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何かにハマるとこんなに人生が輝くのか……! 妻が「ダイの大冒険」にハマっていく様子を追いかけてみた
妻が『ダイの大冒険』にハマっていく様子を、斎藤充博さんが紹介します。アニメ配信を見て以来、ゲームをしたり単行本を全巻購入したりと、着実に行動力を上げていったそう。斎藤さんはそんな妻を見て「何かにハマるっていいな」と思ったそうです。
こんにちは。ライターの斎藤充博です。首都圏で夫婦二人暮らしをしています。
我が家では以前からネットの動画配信サービスを使っているのですが、ここ1年くらいでかなり見る頻度が増えてきました。ご多分に漏れず、新型コロナウイルスの影響というやつです。
そして、夫婦でいろいろな番組を配信サービスで見ていた中、僕の妻がアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(以下、ダイの大冒険)にめちゃくちゃハマっていきました。
公式サイトより
僕は38歳男性。『ダイの大冒険』が『週刊少年ジャンプ』で連載されていたのは僕の少年時代です。リアルタイム直撃世代。
妻は31歳女性。連載当時は『ダイの大冒険』を知らずに、まさにいま『ダイの大冒険』を知ったところです。
妻は「『ダイの大冒険』は今まで見たアニメの中で一番おもしろい!」と言っています。原作マンガを買ったり、ゲームをしたり、関連グッズを集めたりと『ダイの大冒険』にハマってからというもの、ゆるやかではありますが、着実に行動力が上がっています。
そんな妻の様子を見ていると、毎日が楽しそうで生き生きとしていて、「何かにハマるっていいな」としみじみ感じたのでした。
この記事では、何かを好きになるということは、自分自身の体験が広がってこんなにも人生を楽しくさせるんだな……という話をしたいと思います。
そして今回は、その一例として、『ダイの大冒険』にハマった妻の日々が宝石のようにキラキラと光輝いていく様子を報告させていただきたいと思います。
僕が小さい頃に大人気だった『ダイの大冒険』
『ダイの大冒険』は大人気ゲームの『ドラゴンクエスト』シリーズをモチーフとしたマンガです。単なるゲームのコミカライズではなくて、完全なオリジナルストーリーです。1989年から1996年の間『週刊少年ジャンプ』で連載されていました。
この『ダイの大冒険』の人気がものすごかった。最初にアニメ化されたのは1991年のときです(このときはストーリーの途中でアニメは終わってしまいましたが)。
当時の小学生は雨傘やほうきを持てば「アバンストラッシュ」(そういう技がある)を放っていましたし、とくに何も持っていないときでも「メ・ラ・ゾ・ー・マ」と言いながらフィンガー・フレア・ボムズを放っていました(そういう技がある)。
さっきも言ったように、『ダイの大冒険』はおもしろいことは間違いないのですが、僕にとってはノスタルジーが勝ってしまう作品であることは否めません。ストーリーそのものよりも、つい「ダイの大冒険ごっこ」の方が頭に浮かんでしまう。
そのくらい自分の少年時代に密着していたマンガなんです。
妻が『ダイの大冒険』沼にハマる様子を追いかける
その『ダイの大冒険』が、2020年から、再びアニメになって放送・配信されているのです。僕たち夫婦もなんとなく動画配信サービスで見ていたわけです。
ここからは、妻が沼にハマっていく様子を段階ごとに振り返りたいと思います。
【1】夫婦でアニメ『ダイの大冒険』の配信を見始めた
原作を知らない妻はアニメ版も初見なので、純粋にストーリーを楽しんだようです。第1話の時点で「これ……見ていてなんかワクワクするなあ……」と言っていました。
今にして思えば、これが沼に片足突っ込んだ状況でした。
その後も、配信済みの動画をあっという間に見てしまいます。……といっても話としては序盤の5~6話くらいでしたが。
妻はキャラクターの「アバン先生」のカッコよさに完全にやられていました。アバン先生は主人公のダイを導く「勇者の家庭教師」という人です。普段の言動は軽くておちゃらけているのですが、シリアスな状況になると命がけで敵と戦います。そして、その根底には弱い者への優しさがある。
まあ、確かにカッコいいですよね。わかる。わかるよ、その気持ち……。
また魔法使いの「ポップ」というキャラクターがいます。彼は臆病で、強い敵が出てくるとすぐに逃げちゃいます。そのわりに、妙にいいカッコしたがりなんですよね。ある意味、一般人代表という感じのキャラです。
ポップに関して、妻は当時「こいつ、この物語に必要?」「ポップ、すぐ逃げるし、弱いし、いらなくね?」と言い放ってしました。
うんうん。それもわかるよ。そうだよね……。ポップは勇気がないよね……。
えーと……。原作を読んだことのある人なら、わかりますよね? 僕は『ダイの大冒険』を妻と見るのが、楽しくなってきたんです。妻は、ここから最高に『ダイの大冒険』を楽しめることでしょう。この感想を聞いて僕は確信しましたね。
【2】ゲーム『ドラゴンクエスト3』をプレイする
配信済みのアニメを見終わってしまいました。アニメ『ダイの大冒険』は週に1話配信されています。話の先を知りたい妻にとっては、1週間という時間はかなり「待たされる」という感覚のようです。
ここで妻は意外な行動に出ました。NintendoSwitchで『ドラゴンクエスト3』を購入して、プレイし始めたのです。「『ダイの大冒険』に出てくる魔法や、アイテムが、ゲームの中ではどんな風に使われているか知りたい」とのこと。
なるほどな……。マンガの中で魔法使いのポップが「メラミ」という火炎を出す魔法を使うんですが、それがどの程度すごいことなのか、知りたいですよね。
NintendoSwitchの『ドラゴンクエスト3』はニンテンドーeショップで1,500円(税別)と、かなり安価に購入できます。ただ、これは、そこそこ昔のゲーム(NintendoSwitchに移植されているのはスーパーファミコン用にリメイクされたものですが、それでもけっこう古い)なんですよね。
ドラゴンクエスト初心者の妻はちゃんと進められるのかな、と思っていたのですが、がんばって進めていました。
途中のレベル上げなどで「なんか『作業』しているみたいな感じするな……」とは言っていましたが、それも古いゲームの楽しさの一つだと僕は思います。まあダイたちがやっていた修行だと思って、がんばれ。
【3】ついに文庫版『ダイの大冒険』全巻セットを購入
妻がアニメ『ダイの大冒険』にハマってから、ずっと悩んでいたことがあります。それは原作のマンガを購入すること。
アニメ配信を待っていると、妻がストーリーの全貌を知るのは1~2年後になってしまいそうです。そもそも、原作のストーリーを全部配信してくれるかどうかもわかりません。
『ダイの大冒険』の原作は、コミックスだけでなく文庫本でも出ています。全22巻で、全巻購入すると15,730円(税込み)です。出せないことはないけど、そんなに気軽には買えない金額ですよね。
妻は僕に何度も「ねえ、『ダイの大冒険』買った方が良いかな……」と聞いてきます。僕たち夫婦は共働きで、財布を分けています。これは僕に出費の許可を得ようとしているのではなく、単に優柔不断なだけです。
結局妻は『ダイの大冒険』の全巻セットを注文し、すぐに届きました。
ここで興味深かったのは、妻の読み方です。妻は「ストーリーを知りたい」と思って買ったのだから、一気に読むと思っていました。しかし、見てみると、妻は少しずつ、少しずつ読んでいるのです。どうやら1冊につき、2回読んでから次の巻に進んでいる様子……。
なぜそんなことをしているのか聞いてみると「大事に読んでいる」とのこと。
ストーリーを全部知ってしまっている僕にはとても味わえない、とても豊かな読み方。なんか人生エンジョイしているな、いいよな~、なんて思ったものです。
うっかり妻が読んでいない部分を喋りそうになって、本気でキレられたことがあったのですが、それも良い思い出……。
【4】ゲームセンターへ出掛け、クレーンゲームで「ゴメちゃん」をゲットする
妻が『ダイの大冒険』で一番気に入ったキャラクターは「ゴメちゃん」。かわいいですよね。
このゴメちゃんのぬいぐるみが、都内のゲームセンターのクレーンゲームに置いてあるという情報をキャッチした妻は、さっそく出掛けていきました。
自分では取れる自信がないとのことで、僕もついていきます。……僕もぜんぜん取れる自信はないんですが、それでも妻自身がやるよりはマシと思われている様子です。
クレーンゲームの中のゴメちゃんのぬいぐるみを見た妻はこの時点で大喜び。それを見た僕はちょっとゲンナリしてしまいます。なぜなら「妻も僕も取れずにガッカリして帰っていく映像」を想像してしまっているから。
1回100円のクレーンゲームに、妻は500円投入。ぜんぜんうまくいきません。顔色を一切変えずにさらに500円投入。まだとれません。
さすがに落胆の色が出てきたところで、僕がやってみました。500円、1000円つかっても取れません。
クレーンゲームは現金だけではなくてキャッシュレス決済も受け付けています(便利な世の中ですね)。妻は気分を変えたかったのか、そちらでさらに500円追加します。それでもダメ。
もうこりゃダメかもしれないし、妻を諦めさせる言葉を考えた方がいいかもしれない。そう思っていたら、店員さんがやってきて、「絶対に誰でも取れるような位置」にゴメちゃんを移動させてくれました。全然取れていない状態を、さすがに見かねたんでしょうね。
しかし、それでもダメ。
店員さんもこれには驚いた様子で「絶対に誰でも取れるような位置」からさらに「本当の本当に誰でも絶対に取れるような位置」にゴメちゃんを移動させてくれました。
はたして、これがクレーンゲームと言えるのか? という場所です。もはや天地魔界のバランスが崩されているとしかいいようがありません。
結局ゴメちゃんを取るのに、3,500円かかりました。この金額は明確に覚えています。店員さんが特別に優しくしてくれるのも、わかるという金額感です……。
それから、妻は毎日ゴメちゃんと一緒に寝ています。妻はぬいぐるみが好きでいろいろ持っているのですが、一緒にベッドに入れるのは特別の地位にあると言えるでしょう。
あと、僕たち夫婦は毎日「ゴメちゃん」と言い過ぎて、ゴメちゃんのことを「ゴチャメン」と言うようになってしまいました。なんで業界用語みたいな言い方になってしまったのかはまったくもって謎です。
【5】シール入りのお菓子を探して歩き回る
「ダイの大冒険のシール入りのお菓子」が販売されているらしいと妻が聞きつけ、二人で延々とスーパーやコンビニを歩き回って探したこともありました。
10軒以上のコンビニ、スーパー、お菓子の量販店などを探し回りました。「特定のお菓子」を探す方法って、実際にお店にいくしかないです。さすがに、お菓子の存在を電話で聞き回るのは気が引けました。
一日の終わりにスマホに歩数計カウント機能を確認したら、2万歩近く歩いていました。もっとも、1万歩以降はさしたる店舗もなくなり、我々の疲労だけが増していきました……。
それでも結局見つからなかったんですよね。家で「いい運動になったね~」と言っていましたが、二人とも別にそんなことは思っていない。
その後に妻はどこからともなく「ゴメちゃん」と「アバン先生」のシールを手に入れていたのですが、多分フリマサイトかなにかで譲ってもらったのでしょう。
「ゴメちゃん」のシールは妻のスマホの裏側にあります。ここ、妻のベッドの中にいるゴメちゃんのぬいぐるみと同様に、シールの場所としては特等席なんじゃないでしょうか。妻の興奮がうかがえます。
……そして、完全に余談なのですが、それから数カ月後、家から一番近いコンビニで、探していたお菓子は売られるようになりました。見つからなかったのは、タイミングの問題だったのか……。
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好きなものができることって、いいなって思った
妻は「今までの人生で一番良い買い物は『ダイの大冒険』のコミックス全巻セット」と言い切っています。そこまでか? と詳しく聞いてみると以下のようなことらしいです。
・ダイとポップを応援したくなる。
・いろいろな地域への冒険が楽しい。ワクワクしてくる。
・ゴメちゃんがかわいい。
・アバン先生がかっこいい。
うん……。ちゃんとした感想ですね……。
僕もあらためて『ダイの大冒険』を読み返したのですが、大人になったことでまた印象が変わりました。
魔王軍の中間管理職であるハドラーの気持ちがわかるようになったり、自分の信念を大きく曲げざるを得ない出来事があったバランの気持ちがしみたりね。ノスタルジーの中に閉じ込めておくのはもったいない。
それにしても、『ダイの大冒険』という物語を通して、自分の好きなものができたり、出掛けるきっかけができたりするの、いいですよね。
妻はマンガを最後まで読み終えましたが、それでも毎週アニメの配信を楽しみにしています。ストーリーは全部知ってしまったのですが、それでもアニメはとても楽しいらしいのです。
配信日の朝は、「今日の仕事が終われば『ダイの大冒険』が見られるぞ~」と言って、職場に出掛けていきます。もはや、『ダイの大冒険』が心の支えになっています。
帰ってきて、アニメを見るときの楽しそうな妻の表情……。何かにハマった人の顔って、言ってしまうと、輝いていますよ。「純粋」さで。
この人、今までこれがなくてどうやって生きていたんだろう? と首をかしげてしまうくらいです。『ダイの大冒険』に妻が出会えて、本当に良かったと思います。
あ、そういえば妻は「ポップ、いらなくね?」の発言は取り消すそうです。
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