ポイントを賢く貯めて使うには“平常心”を忘れずに――FP風呂内さんに聞く「賢いポイントGET法」
クレジットカードや電子決済サービスなど、いつものお買い物でいつの間にかポイントが貯まっているとうれしいもの。できれば、賢く貯めて賢く使いたいと考えるのも自然なことでしょう。本サイトでもおなじみのファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢さんに、賢いポイントGET法と、ポイントに関連した陥りがちな課題についてお話をうかがいました。
もくじ
・ポイントの価値を正しく見極めれば消費は抑えられる
・面倒なことは避け、いつものカードで自然にポイントが貯まるような仕組みを作る
・テンションが上がるものより日常使いするものにポイントを使う
ポイントの価値を正しく見極めれば消費は抑えられる
マネ活編集部:楽天ポイントをはじめとした、さまざまなポイント制度がありますが、ポイントを貯めたり使ったりすることのメリット・デメリットについて教えてください。
ファイナンシャルプランナー風呂内亜矢さん(以下、風呂内):ポイントの多くは現金の代わりに使えるため、普通にお買い物をしているだけで貯まるポイントであれば、貯まったぶんだけ家計改善に役立つ、というメリットがあります。
ただ、ポイントを貯めることばかり重視してしまうと、余計な出費が増える、というデメリットが出てきてしまいます。
マネ活編集部:主従が逆になってしまうということですね。それがいやで「わたしはポイントカードを作らないの」という人もいます。
風呂内:ポイントに釣られないという面で、それはメリットかもしれません。ただ、ちょっといやらしい考え方かもしれないのですが、店舗側でポイントを出せる、ということはそのぶんだけ価格に上乗せされている。ポイントをもらわない、という人はそのぶんだけ損をしているかもしれない、というのがある意味ではデメリットとなってしまいます。
マネ活編集部:もらえるポイントはやっぱりもらった方が良いものの、ポイント獲得に踊らされず、上手に活用することが重要になってくるんですね。
風呂内:ポイントを貯めて使う人には2つのパターンがあると考えています。片方は、お買い物をするんだから自動的に貯まるに任せよう、という人。他方はポイントをもらうために買い物をする人。
前者の場合、50ポイントが貯まったら、「50円分の現金として使えるな」と考えます。後者では、「この特典の50ポイントは、5,000円分の買い物に相当する!」と考えます。あくまでも、50ポイントは(1ポイント1円換算の場合)50円の価値しかないのに、そのポイントを得るための原資である5,000円の価値を見出してしまうのがポイント重視の人の特徴ですね。
ポイントから金額を計算してしまう人にありがちなのが、同じような製品でもポイントの高いものを購入するという消費行動です。たとえそれが自分の好みではなくても、それを選んでしまう。結局、満足度が低いため、全体的なバリューは落ちてしまう。とても残念なことなので、できればポイントを取りにいくという考えや行動は避けたいところです。
面倒なことは避け、いつものカードで自然にポイントが貯まるような仕組みを作る
マネ活編集部:どうすれば、ガツガツすることなく、スマートにポイントを貯められるでしょうか。
風呂内:まず、大前提として、「頑張らないといけない」ようなやり方は長続きしないのでオススメできません。シンプルアクションで自動的に得をしたり家計に貢献したりするような仕組みづくりが大切になってきます。
そのうえで、まず4大共通ポイントを押さえておきましょう。
・楽天ポイント
・dポイント
・T-POINT
・Pontaポイント
がそれに当たります。次に、その中で贔屓(ひいき)を決め、そのポイントが貯まりやすいクレジットカードをメインにする。そういう仕組みづくりをしておけば、スマートにポイントを貯めることができます。
マネ活編集部:お店が発行しているクレジットカードで決済するほうが還元率が高いので、複数のクレジットカードを財布に入れてしまいがちです。
風呂内:複数あると、引き落とし日や決済額、送られてくる明細票などの管理が煩雑になりますよね。それは、ストレスにつながってしまいます。
なので、どのお店でどんな使いかたをしているかを振り返り、メイン1枚にまとめたほうが楽になる、というわけです。
マネ活編集部:カードを選ぶ際のポイントはあるのでしょうか。
風呂内:どのお店で買い物をしても還元率が高いものを選ぶのがオススメです。
数字を出して考えてみましょう。発行系列店での買い物に限り5%、他店舗では0.5%のポイントの還元率を持つカードがあるとします。そのお店だけで買い物をしているのであれば、それで良いかもしれませんが、年間11万円のうち、1万円ぶんしかそのお店で買い物をしないのであれば、1万円の5%=500ポイントと10万円の0.5%=500ポイントの合わせて1,000ポイントが貯まります。
これを、どのお店で決済しても1%以上還元するというカードに変えれば、1,100ポイント貯まります。
年間で使う金額が11万円ということはないので、実際にはもっと大きな差となって現れますから、年会費が無料でポイント還元率が一律で高いもの――わたしはそれを「王道カード」と呼んでいますが、そういうものを選んで1枚にまとめたほうが管理の面倒臭さもありませんし、いつの間にかポイントが貯まっていた、といううれしさにつながるのではないかと考えています。
マネ活編集部:いかに普段のお買い物で、意識せずに貯めるか、というところですね。ところで、意識して“賢く”貯めるにはどうすればいいでしょうか。
風呂内:楽天ポイントの場合では、楽天市場で気になるお店や商品を「お気に入りに追加」しておいて、「お買い物マラソン」(複数ショップで買い回ることによって、ポイント還元率がアップするキャンペーン)時にお気に入りをチェックして購入する、という方法が考えられますね。
これには2つのメリットがあって、1つは買いたいと思ったときに衝動買いせず、「お気に入りに追加」して寝かせることで本当に必要かどうかを冷静に判断できて消費を抑えられるということ、もう1つは欲しいものだった場合、通常よりも多くポイントを貯められるということです。
いわゆるイレギュラーなものではなく、常備薬など生活必需品をリストアップしておいて、キャンペーン時にまとめて購入する、という方法も賢いですよね。
テンションが上がるものより日常使いするものにポイントを使う
マネ活編集部:賢く貯めたポイントは、使うときも賢い方法で使いたいものです。やっぱり、普段は買わないような、ご褒美的なものに充てたほうがいいでしょうか。
風呂内:実は逆なんです。現金では買わないだろうな、というものより、現金を出してでも買うようなものを選ぶのが家計改善には役立つんです。
マネ活編集部:そうなんですね!
風呂内:いつもなら買わないものを買う、ということはそのぶんだけ支出が増えたということ。一時的にテンションの上がるものより、気持ちの浮き沈みのない、日常的に使うものに充てるのが賢い使い方なんです。
マネ活編集部:平常心でいられるものが大切、と。
風呂内:そうですね。例外もあって、現金だったらしないかもしれない、というチャレンジに充てるのなら、ありかもしれません。例えば、楽天ポイントであれば、そのポイントで投資信託商品を買うことができます。しかも、その投資信託を売却すれば現金となるわけです。
もともといつの間にか貯まったポイントなので、マイナスになってもお財布が痛みませんが、プラスになったらうれしいし資産にもなる。「ポイントが貯まったんだけど、うまく使えない」と感じているのであれば、ぜひチャレンジしていただきたいですね。
マネ活編集部:最後に、読者にこれだけは伝えておきたい、ということがあれば教えていただけますか。
風呂内:こういう節約方法や賢く貯める方法などをお話すると「わたしには無理だ」と考える人がいらっしゃいます。でもそれは、聞いたことをいきなり全部実行しようと思うからなんですよね。まずは、取り組みやすいことからはじめて、それが習慣化したら次の方法を、という具合にステップアップしていけば、無理なくできるのではないかな、と思います。
また、メインカードや貯めるポイントなどのシステム選びでも、「これがベスト」というものを探していては疲れてしまいます。何にも取り掛からないよりは、少しでも今より良いものを積み上げていけばいい、と考えると気が楽になりますよ。多分「これがベスト」というものはどんなに探しても見つからないので。
小さな一歩でも、まずは踏み出していただきたいな、と思います。
マネ活編集部:どうもありがとうございました。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。