ゆる山登山のあとに温泉宿に泊まって、人生を蘇らせてきた(寄稿:pha)

リリース日:2022/07/20 更新日:2024/07/31

phaさんが、新しい息抜きとして「ゆるい登山をしたあとに温泉宿に泊まり、美味しいご飯を食べる」という過ごし方を紹介します。東京から長野方面に向かい、霧ヶ峰を登って、温泉宿「信州しもすわ温泉 ぎん月」に宿泊。贅沢な時間の過ごし方を提案します。

  1. 旅に出よう
  2. 山に登ろう
  3. 温泉に入ろう
  4. 美味しいものを食べよう
  5. 疲れたときは自分にご褒美をあげよう

こんにちは、phaです。

最近どうも肩こりがひどい。

 

まあ運動を全くしてないし、歳のせいもあるだろうけど、つらくてしかたない。なんとかならないだろうか。

 

多分一日中インターネットを見ているのがよくない。つい5分に一回ツイッターを開いてしまうのをやめたい。いいねがいくつついたとか、はてブがいくつついたとか、そんなどうでもいいことを四六時中気にしてしまうのをやめたい。たまにはインターネットを断ちたい。だけど、自分の意思ではうまくできない。

 

あと、僕は疲れたときの気晴らしの手段が、インターネットを見るか本を読むかゲームをするかくらいなのだけど、結局どれも目を使うものなのがよくないと思う。何か目を使わない趣味がほしい。

 

 

そんなときにこの記事を読んで、「ゆるい登山をして温泉に入ればよいのでは?」と思ったのだった。登山ってあまりやったことないのでハードルが高そうに思っていたのだけど、こんな感じだったら自分にもできそうだと思った。

 

「ゆる山歩き」の後に温泉宿に泊まっていただく最高のご褒美ご飯

 

いま僕は40歳なのだけど、歳をとるにつれて狭い場所やうるさい場所が苦手になってきている気がする。

 

昔は騒がしいファミレスで本を読んだり狭いネットカフェでマンガを読んだりするのが全然苦じゃなかったのだけど、最近はつらくなってきた。

 

旅行にしても、昔は高速バスや青春18きっぷで長時間移動したあとゲストハウスのドミトリーに泊まるといった感じでも平気だったのだけど、最近はちょっとしんどい。

 

そろそろ僕もいい歳だし、登山したあとに旅館で美味しいものを食べて温泉に入るといった旅行をするべきなのではないだろうか。

旅に出よう

登山といっても、運動不足で体力がないことには自信があるので、あまり疲れずに山の気持ちよさだけを味わえるようなところに行きたい普通の靴で歩けるようなところがいい。

 

そういう条件で調べてみたところ、霧ヶ峰がよいのでは、ということになった。

 

霧ヶ峰、エアコンの名前でしか知らなかったけど長野県に実在しているらしい。東京からもそんなに遠くないちなみに霧ヶ峰というのは車山(くるまやま)を主峰とした一帯のエリアを指す言葉で、霧ヶ峰という山があるわけではないようだ。

 

 

よし、霧ヶ峰に行こう。霧ヶ峰の美味しい空気を吸ってインターネットを断とう。

 

 

そう思って出発しようとしたのだけど、台風19号のあとだったので、東京から長野方面に向かう中央本線で土砂崩れが起き、特急列車は全て運休、高尾・相模湖間は1~2時間に1本の特別運転のみ運行、という感じになっていた。

そこで普通列車を乗り継いで向かうことにした。

 

特急に乗れば2時間ちょっとで着くが、今回は普通列車を乗り継いで5時間くらいかけて向かうことにした。時間はたっぷりとある。本でも読もう。

 

 

土砂が崩れている横を通過した。これは復旧が大変そうだ。

途中、甲府での乗り継ぎで40分くらい時間があったので、改札を出て武田信玄像を見て信玄餅を買った。

上諏訪駅に着いた頃には夕方になってしまっていた。今日はもう登山は無理だ。しかたないので駅前の適当なビジネスホテルに泊まって、登山は明日にすることにした。

 

何でも人間の自由になる都会と違って、自然は思うようには動かない。山は手ごわいな、と、ビジネスホテルで信玄餅を食べながら思った。やっぱりビジネスホテルは落ち着くな。僕はビジネスホテルに泊まるのが好きだ。

 

日常に飽きたらビジネスホテルに泊まろう(寄稿:pha)

 

明日はちゃんと山登りができるのだろうか。

山に登ろう

翌朝、8時半に目を覚まして準備をする。適当に朝食を食べて、山での昼食用にコンビニでおにぎりとパンを買って、不要な荷物をコインロッカーに預けた。

 

そしてバスの時刻を確かめているときに、自分の勘違いに気づいた。

 

上諏訪駅を10:30に出るバスで登山口の車山肩(くるまやまかた)というところまで向かおうと思っていたのだけど、自分が見ていたのは土日ダイヤだったのだ。今日は平日だ。このバスは走っていない。

 

 

やばい、じゃあ今日乗れるバスはどれだろう、と探すと、車山肩に向かうバスは12:30までないらしい。ちょっとそれは遅すぎる。どうしよう。

 

 

調べてみたところ、9:50のバスで、車山肩の一つ手前の霧ヶ峰インターチェンジまで行けるようだ。これに乗って、一駅分だけ歩いてみようか。

 

東京だと基本的にどこに行っても人が多いから、できるだけ人が少なめの平日に動こうという癖がついてしまっているのだけど、地方だと平日は人が少なすぎて動けなかったりするんだな……。

 

まあなんとかなるだろう、と、上諏訪駅の前からバスに乗った。

市街地を抜けたあと、ぐねぐねとした山道をひたすら登っていく。バスの乗客は僕ともう一人年配の女性がいるだけだった。

 

40分ほどで霧ヶ峰インターチェンジに着いてバスを降りた。天気は曇りだ。

霧ヶ峰インターチェンジには大きな駐車場があって、道の駅とかドライブインみたいな店が集まっていた。結構人がいたけれど、みんな車やバイクで来ている人みたいで、僕のように登山目的の人は他にいなさそうだった。

 

 

とりあえず本来のスタート地点である車山肩を目指そう。道はよくわからないけど、バスの走る車道を歩いていけばまあ着くだろう、と思っていたら、高原を歩く遊歩道みたいなのがあったのでそこを歩くことにした。

 

霧ヶ峰インターチェンジから車山肩までは、バスで行けば6分で着くらしいのだけど、徒歩では50分ほどかかるらしい。

この草原の広がる遊歩道を歩いて行くのがすごくよかった。

 

今の時期にこんなところを歩くのは僕くらいらしくて、霧ヶ峰インターチェンジから車山肩までのあいだ、僕以外の人間に誰にも会わなかった。自分の見える範囲に自分しかいない。景色の中にひたすら一人。思いっきり歌を歌いながら歩いても大丈夫だった。

 

周りに人がいないのってすごく心が楽になるな。都会の暮らしではしばらく忘れていた感覚だ。

道はなだらかなので歩きやすい。無心に足を動かしていると、だんだんと体は熱いんだけど頭の中はすごく落ち着いているという、瞑想みたいな状態になってきた。

 

歩きながら今までの人生であった人生のいろんなできごとを思い出したりしていた。いろいろなことがあったな。ずいぶん遠くまで来てしまったものだ。この先はどうやって生きていけばいいのだろうか。

 

 

そんなことを考えているうちに、車山肩についた。

駐車場があって店が2軒あって、人がそれなりにいた。5分ほど休憩してから車山の頂上を目指す。

 

 

眼下に街を望む。

車山肩から車山山頂にかけてはそれなりに登山者がいて、ちょくちょくすれ違った。すれ違うたびに「こんにちは」と挨拶をする。

 

ちょっと肌寒くなってくる。もう10月下旬だしな。もっと暖かい季節のほうが登山者は多いようだ。特に夏はニッコウキスゲという花が咲くのが奇麗でたくさんの人が訪れるらしい。

 

暖かい季節のほうが気持ちいいのかもしれないけれど、それはそれで人が多そうだし、人が少なめの今の雰囲気も好きだな、と思った。 ※この記事が公開される11月頃には冬山になっているはずなので、もし行く人がいたら気をつけてください

 

 

山頂に近づくにつれて、だんだん霧が立ち込めてきた。

車山肩を出発して50分後くらいに、山頂に到着。

山頂に着いたら見晴らしの良さを楽しもうと思っていたけれど、霧がたちこめていて何も見えない。霧のせいでいつの間にか髪の毛が濡れている。さすが霧ヶ峰だ。

何も見えないままでベンチに座って持ってきたおにぎりとサンドイッチを食べた。適当に荷物を詰めたので潰れてしまっていた。

家から持ってきた温度計を見ると16.9度だった。

歩いているときはいいけど休んでいると少し寒くなってくるな。こんなこともあろうかと持ってきたダウンジャケットを羽織った。

 

 

帰りは行きとは別のルートを回って帰ろうと思ったのだけど、何も見えなすぎるので少し不安になる。

なんもわからん。

でもまあ地図を確認しながら道標に従って歩いていれば大丈夫だろう、と思って下っていく。ネットが使えないところでもGPSで地図上の位置を確認できるアプリもインストールしてあるのでなんとかなるだろう。

なんだか彼岸にでも続いていそうな風景で、本当に現世に戻れるのか少し不安になったけど、一時間弱も歩くと、無事に車山肩まで戻ることができた。出発したときは晴れていた車山肩もいつの間にか霧に包まれていた。

 

バスが来るまで一時間ほどあったので、バス停のそばの「ころぼっくるひゅって」で休憩してあたたかいラムミルクを飲んだ。




温泉に入ろう

夕方のバスで上諏訪駅まで戻り、さらに上諏訪駅から下諏訪駅へJRで移動した。

下諏訪駅から徒歩10分ほどのところにある「信州しもすわ温泉 ぎん月」に向かう。冒頭で紹介した記事を書いた月山ももさんのブログを読んで気になっていた宿に泊まる。

下諏訪は中山道と甲州街道が交わる地として古くから栄えているらしい。下諏訪の街は、駅から諏訪大社も温泉街もすごく近くて、歩いて周れるのがすごくよいな。

 

ぶらぶら歩いてぎん月に到着する。

ロビーでチェックインして、部屋に案内してもらう。いい部屋だ……。窓からは下諏訪の街が一望できる。

浴衣に着替えた。今日はたくさん歩いて疲れたな。とりあえず風呂に入ろう。

お風呂は内湯と露天風呂の2つがあるらしい。洗い場があるのは内湯だけなので、まず内湯で体を洗った。こちらが内湯の様子。

体が疲れた状態で入る温泉は最高だな……。湯に浸かるとしばらく動けなくなった。

 

 

そして内湯を一旦出て、ふたたび露天風呂に入った。ここがすごくよかった。

 

一旦建物から出ると、庭に東屋があって、その中に露天風呂がある。

中に入るとこんな感じになっている。お湯はそんなに熱くなくて、いつまでも浸かっていられる感じがした。

だらっと湯に浸かって、東屋の天井を眺めながら思う。最高だなあ。ずっとここでこうしていたい。

ちょうど他のお客さんが誰も来なかったので、そのまま何十分か入っていた。

 

本当はもっと入っていたかったのだけど、夕食の時間なので一旦戻らないといけない。またあとで入りに来よう。

美味しいものを食べよう

夕食は個室の食事処でいただいた。座って待っていると次々に美味しそうなお皿が運ばれてくる。

まず出てきたのは、巨峰とシャインマスカットの白和えと、

原木しいたけに食用菊を刻んで和えたもの。

美しいし美味しい。ぶどうと白和えってこんなに合うんだ。しいたけもぷりぷりでおいしい。

 

 

普段一人の時はお酒を飲まないのだけど、これはお酒もあったほうがよさそう、と思い、高天(こうてん)という地元の日本酒をもらう。

美味しい。頼んでよかった。

 

 

ピーナッツのペースト状のものをなんか固めたやつと松茸のお吸い物。うまい。

鯉とヒラメの刺身。このあたりでは鯉を食べるらしい。鯉、あまり食べたことなかったけど美味しいな。うっかり写真を撮る前にヒラメを一切れ食べてしまったので本当はもう一切れ多いです。

鮭でおからを巻いて蒸したもの。うまい。

角煮の上にのっているのは、いちじくのソース。うまい。

れんこん饅頭。中には鹿のしぐれ煮が入っている。もちろんうまい。

きのこの炊き込みご飯はお釜で出てきた。うまいなあ。もっといっぱい食べたいけど、おなかの容量が有限なのが悔しい。信州味噌の味噌汁も美味しい。

最後のデザートは液状の杏仁豆腐。あと梨。

大満足した。いつも旅行のときはビジネスホテルでコンビニ弁当を食べることが多かったのだけど、こういうのもいいな。人間の築いた食文化は素晴らしいな、という気分になった。

 

ごはんを食べ終わって部屋に戻る。もう一回風呂に入ろうかと思っていたのだけど、登山で疲れていたせいかそのまま寝てしまった。

 

 

翌朝、朝食は8時30分から、1階の食事処で食べる。

こんな感じ。昨日の夕食のときも思ったけど、信州味噌の味噌汁がすごく美味しいな……。ごはんと味噌汁だけで十分満足できそうなくらい美味しい。

 

 

朝食を食べてからもう一度風呂に入った。

 

昨日は夜だったので見えにくかったけど、露天風呂のある東屋の手前には池があって、鯉がたくさんいる。

餌が置いてあったので投げてみたけど、雨が降ってたせいか気づかれなくて無反応だった。

10時にチェックアウト。スタッフの人もみんな人当たりがよくて、いい宿だった。 
※今さらだけど『Fun Pay!』は楽天カードが運営するメディアなので、クレジットカードを利用できる温泉宿を選んだ。ぎん月さんはキャッシュレス・消費者還元事業に加盟されてるので、キャッシュレス決済で5%還元になるらしい

ついでに近くにある諏訪大社下社秋宮にお参りをして、温泉銭湯に入ってから電車に乗って帰った。

疲れたときは自分にご褒美をあげよう

いつも都会のサウナやビジネスホテルに泊まるような旅行ばかりしていたのだけど、たまにはこういう旅行もいいな。部屋が広くて静かだとゆっくりと考えごとができる。

 

人生やインターネットに疲れたときは、自分へのご褒美的な感じで登山と温泉旅行の組み合わせを試してみよう。いろいろ大変なことが多い世の中ですが、たまに自分にご褒美をあげつつなんとかやっていきましょう。

【あわせて読みたい】「ゆる山歩き」の後に温泉宿に泊まっていただく最高のご褒美ご飯▽

 

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この記事を書いた人
pha

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

毎日寝て暮らしたい。著書に『しないことリスト』(だいわ文庫)、『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎文庫)など。2019年からエリーツというバンドを始めました。

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