“行き当たりばったり”が楽しい。ドイツの古城で一夜を過ごした「人生最高の夏休み」

リリース日:2022/07/20 更新日:2024/08/14

ブロガーのもぐもぐさんが、クレジットカード利用に紐付いたヨーロッパ旅行の思い出について紹介します。ブリュッセル、ブリュージュ、ハイデルベルクなどさまざまな都市を回ったもぐもぐさん。特に印象的だったのは「古城ホテル」での一泊なのだそう。帰国してからも残る思い出について語ります。

  1. 「せっかくだから旅行でも行くか」でヨーロッパへ
  2. 「大人の夏休み」だからこそできる行き当りばったり旅行
  3. 突発的に「古城ホテル」に泊まってみた
  4. まだまだある、旅行の思い出
  5. 散財したあとの「よし、働こう」

「クレジットカードに紐付いた思い出、ありますか?」

 

Fun Pay!編集部さんとの打ち合わせでそう聞かれて、悩んでしまった。私はなるべく現金を使いたくないタイプで、学生時代から長らくクレジットカードのヘビーユーザーだ。毎日当たり前のように、コンビニでもスーパーでも使いまくっているのだけど、何か特段「思い出」といえるようなものってあったかな?

 

カードの存在を心強く感じる瞬間といえば、やっぱり海外旅行だ。これ1枚あればなんとかなる! と思える、スマホと並ぶ必須アイテム。そういえば、あの夏休みは楽しかったな。大人になってからあんなに最高の夏を過ごせると思わなかった。

 

***
 

その夏、私は無職だった。

 

新卒から3年間勤めた会社を6月に辞めて、次の仕事を決めず夏を迎えた。せっかくなら2カ月くらい、長い長い夏休みにしよう。生活費は……まぁなんとかなるだろう。

夏休み、なんて甘美な響き! 学生の頃のように自動的に与えられはしないけど、そのぶん自分で好きなように決めることはできる。私の夏休みは今日からだ。



「なんにもしないんでしょ? さすがに2週間くらいで飽きるんじゃない?」

 

……と、勤勉な友人には言われたけれど、私は全然まったく少しも飽きなかった。

 

上野の美術館をのんびり優雅にはしごしたり、土日は行列が絶えない人気のかき氷屋さんに平日昼にひとりで行ったり、クーラーをつけた部屋でアイスをかじりながらいつか見たいと思っていた映画やアニメやドラマを見まくったり、青春18きっぷで適当に電車に乗って遠出してみたり。毎日何もやることがなくて、同時に無限にやることがあったあの日々は、人生最高の夏休みだった。

「せっかくだから旅行でも行くか」でヨーロッパへ

楽しいことはたくさんあったけれど、その中でも1番最高だったのが2週間のヨーロッパ旅行だ。今でも毎年夏になると思い出す。

ベルギーのブリュージュ

せっかくこれだけ長期間休むんだから旅行でもするか……と思いたち、ヨーロッパを何カ国か周遊することにした。引け目なく好きなだけ休めるんだし、遠くまで行こう。フットワーク軽く付き合ってくれそうな友人を、半ば強引に誘った。



決めたのは、ブリュッセルに着いて、プラハから帰る。それだけ。

 

日本でしばらく自由気ままな生活をしていて味を占めていたので、行き帰りの航空券と初日のホテルだけを取って、飛んだ。ベルギーからドイツへ、そしてチェコに抜けていこう。毎日、その日やりたいことをしよう。

「大人の夏休み」だからこそできる行き当りばったり旅行

ドイツのローテンブルク。噂どおりかわいい街だった

この行き当たりばったりスタイル、やってみたらとても楽しかった。

 

「有名な観光地だから来てみたけれど、意外にすることないな……。早めに切り上げて移動した先で宿を取ろっか」とか「この街の感じめっちゃ好き! 似た感じの街並みもっと見たいな〜」とか「目当ての街の宿が空いてなくて数駅ずれちゃったけど、せっかく来たしブラブラしていこ」とか、その時々の気分でチューニングしていけるのが予想以上に快適だった。

ハイデルベルクの街並み

めちゃくちゃ期待していた観光名所がいまいち琴線に触れないこともあるし、何の気なしに入ったレストランで食べた料理がものすごくおいしくて最高にテンション上がることもあるし、やっぱり旅行は予定不調和が楽しい。

 

旅行初日、現地通貨に少しだけ両替して、あとはなるべくクレカで決済していった。観光客が行くような場所は、小さな売店もレストランもたいがいカードが使えるので、むしろ日本にいるときよりもストレスがないくらいだ。国を越えても同じユーロなのも旅行者としてはありがたい。移動は、乗り放題の鉄道パスを事前に買っていたのでほとんどはそれを見せればOK。鉄道パスは、周遊する国の数や日程によってさまざまな種類があってすごく充実している。この乗り放題パスの存在も行き当たりばったりスタイルにはぴったりだった。

 

今はインターネットがあるから交通も宿もすぐに調べられるし、学生の頃の貧乏旅行と違ってそれなりの軍資金もある。120%自分の欲望に従ってやる。はっはっは。

 

貧乏性なので、普段仕事の合間を縫って旅行に行くときはガッツリ予定を詰め込みがちだったけれど、こういうのもいいな、と思った。

 

予想外の出会いや発見があってよかった。毎日気心がしれた友人と毎夜「明日何しようね?」と話すのもなんだかワクワクした。……めっちゃ夏休みっぽい!!

グラン・プラス(ベルギーのブリュッセルにある大広場)

ベルギーのブリュッセル、ブリュージュ、ドイツのケルン。電車やバスを駆使してのんびり移動していく。妙に憧れのあったブリュッセルの「グラン・プラス」に降り立った時は夢がかなったみたいでうれしかったし、ベルギーのポテトフライはびっくりするほどやけにおいしいし、ドイツビールは本当に安くて笑ってしまった。

 

ドイツでは、日本人観光客に人気のあるファンタジーちっくなかわいい街・ローテンブルクに行く前に、Sexy Zoneのマリウス葉くんの故郷として知られる(オタクの中では)ハイデルベルクにも行ってみることにした。

ハイデルベルクはドイツで行った街の中で1番好きだったかもしれない。城が街とネッカー川を見下ろすようにそびえていて、街並みもきれいですっごくよかった。ドイツ最古の大学といわれるハイデルベルク大学を見学できるのも物語の世界に迷い込んだみたいでテンションがあがった。マリウスくんよ、こんな素敵な街で育ったのか……。

ハイデルベルク大学の旧講堂。かっこよすぎる
悪さをした学生たちが放り込まれる「学生牢」。落書きだらけで迫力がある



突発的に「古城ホテル」に泊まってみた

そんなハイデルベルクを堪能した私たち。さて、宿はどうしようか? とパラパラガイドブックをめくっていたら、「古城ホテル」のページが目に飛び込んできた。

 

今回の旅行、全体的に「宿泊は適当でいいか」と思っていたからちゃんとチェックしてなかったけど、昔のお城そのままに泊まれるのは面白そうだ。ドイツを巡っていると必然的に石造りの城や聖堂を見まくることになり、自分史上最高に親近感が高まっているのもある。

 

古城たち(?)はある程度郊外にあるので、大きな都市からはわりと行きにくいけど、ハイデルベルクからならそう遠くないところにありそうだ。予定していたルートから少し外れるけど、せっかく発見したし行ってみてもいい気がする。

 

とはいえ夏のハイシーズン、さすがに今日明日で空いてない気もするな。と思いながら宿泊サイトで調べたらなんとちょうどポッカリ空いていた。しかもひとり一泊6,000円くらいだ。

 

……え、意外と安くない?? 直前だから? いいじゃん! と2人で盛り上がり、勢いで泊まることを決め、颯爽とクレカで決済した。

 

こちら、部屋の窓からの景色です。

お、お城だ……。

 

建物は古いので、ものすごくきれいでラグジュアリー! な感じではなかったけれど、小ぢんまりと清潔な、童話のような空間だった。

私たちが泊まった古城ホテルは、ハイデルベルクから電車で30分ほどのヒルシュホルンという都市にある「シュロスホテル ヒルシュホルン」(調べたら現在は営業終了しているようです…ご注意ください)。敷地がそこそこ広いので、探検するだけで楽しい。

この高い塔にも登れる。

 

いや〜〜、楽しい。ヨーロッパに来た感がめちゃくちゃに高まった。

 

ドイツへ行くご予定がある人、お城に泊まるのは結構おすすめです。ノリで来てみたけどすっごくいい思い出になった。

レストランが川に面したテラス席にあって、これがまた最高でした。景色がいい〜〜!!雲が流れるのも太陽がゆっくり傾いていくのも美しくて、ずっとずっと見ていられる。

ごはんを食べてビールを飲んでにこにこしていたらねこが寄ってきたので一緒にディナーを楽しんだ。話しかけたらちゃんと返事してくれた(マジ)。ここは天国か?

日が落ちてくるとまた違う雰囲気で幻想的。

ああ、書いていてあの日に戻りたくなってきた。あの時「よっしゃ! ちょっと遠回りして、一泊使って泊まろ!」とアクセルを踏んだ自分たちの判断を褒め称えたい。

まだまだある、旅行の思い出

ガイドブックには少ししか載っていない、ヴュルツブルクというドイツの小さな街の「レジデンツ」も超最高だった。バロック建築の宮殿で、建物も庭もものすごく美しい。

ミュンヘンのビアガーデンで、ユーロ(サッカー)のドイツ戦を観戦したのもラッキーだったな。みんな大盛りあがりだった。

チェコのプラハでは毎日いろいろなところで小さなコンサートが数千円程度でやっていて、生演奏を聞けるのが楽しかった。クラシックには明るくないけれど、雰囲気を味わうだけで気持ちがいい。音楽とこんなに距離が近い街は素敵だ。

あと、チェコはビールがおいしくて幸せだった! ドイツビールよりも個人的には好きだったかも。

散財したあとの「よし、働こう」

帰国してしばらくしてやってきた、クレジットカードの明細を眺めて笑ったり泣いたりした。あらためて数字になると自分が想像した以上にバカスカ使っていて驚くし泣ける(それはまぁ、毎月のことですが)。

 

海外旅行に行ったあと、ホテルやレストラン、駅の売店やお土産もの屋さん、そういう小さなお店まで細々とヒストリーが残るのが好きだ。これなんだっけ、そうだあの店だ、とひとつずつ脳裏の思い出と照らしていく。


 
2週間、さんざん遊び尽くして散財して帰ってきて1番に思ったことは意外なことに「よし、働こう」だった。

 

またいつかこんな幸せを味わうために、なんとか頑張ってそれなりに稼いでいこう。お金を使った対価として得られる幸せは絶対にあるのだから、だったらその資金が必要だ。

 

大人になっても「人生最高の夏休み」は何度でも更新できる。またいつか。 

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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

平成元年生まれ、インターネット育ち。アイドル、宝塚、2.5次元舞台、エンタメ全般が大好き。だいたい毎日幸せです。オタク女子集団「劇団雌猫」で同人誌『悪友』シリーズを刊行中。編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)など。

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