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FIREするにはどうすれば良い? 株式投資で「億り人」になったまつのすけさんに聞く
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
今、注目が集まっている「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」。FIREとは、経済的に自立して、勤め先の会社を退職することです。「経済的に自立」というのは、生活費を労働収入に頼らずに、基本的には金融・不動産などの資産から得られる状態を指します。
最近はSNSで「FIREをした」とゆとりのある優雅な暮らしを発信するインフルエンサーもいるので、密かにあこがれている人も多いかもしれません。
では、FIREを実現するにはどのくらいの資産が必要なのでしょうか?また、その資産を築くためにすべきこととは?株式投資でFIREを達成し、現在約10億円の金融資産を保有している「億り人(株式投資などの取引で資産1億円以上を築いた投資家)」の、まつのすけさんに株式投資でのFIREについて話を伺いました。
- FIREしたいなら「1年間の生活費×残りの人生の年数」の資産が必要
- 資産を増やすには、自分にあった投資スタイルを知ることが大事
- 株式投資初心者が資産を築くために必要なマインドと知識とは?
- 投資を一生楽しめることが幸せ
- <インタビューを終えて>
FIREしたいなら「1年間の生活費×残りの人生の年数」の資産が必要
── 20代から株式投資をはじめ、現在は「FIRE」をしているまつのすけさん。まつのすけさんのようにFIREするためには、どのくらいの資産が必要なのでしょうか?
まつのすけ:ネットを見ていると「3,000万円でOK」とか「1億円は必要」とか、いろいろな意見があるから迷いますよね。僕はひとつの目安として、「1年間の生活費×FIRE時点での残りの人生の年数」で考えると良いと思います。
例えば、1年間を300万円で生活している人が40歳でFIREを目指すとしましょう。仮に80歳まで生きるとして、300(万円)×40(年)=1億2,000万円が必要になるでしょう。1年間を400万円で生活している人が30歳でFIREを目指すなら、400(万円)×50(年)=2億円が必要となります。
──かなりまとまった額が必要となるのですね。
まつのすけ:「投資で得た利益を生活費にするから、資産が3,000万円もあれば大丈夫」という方もいるので、考え方は人それぞれです。
ただし、投資信託のような分散された資産でも、-20%台の変動は頻繁で、数年に1度は30%~60%といった暴落が発生するので、そのときに慌てない余裕が必要だと考えます。
私は、「一度FIREしたら何があってももう会社勤めしたくない!」と思っているので、どうしても慎重になってしまうんですよ(笑)。
──まつのすけさんは、どのくらいの資産のときにFIREをしたのでしょうか。
まつのすけ:FIREしたのは2019年で、当時の資産は1億数千万円でした。僕の場合は、投資をすること自体が大好きなので、特にFIREを目指していたわけではありません。
ただ、当時勤めていた会社で不本意な部署異動があったり、会社員をしながら1日7時間以上の株のルーティンをこなしたりするのに限界を感じ始めていたんです。結果的に、FIREすることにしました。
──今の資産はどのくらいになっているのでしょうか? FIREした後の生活も知りたいです。
まつのすけ:今の資産は…約10億円と言っておきましょうか。
私は旅行が好きなので、1、2週間に1度は旅行に行っていますね。飛行機を使うときは、ビジネスクラスかファーストクラスがメインです。ただ、マイルを利用して乗っているので、みなさんが想像するよりはリーズナブルだと思いますよ。あとお酒が大好きで、最近132万円するウイスキーや、数十万円ほどのワインを買っちゃいました。
旅行以外では、映画などの動画配信をよく見ています。気がつくと何時間も見ちゃっていることもあるんですよ。
そして、今でも一番時間を使っているのは「株のチェック」ですね。開示情報をひととおりチェックして、ポートフォリオを確認して、ニュースやSNSを調べていると、あっという間に7、8時間は経ってしまうんですよ。このルーティンを、ほぼ毎日行っています。
──資産が約10億円もあるのに、フルタイムの会社員並みに働いているのですか!?それだけ資産があれば、株のことは考えずに1日中遊んで暮らしたいと思う人も多そうですが…。
まつのすけ:働いているのではなく、私にとって、株は趣味なんですよ。株は、どんなに考えて投資しても負けてしまうこともある、不確実性の高いものです。だからこそ将棋やチェスといった知的ゲームのように面白い。私は、その面白さのとりこなんです。単純に楽しくてしょうがないから、1日に何時間でもやっていたいんですよ。
資産を増やすには、自分にあった投資スタイルを知ることが大事
──まつのすけさんが株式投資を始めたきっかけを教えていただけますか。
まつのすけ:私が始めたのは、2005年あたりから。小泉政権の郵政解散の影響で、日本中の株価が一気に上昇した時期です。周りに「持っていた株が何倍にもなった」という人が何人もいて、「それなら自分もやってみようかな」と思ったのがきっかけですね。始めてから数カ月で当時の月給を超えるような利益が出て、どっぷり投資にはまっていきました。
ただ、その後も順調に利益が出続けていたわけではなくて。最初の数年は、負けることも多かったです。毎日7、8時間を投資に費やしたのに、年間の利益が12万円しか出ない、なんて年もありました。
──それでも、株式投資を続けられた理由はなんだったのでしょうか。
まつのすけ:やっぱり、「好きだから」が一番の理由ですかね。マイナスが出たら悔しいしショックですが、それ以上に楽しさが勝るというか。
投資の基礎的な知識があったことも続けられた理由のひとつだと思います。投資を始めた当初から、ウィリアム・オニールやジェシー・リバモアといった、著名な投資家の書籍はよく読んでいました。
書籍で基本的な知識を得た後は、いろいろな投資家のブログを読んだり、過去の株価のデータを読み込んだりもしましたね。そうすると過去のデータから「株価が下落するときや上昇するときの傾向」のようなものも自然と読み取れるようになります。
そして、投資スタイルは「人それぞれ」であることがわかってきたことも大きかったです。投資といっても、現状の値動きで判断する人もいれば、徹底的に企業分析をして判断する人もいるし、過去のデータから判断する人もいます。さらに、それぞれの投資スタイルには正解はないけど、人によっての向き・不向きはあることがわかりました。
「株価が下落するときや上昇するときの傾向」や「投資にもいろんなスタイルがある」ことを知っていたから、利益が出ない時期が続いても冷静に判断できていたのかもしれません。
──そんな中でも、「これはきつい」と思った株式投資の失敗はありますか?
まつのすけ:もう20年近く投資をしているので、もちろんあります。一番落ち込んだのは、2013年の初期のアベノミクスのときに起こった投資バブルに乗れなかったことですかね。この時期にほぼ全財産を注ぎ込んだり、信用取引や先物取引で資産を何倍にも増やしたりする人が続出したんです。「億り人」になった人も大勢います。
でも私は全財産の投下に躊躇(ちゅうちょ)してしまって、こうした方々と比べると大きな利益を出せなかった。それが、今でもすごく悔しいんです。投資に熱がより入ったのは、この頃からかもしれません。いろいろ試行錯誤した結果、「自分は過去のデータから株価を予測するのが得意だ」とわかりました。これまでは安定して利益をあげていましたが、より積極的にリスクテイクできるようになったのもこのときからですね。
2014年以降は毎年数百万円から3,000万円くらいの利益を出せるようになって、2016年にはついに資産1億円を達成しました。
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株式投資初心者が資産を築くために必要なマインドと知識とは?
──まつのすけさんのお話を聞いていると、株式投資で利益を得るためにはマインドセットがすごく重要そうだな、と感じました。初心者が持つべき心構えはありますか?
まつのすけ:失敗を恐れずに、どんどんチャレンジすることですかね。先程もお話したように、投資にはいろいろなスタイルがあります。
例えば、個別株や仮想通貨の短期売買など、センスや才能が試される投資もあります。プロスポーツ選手や芸能人のように、誰もが成功するわけではありません。でも、自分に投資のセンスがあるかどうかは、やってみないとわかりません。そこで、少額でいろいろな方法を試してみるのが良いと思います。
注意点として、初心者のうちは大きな金額を投資するのは避けた方が良いでしょう。レバレッジにも注意ですね。信用取引ができるようになっても、レバレッジをかけるとしたら、株価が半分まで暴落しても追証が発生しない、1.3倍までにしておくのがいいと私は思います。
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──チャレンジしたり、破産リスクを抑えたりするためには、マインドだけでなく知識も必要ですよね。投資初心者におすすめの知識の身につけ方を教えていただけますか。
まつのすけ:やっぱり、名著を読むことですかね。先程も紹介した、ウィリアム・オニールやジェシー・リバモアといった、著名な投資家の書籍を読んでみてください。「マーケットの魔術師」「賢明なる投資家」などもおすすめです。世の中には、投資初心者向けのオンラインサロンや有料商材も数多くありますよね。そういったものに興味がある、という方ももちろんいると思います。
ただ中身を見てみると、金額に見合う価値がなかったり、単に名著を参考にしていたりするだけものも多いんですよね。だったら、元ネタである名著を読む方が、より確実な知識が身につくはず。図書館で借りればお金もかかりません。
また、証券会社のオウンドメディアをチェックするのもいいですね。例えば楽天証券が運営する「トウシル」というメディアは、毎日のように気になる記事を公開しているんですよ。
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私は、楽天証券経済研究所のチーフアナリストの今中能夫さんや客員研究員の田中泰輔さんの記事をよく分析の参考にしています。平日毎朝更新される「3分でわかる!今日の投資戦略」は、今の市場や経済の状況を簡潔に教えてくれるので、初心者にもおすすめです。ちなみに、私自身も「まつのすけのポイント投資で目指せ100万円」という連載をしています。
あとは、InstagramやYouTubeなど無料で情報を発信している投資系インフルエンサーもいるので、それを参考にするのもいいと思います。ただし、こうした情報は玉石混交(ぎょくせきこんこう)でもあります。悪影響を受けてしまう可能性もあるので、ぜひ複数のインフルエンサーを見比べてください!投資にもいろんなスタイルがあることがわかるはずです。
──まつのすけさんは現在、楽天証券を利用されていると聞きました。投資初心者が楽天証券を使うメリットを教えていただけますか。
まつのすけ:まず、インターフェースが非常にスムーズですよね。投資に慣れていない人でも使いやすいんじゃないかな、と思います。
あと個人的にすごくいいなと思っているのが、楽天証券でNISA口座またはiDeCo口座を開設したら、月3冊までマネー雑誌を無料で読めること。初心者向けの雑誌も数多く取り揃えられているので、ぜひ活用してみてください。
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投資を一生楽しめることが幸せ
──まつのすけさんが投資を始めてから、もうすぐ20年。これまで投資をしてきて、資産を増やすこと以外で「良かった」と思うことがあれば教えていただけますか。
まつのすけ:投資という、一生楽しめる趣味と出会えたことですかね。何度かお話しているように、投資を始めた頃から現在まで、毎日7、8時間投資に時間を使っています。でも、20年近くやっていても全然飽きないんですよ。これがずっと続いていく人生って幸せだな、と思っています。
そういえば今年、ついに好調な相場に乗れて約7カ月で8億円の利益を出すことができたんですよ!2013年の悔しい思いを、やっと晴らせました。
ただ、良いことばかりでもなくて。実は2024年7月下旬から8月初旬の暴落によって、ピーク時から2億5,000万円も資産を減らしてしまったんですよ。やっとバブルに乗れて、嬉しくて気が大きくなった影響ですね……。大きな損失を出してしまったのは辛いけど、リスクを避けようとしすぎると、大きく勝つこともできなくなってしまいます。辛いこともあるからこそ、勝ったときの喜びはものすごい。
──リスクがあるものの、大きく資産を増やすこともあるから面白い、と。ただ、まつのすけさんは以前「投資はギャンブルと違って、全員で勝てる可能性がある」とおっしゃっていましたね。
まつのすけ:そうです。投資は経済成長と連動しているから、理論的には期待値がプラスになると考えています。NISAやiDeCoで人気のインデックスファンドは、そのわかりやすい例ですよね。長期間積み立てしていくことで投資のリスクを極力抑え、勝てる可能性を引き上げるんですから。
インデックスファンドのような投資信託で地道に資産形成する方法もあれば、個別株で大きなリターンを狙う方法もある。投資スタイルは、人それぞれです。でも、やり方は違ってもみんなで一緒に勝つ方法がある。これはギャンブルやほかのゲームにはない、投資ならではの面白さだと思いますね。
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<インタビューを終えて>
まるでスポーツ選手のように、さわやかに投資の話をしてくれたまつのすけさん。
「例えばプロサッカー選手として活躍している人が野球選手としても活躍できるかというと、おそらく“そうとは限らない”と思うんですよね。どんなに運動神経が良くても、競技によって向き不向きはある。株も同じで、自分にはどんな投資スタイルが向いているのかを知ることが大事なんです」
億り人であるまつのすけさんも、たくさん試行錯誤したから、自分にあったスタイルを見つけられました。まずは、少額の投資からスタートできる楽天証券などのネット証券を活用して、自分にあった投資スタイルを探してみませんか。
取材・執筆:仲奈々
編集:はてな編集部
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