大自然の中で、育児も仕事も。3歳児を連れて家族で北海道浦河町に移住体験した話
こんにちは、ヒガシと申します。私は都心に住む34歳のエンジニアで、普段はIT系の会社でマネージャー職をしています。
我が家は、同じくIT業界で働く妻と、保育園に通う3歳の娘の3人暮らし。山手線の駅から徒歩3分という「THE 都会」な場所に住んでいます。保育園もオフィスビルの間にあり、園庭の代わりに、屋上に敷いた人工芝で遊ぶようなところです。いわゆるコンクリートジャングルでの生活をしています。
そんな中、たまたま見かけた北海道での移住体験プログラムに参加しました。移住体験とは、現地で普段に近い生活を送りながら、その地域での暮らしを体験することです。観光だけではなく、仕事もします。
この移住体験に参加した結果、すっかり北海道が大好きになってしまい、リピーターとなった体験についてご紹介します。
- 移住体験に興味を持った理由
- 「普段どおりの生活ができる」を重視して決めた移住体験先は、北海道浦河(うらかわ)町
- いよいよ、移住体験スタート。子供の幼稚園体験や仕事の様子、現地での生活を振り返る
- 移住体験をして、気になったところについて
- 移住体験における、お金周りの話
- 今後も移住については考えていきたい
移住体験に興味を持った理由
都心で生活していると、どうしても子供はインドアでの遊びが多くなってしまいます。
そのためか、娘はすべり台を怖がって、いまだにひとりでは滑れません。虫もダンゴムシやアブラゼミ程度しか見たことがなく、普段は図鑑を見たりYouTubeでいろいろな生き物の動画を見せたりしています。
ほかにも諸々の要因があり、私の中で「こんな都心の狭いところで子育てしていて、大丈夫かな?」という疑問をふつふつと感じるようになっていきました。
それと同時に、私自身もこれまでの人生で名古屋と東京しか住んだことがありません。ほかの地域での生活を知りたい、という気持ちがどんどん強くなっていました。
幸いなことに、妻の職場はフルリモートになって住む場所は実質関係ないし、私の職場も場所の融通が効きます。
そんな中、たまたま知り合いがシェアしていた移住体験のニュースを見て、興味が湧いてきました。そして、具体的に移住体験ができる場所について情報収集を始めることにしたのです。
「普段どおりの生活ができる」を重視して決めた移住体験先は、北海道浦河(うらかわ)町
移住体験で行いたいのは「普段どおりの生活」です。そのためには、まず自炊できる場所に宿泊する必要があります。
最初は民泊で一軒家を借りようかなと考えていました。しかし、調べてみるとさまざまな自治体が、移住体験用住宅を貸し出しているのです。住む場所はこういったところを使うのが良さそうです。
次に、都心から離れた自然豊かな場所を探すことにしました。いろいろな地域を見ていたのですが、ここで移住体験の課題が見えてきます。
それは娘の「幼稚園・保育園」。託児所のような、一時預かりの施設はあるのですが、数週間県外の子供を預かってくれる施設はそう多くありません。
そんな中、見つけたのが北海道の浦河町でした。
まず、浦河町は移住体験住宅を提供していて、これまで多くの移住体験を受け入れている実績があります。そして、自治体がワーケーションに力をいれているようで、町内に複数のワークスペースがあります。我々には好条件です。
何より、めちゃめちゃイカした「山併設の幼稚園」があります。「山併設」とは聞き慣れない言葉だと思いますが文字どおりの意味で、幼稚園の敷地内に山があるんです。ここで移住体験の間、娘を預かってくれます。
私たちにとってまさにピッタリな場所。早速、浦河町での移住体験に挑戦することを決めました。
自治体に連絡して、移住体験の予約をします。同時に幼稚園には一時入園を依頼。往復の飛行機と、現地での主な交通手段となるレンタカーを手配して、移住体験に向かいます。
いよいよ、移住体験スタート。子供の幼稚園体験や仕事の様子、現地での生活を振り返る
移住体験に向かったのは2022年6月でした。東京は日差しが厳しくなり始めた頃です。しかし、北海道の新千歳空港に到着すると最高に涼しく、それだけでも来た甲斐があったと感じました。
空港から車を走らせ、浦河町が近づいてくると…。
浦河町の特徴である馬の放牧地帯が見えてきます。
新千歳空港から2時間程車を走らせると、浦河町の移住体験住宅に到着しました。3LDKで、3人で暮らすには広さは十分です。
浦河町が提供している移住体験住宅は、ひととおりの家具が用意されています。さらに、お願いすれば寝具をレンタルすることができます。まさに民泊と同じような設備で、到着したその日から生活が開始できます。
いよいよ移住体験のスタートです。
幼稚園はとにかく広い! 子供たちは園舎で走り回り、併設の山で自然観察を楽しむ
今回のメインテーマである、幼稚園。前述のとおり、山が併設されているという都心では絶対に真似できない強烈な幼稚園です。園舎は2022年に建てたばかりでとても綺麗です。
各クラスには仕切りがありません。バスケットコートほどのスペースを子供たちは走り回ることができます。もちろん、雨天時も遊び回れます。娘も都内では見たことのない姿で全力疾走です。
各所にスロープがあり、子供たちは滑って遊んでいます。最初、娘は怖がってひとりでは滑れませんでしたが、ほかの子供たちの様子を見て影響されたのか、やがて滑れるようになりました。
併設の山を見学します。
道はありますが、原生林が残る貴重な自然です。
山では自然散策のほかにも、木登りをはじめ、子供たちが遊びを作り出していくそうです。
仕事場はコワーキングスペースを活用。疲弊したときも、馬に癒される
そんな園に娘を預けているかたわら、大人たちは普段どおり仕事です。肝心の仕事場は、都心にもあるような綺麗な場所もありますし、浦河町ならではの尖っている場所もあります。
こちらはいわゆる都心型のコワーキングスペース。
尖ってるものの例としては鹿や狐が遠くで見える絶景のワークスペースや、
厩舎の中で、馬と一緒に働くスペースもあります。
そんな素敵な場所で朝から晩まで働くわけですが、時には気が滅入るような激しい打ち合わせもあります。
ですが、疲弊したときも、外に出れば馬が癒してくれるんです。
特に遊んでいたというわけではないのですが、この環境で仕事をするだけで、かなりリフレッシュできました。
食も充実。野菜がうまい! 海鮮がうまい!
また、今回の裏テーマは「食」。やはり北海道に来たからにはおいしいものをひととおり食べたい! 自治体の方や移住体験住宅のオーナーさんにいろいろと教えてもらい、直売所や鮮魚店を紹介していただきました。
アスパラは都心では見たことがない太さです。
ラディッシュはフレッシュ感がすごく、汁が飛び出す感じ。
海鮮のおいしさは言わずもがな。魚もうまいけど、ツブ貝が衝撃的なおいしさです。
タコも素晴らしかったです。タコは冷凍も売っていたので東京へのお土産に買って帰りました。
日常生活も快適。町のみなさんは、移住体験者をこころよく迎えてくれた
移住に際して懸念していたことがあります。それは自分たちが町になじめるかどうかです。
以前、仕事で人口1万人程度の小さな町に半年ほど滞在していた頃がありました。その時に、地域の人とうまくコミュニケーションがとれず、距離感の図り方が難しいと感じたのです。
なので今回も少し心配していましたが、浦河町には移住体験者に対してとてもウェルカムな人が多く、なじみやすいという印象でした。自治体そのものが移住体験者をサポートするための「うらかわ暮らし案内人」などの制度を設けているというのもありそうです。
例えば、町の人気ラーメン店「まさご」の店主の大久保さん。「うらかわ暮らし案内人」のひとりです。
町のおすすめスポットを教えてくれたり、特産品を教えてくれたりするだけでなく、わざわざ車を出して案内までしていただきました。
また、コワーキングスペースを運営している村下さんもとてもフレンドリーでした。村下さんは東京にいたこともあり、都心と浦河町との違いや、浦河町での仕事のことなど、移住に関連するリアルなお話も聞けました。
移住体験をして、気になったところについて
このとおり、浦河町が素敵過ぎたので、結局我が家は夏だけではなく、冬にもリピートしています。さらに、今年の夏も3度目の訪問予定です。
ただ、まだ移住は決めていません。移住体験を通して、私たち夫婦にとって気になる点もいくつか浮かび上がりました。
まず、少し東京が恋しく感じてしまったことです。私の趣味はバー巡りで、普段はよく銀座や新宿のバーを開拓しています。
妻もインテリアやカトラリー探しが趣味で、セレクトショップ巡りなどをしています。都会以外の場所へ移住をすると、こういった楽しみがどうしても難しくなります。
また、娘の卒園後の教育については、「人口が少ない町の小学校で育てるのってどうなんだろう?」という心配が出てきました。
もちろん人口が少ない町の小学校で育つのが悪い、ということではありません。私たち夫婦は人口の多いところで育ったので、イメージがつかないのです。
ただ、幼稚園の理事長が幼稚園と同じようなコンセプトのフリースクールを作る計画があるそうです。幼稚園と同様にめちゃめちゃイカしたスクールになるかもしれません。そこに期待を寄せています。
仕事面でも、私たち夫婦はIT業界で働いているため、仕事の変化が激しいことや、転職の可能性について懸念しています。
以上のような心配事はありますが、浦河町の魅力も捨てがたいものがあります。考えた結果、今のところは夏と冬の年2回、それぞれ1カ月ほど浦河町に滞在する「季節移住」をしてみるという方針を考えています。
楽しそうですが、なかなかお金がかかってきますね…。
移住体験における、お金周りの話
移住体験の費用はどうだったのか? あらためて2022年6月に移住体験したときの金額を整理してみました。
上記にあわせて、食費などの生活費がかかります(都心で過ごしているときもかかりますが)。
金額だけ見ると「そこそこ、かかっているな〜」と感じます。
ただし、旅行と比べてみるとどうでしょう。子供が生まれてから、旅行をしようとすると、1回で15万円程度はかかってしまいました。しかも、結局毎日子供の世話をし続けることになるため、わりと疲れて帰ってくることも多かったです。
今回の移住体験は、観光こそメインではなかったですが、人生に欠かせないとても豊かな体験ができたなと思っています。
我が家ではちょっとした旅行を年に何回かするのではなく、こういった移住体験で地域をよく知る、という楽しみ方が良いよね、という考え方になりました。
ちなみに「実際に移住した場合、生活費は都心と比べてどのくらい下がるんだろう?」と、移住体験時にもいろいろな人に聞いて回りました。
生活費の中でも大きいのが家賃です。浦河町に移住すれば、都心よりもはるかに安く、さらに都心にはないような広い場所に住めるようになりそうです。
ただし、浦河町は基本的に車移動になることや、冬の暖房費がかさみます。これらを考慮すると、意外にも家賃の安さと相殺されてしまうようです。
今後も移住については考えていきたい
自然豊かな環境での生活や、馬に癒やされる日々は、都会での子育てに疑問を感じる私たちにとって貴重な体験でした。引き続き情報収集をして検討していく予定です。
この記事が、同じように移住やワーケーションを検討している方々にとって参考になれば幸いです。移住体験は、観光旅行とは違った現地での生活感を味わえる素晴らしい機会です。ぜひ、ご自身にあった場所での移住体験をお試しください。
編集:はてな編集部
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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