり減ってしまい、免疫が下がってきたという自覚が出てきてしまいました。それで、少し散歩することに加え、食事にも気をつけようかなと思い、漢方スープを作って、体のメンテナンスに役立てています。
漢方スープといっても、特別なものではなく、ナツメやクコ、骨付きの豚肉や鶏肉などの材料を1~2時間煮込むだけ。結構簡単ですが、体には効いているみたいです。
編み物は、意外と材料費がかかるので、節約にならないんですよね(笑)。ただ、自分でセーターを編むので、本物を見る目が養われ、「これにこれだけのお金を出すのなら、ファストファッションでいいかな」と考えるようになり、無駄に余計なものを買わなくなりました。
マネ活編集部:編み物が仕事に役立ったこともあるとお聞きしていますよ?
伊藤:ふふふ、そうなんですよね。編み物をはじめたのは小学生の時で、その後しばらくやっていなかったんですが、大学に入ってから再開して。実際、セーターのような大物を編むようになったのは、再開して10年くらい経ってからなんです。
友人に「作って~」と頼まれることもあり、ついつい気合が入りすぎて2日ぐらいで徹夜して作っていたら、うつむいた姿勢を取りすぎてリンパ節炎みたいなものになってしまったこともありました。
でも、そういう好きでやっている趣味のことをTwitterやInstagramで発信していたら、タレントさんの能力を競うバラエティ番組「プレバト!!」スタッフの目に留まったらしく、編み物好きなタレントさんたちと一緒に出場する機会を得たんです。
実は、普段の編み物はニットブックにあるものを作るだけ。でも、「プレバト!!」ではデザインをし、自分で製図するところからはじる、とのことでとても苦労しました。
マネ活編集部:ところが、ぶっちぎりで「才能あり」でしたよね。
伊藤:ニットの貴公子(広瀬光治氏)に褒めていただきました。
まあ、もう一度製図からやって、と言われたらちょっとつらいですけど(笑)。
マネ活編集部:「好き」といえば、香港好きもガンガン発信されていますよね。
伊藤:今思えば、1997年、大学在学中にジャッキー・チェンの映画の主題歌が入っているCDを購入していたので、その頃から気になっていたのかもしれません。
ただ、どっぷりハマるようになったのは、2017年に香港に行きだしてからですね。今はコロナの影響で、現地に行けないので、都内で香港喫茶のような、香港の気分を味わえる場所に行ったり、香港や台湾に住んでいる友人にお願いしてお菓子やこちらで手に入らないものを送ってもらったりしています。箱を開けるときのワクワク感がいいですよね。
マネ活編集部:現地の人とはどのように知り合うんですか?
伊藤:香港好きを発信していたら、SNSでやり取りするようになって知り合ったとか、よく行くアジア雑貨で知り合ったとか。共通の趣味があるからか、話が合うみたいですね。知り合って1年しか経っていないのに、マレーシア旅行に一緒に行ったこともあります。
そのときは、日本から一緒に……ではなく、マレーシアで現地集合。空港からバスで3時間かかる場所だったので、バスが来るのか、事故に遭わないかと、めちゃくちゃ不安でした(笑)。
マネ活編集部:SNSの活用度合いがすごいです。
伊藤:こうして好きを発信しているからか、Instagramを通じて香港の新聞社から取材の申し出をいただいたこともあります。しゃべれないので、「よしもとの窓口からお願いします」と返事しました。取材の様子は動画で残っているので、よかったら見てみてください。
『おっさんずラブ』が台湾や香港でも配信されているので、そろそろ香港の街を歩いたら「あ、伊藤修子だ」と言われてもよさそうですよね。囲まれるぐらいになりたいです(笑)。
マネ活編集部:香港に関連してインタビューを受けていらっしゃることも多いですよね。好きを発信することが大切なんだなぁと感じます。
不安だからこそお金のことを話し合おう
マネ活編集部:そんなおひとりさまライフを満喫されている伊藤さん。失礼ながらアラフォーということもあり、将来のお金についてはどのように備えていらっしゃるのか気になります。
伊藤:実は、全然準備できていないんです。特に去年あたりはコロナ禍で、貯金する余裕もありませんでしたし。
ただ、親がしっかりしているので、そのあたりはかなり助かっていますね。「将来のことを考えて株式投資しなさい」「お金のことについて、ちょっと話があるから来なさい」と言われているんですが、なかなか実現できていません。
親の住んでいる家のことや、わたしが後見人となっているおばのマンションをどうするか、など、話し合わないといけないことは多そうなんですが。
マネ活編集部:わたしたちの年齢(アラフォー)になってくると、自分の将来のお金の不安だけでなく、親の介護から遺産の話なども現実問題になってきますものね。
伊藤:そうなんですよね。こんな感じで、不動産もない、貯金もない状態ですが、密かな野望があるんです。
ひとつは、稽古の途中でぽっくりいくこと。なにせ、定年のない仕事なので、台詞回しさえクリアできれば、いくつまででも働けます。生涯現役でいたいな、と。
もうひとつは、大好きな東南アジアの雑貨を仕入れたり、趣味の編み物を活かして作ったりしたものをほそぼそと売る、ということ。今は店舗を構えなくてもネットショップを簡単に作れるので、まずは副業として手を付けていければなぁと思っています。
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親から言われている投資については、正直、自分に才能があると思えないので、手を付けられずにいます。まずは自分にできることからコツコツとやっていきたいですね。
わたしと同じ、もしくは少し上の世代の人たちに、「マネ活」のことで偉そうに言えないんですが、万が一のために保険や、健康保険には入っておいたほうがいいですよ、と言いたいですね。あとは、健康で仕事を続けていけるように体力維持を心がける。
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