解約返戻金（かいやくへんれいきん）とは、契約期間中に保険を解約した時に、契約者に払い戻されるお金のことです。終身保険のほか、養老保険や学資保険、個人年金保険など貯蓄型の保険で解約返戻金が払い戻されます。

解約返戻金がある保険でも、それまでに支払った保険料が全額払い戻されるわけではありません。基本的に、保険の解約をすると解約返戻金は払い込んだ保険料の総額よりも少なくなるケースがほとんどです。ただし、契約期間が長ければ、一部の保険商品では解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を上回るケースもあります。

当然ですが、解約返戻金を受け取るために保険を解約すると保障は消失します。解約返戻金のために保険の解約をするべきかどうかは十分に検討しましょう。

返戻率は、解約返戻金を知る上で必ず押さえておきたい指標です。返戻率は「払い込んだ保険料に対し、解約時にどれだけお金が戻ってくるか」を表しています。返戻率が高いほど、たくさんの解約返戻金を受け取ることが可能です。解約返戻金の額は以下の式で求められます。

返戻率（％）＝解約返戻金÷支払った保険料の総額×100

もし返戻率が100％を下回っていれば、払い込んだ保険料よりも少ない額しか返って来ずに元本割れとなってしまうのです。返戻率は同じ保険商品であっても、解約のタイミングによって変わってきます。現在のタイミングで解約した場合の解約返戻金や返戻率がどれくらいになっているかを知りたければ、保険会社に問い合わせしましょう。

生命保険で受け取れるお金には、「満期保険金」も存在します。満期保険金は、保険が満期を迎えた時に受け取れるお金であり、養老保険や学資保険、個人年金保険などで受け取ることが可能です。ほとんどの場合、保険料の総額よりも多い金額、もしくは保険料に見合った金額が支払われます。

一方で、解約返戻金は何らかの事情で契約が満了できなかった場合に払い戻されるお金です。保険料の払込期間が終わっていなかったり、保険会社の運用期間が短くなったりするため、戻ってくるお金は満期保険金に比べて少なくなります。

解約返戻金を受け取った際、支払った保険料よりも解約返戻金が多ければその差額が一時所得として所得税の対象となります。ただし、差額が50万円を超えない場合、所得税はかかりません。所得税がかかる場合の一時所得の計算式は以下の通りです。

一時所得の金額＝（解約返戻金－保険料総額）－50万円

一時所得の金額に2分の1を掛けた金額を、他の所得と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。基本的に一時所得の金額が20万円以内の場合、確定申告は必要ありません。20万円を超えた場合は、確定申告が必要になるため、忘れないようにしましょう。

「毎月の保険料が負担になった」、「まとまったお金が必要になった」などの理由から、保険の解約を検討している方もいるでしょう。保険の解約前に知っておきたい注意点について解説します。

・タイミングによっては解約返戻金が少なくなる
掛け捨ての生命保険ではなく、終身保険や養老保険などの貯蓄型保険の場合、解約したとしても解約返戻金がもらえます。しかし、解約をするタイミングによっては、払い込んだ
保険料よりも解約返戻金の額が少なくなってしまい、元本が割れてしまうケースがあるのです。

加入して数年しか経っていない場合の早期解約になると、解約返戻金が全くないか、あったとしてもわずかな額となるケースがほとんどです。可能であれば、保険料の払込期間が満了するまで保険料を払い込んでから解約することをおすすめします。

・保険に再加入すると保険料が高くなる
生命保険を解約した後に、再度同じ保険に入り直そうとすると、保険料が前回よりも高くなる場合が多いです。生命保険の保険料は加入時の年齢を基準にして決められ、若いうちに加入した方が安く設定される傾向にあります。

もし若い時に加入した保険を解約し、「やっぱり必要だから入り直そう」と再加入すると、その時の年齢で保険料が再計算されるため、保険料が前回よりも高くなってしまうのです。また、加入時には健康告知が必要になるため、病気になっていれば加入できない可能性もあります。

保険料を支払い続けるのが厳しくなり、保険の解約を検討している方におすすめなのが「払い済み保険」です。払い済み保険とは、月々の保険料の支払いをやめて、貯まっている解約返戻金の範囲内で保障を続けられる制度のことです。以降は保険料を支払わないため受け取る保険金額は減りますが、保険期間は変わらずに保障が継続します。