新しいものを導入すると、毎日がもっと楽しくなる。夏の時期「日陰を求めがち」だった僕が日傘デビューした話

リリース日:2022/07/20 更新日:2024/08/06

「日傘」を買うまでの様子を、斎藤充博さんが紹介します。「あると便利そう」と思いつつも、購入までには至らなかったという日傘。今回傘のプロの後押しもあり、ついに日傘デビュー。初めて使ってみたことで「新しいものを取り入れる楽しさ」にも気付いたそうです。

  1. 夏の時期、僕はいつもこんな感じ
  2. 「あったほうがいいかも」と思いつつも、僕が日傘導入までに至れない理由
  3. プロに聞いてみれば、導入ハードルが下がるかも?
  4. 新しいものを取り入れる後押しをしてもらうために。傘ソムリエにいろいろ聞いてきた
  5. 初めて日傘を差してみた。涼しかった……
  6. 新しいものを取り入れるのって、なんだか「いい」

こんにちは。ライターの斎藤充博です。

 

突然ですがみなさん、「興味はあるけど、取り入れるにはなぜかハードルが高いもの」ってありませんか。

 

 

 

僕の場合は「日傘」です。

 

 

子どもの頃、僕にとって「夏」は楽しい季節でした。暑い中動き回って、汗がドバドバ出るのが気持ちいい。真っ黒に日焼けしているけど、それがどこか誇らしい。太陽の光を求めて、用もないのに外に出る。

 

そんな時代が……。そんな時代が、僕にもあったのです……。

 

ただある程度の年齢になってきて、真夏の太陽の光は「忌避すべきもの」に変わります。汗はかきたくない。日焼けだってしたくない。外にだって出たくない。

 

そこで目についたのが日傘です。あれなら、太陽の光から僕を守ってくれるのではないか……と。

 

最近では男性向けのものもたくさん見かけるようになりましたし、それを買って使ってみればいい。しかし、なぜか抵抗があったんです……。この記事は、そんな僕が「日傘を差せるようになるまで」のストーリーです。

 

【INDEX】

■夏の時期、僕はいつもこんな感じ
 (1)外出をするとき、日陰を求めて蛇行してしまう
 (2)外出をする気力が失せてしまう
 (3)晴れている日を喜べない
■僕が日傘導入までに至れない理由
 (1)日傘を差す、ということ自体のハードルの高さ
 (2)必要になる時期は真夏だけだと思っている
 (3)外出時の荷物が増えてしまう
■プロに聞いてみれば、導入ハードルが下がるかも?
 ・傘ソムリエに日傘のメリットを語ってもらった
■初めて日傘を差してみた。すると……
■新しいものを取り入れるのって、なんだか「いい」

※取材は、新型コロナウイルス感染対策を講じた上で実施しました

夏の時期、僕はいつもこんな感じ

夏の太陽の光を忌避した結果、僕は以下のような行動をとるようになってしまいました。

(1)外出をするとき、日陰を求めて蛇行してしまう

できるだけ直射日光を浴びたくない僕にとって、街中にある日陰は砂漠の中のオアシスのようなもの。そのオアシスの恩恵にあずかるべく、なぜか妙なルートで歩いてしまいます。目的地までの時間は倍かかります。

 

小学生が白線だけを踏んで家に帰る(白線から足を踏み外すと死ぬ設定)遊びみたいですが、大人になってもこんなことをやるとは思わなかった。

(2)外出をする気力が失せてしまう

たとえば、昼下がりごろに「晩ごはんのためにスーパーに行く」ことを思いついたとします。でも、「いまは日差しが強いから夕方頃に行けばいいかな?」とついつい先延ばしにしてしまうのです。そして、家の中で仕事などをしていると、スーパーに行くのを忘れてしまい、夜になんの食材もないことになります。

 

もちろん夜にスーパーに行ってもぜんぜん問題ないのですが、食べる時間が遅くなってしまい、単純にお腹が空く。「おれは暑さに負けてスーパーに行くのを忘れたんだよな」という気持ちになります……。

(3)晴れている日を喜べない

生命の根元たる太陽が憎たらしくなってしまい、自分が『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる吸血鬼や柱の男、あるいは『鬼滅の刃』に出てくる鬼にでもなったかのような気分になります。

 

……このように、地味だけど、生活がジワジワと蝕まれていくわけです。しかし、日傘さえあればある程度解決できそうじゃないですか。

 

 

それなら、日傘を買って差せばいいですよね? 最近、雑貨店などに行くと色んなデザインの日傘を見かけますし、モノ系雑誌を見ると男性用日傘が特集されています。日傘を買って、差す。それでこの話は終わりになるはずなのですが……。

 

買えない……。買えないんです……。あと一歩、踏み切れないんです……。

 

【日傘が欲しい】
  ↓
【やっぱり買えない】

 

という感じ。これを3年くらい繰り返しています。

「あったほうがいいかも」と思いつつも、僕が日傘導入までに至れない理由

日傘があったほうがいいんだろうな、と思ってはいるものの、なぜ買えないのか。いろいろ考えてみたのですが、僕の中では大きく3つあるように思いました。

(1)日傘を差す、ということ自体のハードルの高さ

正直、いまだに僕の頭の中には日傘というと「西洋の貴婦人が草原で差すもの」というイメージがあります。

そのイメージの源泉を考えてみると、モネの名画『散歩・日傘を差す女』に行き着きました。こんなイメージが強い人は少なくないのではないでしょうか(そんなことない?)

 

男性用の日傘をよく見るようになったのは、ここ数年くらいではないでしょうか。僕の妻も日傘を持っていますが、レースや刺繍がついた、かわいらしいデザイン。男性向けやユニセックスタイプもあることは知っていますが、まだまだ「日傘を差す」こと自体のハードルが僕にとっては高く、アリなのかナシなのか、正直なところ気になります。

(2)必要になる時期は真夏だけだと思っている

一番大きいのがこれかもしれません。真夏に【日傘を買おう】→【やっぱり買えない】の逡巡を繰り返しているうちに、季候がおだやかになってきます。「もう涼しいしまあいいか」という気分になってくるのです。

(3)外出時の荷物が増えてしまう

身軽なのが好きで、外出の時は財布とスマホとカギくらいしか持ちません。そして、財布は長財布からコンパクトなものに変更して一層の軽量化を図っています。

 

でも、そこに日傘が加わると、けっこう重たく感じてしまいますよね。財布を軽量化した意味が完全になくなってしまう……。いや、軽い財布と傘の持ち運びは、完全に別問題ではあるというのはわかっているんですが。




プロに聞いてみれば、導入ハードルが下がるかも?

……さて、ここまでの話をFun Pay! 編集部の人にしてみたところ(僕はすぐ編集者に愚痴をしゃべるという悪癖があります)、こんなことを言われました。

 

「そんなふうに考えていること自体がめんどくさくないですか」

 

それは確かにそうだ。

 

「もっと強力に日傘を買うことを勧められたらいいんじゃないでしょうか」

 

そうですね。正直、買わされたい。

 

「傘専門店に行ってみませんか? 傘ソムリエがいるお店があるみたいですよ」

 

なんにでもソムリエがいるんですね。それにしても傘ソムリエか……!

新しいものを取り入れる後押しをしてもらうために。傘ソムリエにいろいろ聞いてきた

というわけで傘の専門店「Waterfront JIYUGAOKA / TOKYO」にやってきました。

向かって右のフレンドリーに手を振っているのが、傘ソムリエの土屋博勇喜(つちやひろゆき)さん。向かって左が僕です。のっけから相合い傘で写真を撮ることになり、警戒の色が隠せません。

 

土屋さんは傘にまつわる知識が豊富なだけでなく、その愛ゆえに、個人でも傘を収集。現在約200本を所有しているのだそう。

 

さらに、特段聞いていないのに

 

「傘に興奮してやまない」
「傘を差すのは傘とのデート」
「もう傘と結婚したい」
「いやよく考えたら僕は傘と結婚済み」

 

と語り出しました。

 

言葉を選ばずに率直に言うと、「ヤバい人」だなと思いました……。しかし、僕に日傘を買わせるのに不足なし!

あれこれ質問していきます。ちなみに店内には500種類程度の傘があるそうです……!

日傘は「自分を守るため」のアイテムと考えてみる

斎藤 ……というわけで、日傘が気になっているのですが、購入まで至らないんです。



土屋 なるほど。その気持ちはわかります。僕も以前は「男性が日傘を差すのって珍しいよな」と思っていました。そういう時期もあったのです。でも実際に日傘を試してみると、道を歩いている人は特にこちらの方を見ないんですよね。「男性なのに日傘」という抵抗感はそれですぐになくなりました。……斎藤さん、道で日傘を差している男性をジロジロみますか?



斎藤 言われてみれば、見ないですね。目に入ったとしても、ヘンとは思わない。



土屋 日傘を購入される男性は実際に増えています。それに環境省がクールビズの一環で男性に日傘をすすめているんです(※)。日傘は「自分の健康を守るためのギア」と考えていただくのはいかがでしょうか。

 

(※)参照:環境省_日傘の活用推進について~夏の熱ストレスに気をつけて!~



斎藤 「ギア」か。いい響きですね……。

 

土屋 それに、いまはシンプルなユニセックスのデザインの日傘が増えています。いかにも女性向けというような、レースや刺繍が入った日傘は、少なくなっていますね。



斎藤 なるほど。ニーズだけでなく、日傘のデザイン自体も変わりつつあるということですね。

日傘は「真夏」だけ使う、じゃない!

土屋 ちなみに、弊社では毎年5月下旬くらいから男性用日傘の売上が増えます。私も大体5月から9月くらいまでは日傘を使っていますね。



斎藤 すると、1年の半分近くは日傘を使うってことですね。確かに、真夏じゃなくても日差しが強いときってありますもんね……。



土屋 また、日傘といっても、実は雨傘としても使えるものがほとんどです。出掛けるときに1本持っておいて、損はないですよ。当店にも軽いものはたくさんあります。



斎藤 そうなんですね。だったら、持ち歩くのもいいかな……。



土屋 真夏に日傘を差していると、自分は涼しいんですよね。そこで、日傘を閉じて表面を触ってみると、ものすごく熱くなっているのがわかります。



斎藤 ああ~。なるほど。「日傘がなかったら自分がこんなに熱せられていたのか」と思いますね。



土屋 日傘、使ってみる気になられましたか……?



斎藤 完全に「買う」モードになりました。そもそも気にはなっていたので、僕を説得してくれてありがとう、という感じです……。

折り畳みタイプの晴雨兼用傘なら、かさばらない

斎藤 実際に、日傘を選ぶときのポイントはありますか?

 

土屋 日傘には大きく分けて3種類あります。厳密ではないのですが、こんな特徴があります。

 

晴雨兼用傘
晴れているときメインに差す傘。紫外線を99パーセントカット、遮光、遮熱などの日差しを防ぐ機能がある。雨も防ぐことができる。

雨晴兼用傘
雨のときにメインに差す傘。撥水などの水に強い機能がある。日差しに対しては、紫外線を90パーセント程度カットとしているものが多い。

純粋な日傘
布などでできていて、刺繍がしてあるようなもの。雨には弱い。最近では少なくなっている。

 

斎藤 なるほど……。「日傘といっても、雨傘としても使えるものがほとんど」とはこういうことだったんですね。

写真の「極軽カーボン(中面コーティング)」(2,750円/税込み)は軽く持ち運びに便利な晴雨兼用傘。内面はカラーコーティングを施し、UVカット率99.99%以上を実現しているそう

土屋 そうですね。たとえばこちらの晴雨兼用傘は、紫外線を99%カットしていて、遮熱、遮光、超撥水の機能もあります。デザインもシンプルで性別を選ばないですし、折り畳みタイプかつ骨組みにカーボンを使っているので超軽量。荷物を増やしたくないという人にもおすすめですね。



斎藤 (えっ……。じゃこれを買えばいいんじゃないの……。色が数種類あるけど、どれもかっこいいし……)



土屋 ほかにもいろいろな傘がありますよ。

土屋 こちらの傘は「銀行員の日傘」といって、表にシルバーのコーティングをして日差しを反射するだけでなく、裏面は黒になっていて照り返しを反射するタイプ。体感温度は4度から7度は低く感じられると思います。より「涼しさ」を感じたい人におすすめです。

斎藤  日傘としての性能がいいんですね。ちなみに、長傘タイプのものと、折り畳みタイプのものだとどちらの方がいいんですか? 荷物が増えるのが嫌だなと思っていて……。

 

土屋 長傘タイプのものの方が、直径が広く「カバーできる範囲が広くなる」というのはメリットではあります。ただ、折り畳みでもある程度の範囲はカバーできるので、荷物を増やしたくないという方は、折り畳みタイプの晴雨兼用傘がいいのではないでしょうか。

 

斎藤  なるほど、じゃあ僕の場合は折り畳みタイプのもので十分そうです。

【日傘導入にまで至らなかった僕に、傘ソムリエが教えてくれたこと】

 

Q. 僕(男性)が日傘を差すのって、なんだかハードルが高い印象がある……

 

A. その気持ちはわかる! でも、実は周囲の人はそこまで見ていないはず。まずは「自分の健康を守るためのギア」として日傘を捉えてみては

 

Q. 使うのは真夏だけ、というイメージがある……

 

A. 紫外線は春先からグッと増える&雨の日にも使える日傘にすれば、1年中使える!

 

Q. 外出時の荷物が増えてしまうのが気になる……

 

A. 直射日光を避けたい、であれば折り畳みタイプの晴雨兼用傘でも十分



この後、5種類ほどの傘を解説してもらったのですが、結局、最初に見せてもらった晴雨兼用の折り畳み傘(緑色)を買いました。

初めて日傘を差してみた。涼しかった……

取材したこの日はカンカン照だったので、お店を出てすぐに差してみました。当たり前なんだけど、差すと直射日光が遮られるので、かなり涼しいです。

 

このまま駅まで歩いていったのですが、土屋さんが言っていたように「日傘を差している人を珍しがるように見る」人はいなかったように思います、し、そもそも僕のことを見ている人がいるのか? という感じです。さらに、駅に行く途中で「日傘を差しているサラリーマンっぽい男性」を発見しました。もう男性の日傘は特に珍しくないんですね。

 

その後も買った日傘を日常的に使っています。

ちょっとした雨が降ってもこれで平気。本格的な雨が降ったときのことを考えると、ややサイズは小さいかもしれませんが、十分だと思います

そういえば、夏に向けて新しいサンダルを買いました。ベルトが鮮やかな黄緑です。無意識のうちに傘の緑とあわせていたのかもしれません。なんかもう、夏を楽しんでいます。


「日傘」はすっかりと僕の生活の中に取り入れられていきました。お陰で、外出をするときに日陰を求めて蛇行することはなくなりました。真昼でもスーパーに行けるので、忘れてしまうことはありません。以前は晴れている日を憎んでいましたが、ぜんぜんオッケーです。普通にもう手放せない存在です。

新しいものを取り入れるのって、なんだか「いい」

思えば10年くらい前はまで「スーツ」を着て「リュック」を背負っている人はほとんどいませんでした。でも、いまでは珍しくないですよね。きっと男性用の日傘もすぐに当たり前のことになっていきそうです。

来年か再来年くらいにはこんなことを言っているのではないでしょうか。

 

そのときに、この記事はきっと「男性用日傘に躊躇する当時の人の貴重な記録」になるはず。おっと、記事に歴史的な価値が出てしまうぞ……。



新しいものや、いままで使ったことのなかったものって、最初は使用感を想像するしかありません。しかし、実際に使ってみると、自分が頭の中で考えていた想像を遙かに超えてきますね。

 

今回、僕は日傘によって「いつでも日陰を持ち歩ける権利」を得ることができました。これも最初に想像していたよりも、ずっといいです。

 

これからも自分にとって新しいものや未知のものがいろいろ出てくるのだと思います。どんどん試していくのがいいんでしょうね。

 

ここまで読んでくださった読者の方々も、興味があって、導入に至っていないものがきっとあるはず。まずは試してみてはいかがでしょうか。

 

 

そして、めんどくさい客の相手をしてくれた土屋さん、ありがとうございました!

 

※掲載している情報は2021年6月時点のものです

 

 

撮影(インタビュー・店内):関口佳代

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斎藤充博
この記事を書いた人
斎藤充博

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

指圧師・ライター・マンガ家などをしています。昼寝とビールが好きです。

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