日常に飽きたらビジネスホテルに泊まろう(寄稿:pha)

リリース日:2022/07/20 更新日:2024/08/14

phaさんが、日常から抜け出すためにビジネスホテルに泊まる過ごし方を紹介します。今回の宿泊先に選んだのは、大浴場やサウナが完備された「ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町」。特別なことをしなくても新鮮な気持ちになり、明日からの活力になると言います。皆さんも息抜きにやってみませんか?




別に何か大きな悩みがあるわけじゃない。
毎日の生活にはそれなりに満足している。
だけど、ときどきこの日常がつまらなくなることがある。

 

 

毎日同じ部屋の同じ布団で目を覚まして、同じ道を歩いて同じ駅から同じ色の電車に乗る。その繰り返しに飽きてくるのだ。

 

 

何かちょっと、違うことがしたい。

 

そんなとき、僕は家の近くの「ビジネスホテル」に泊まることにしている。

 

旅行をしたってもちろんいいのだけど、旅行をするにはどこに行くか考えたり計画を立てたりしなきゃいけないのがちょっと面倒だ。電車や飛行機で長距離の移動をするのも疲れる。

 

 

近場のビジネスホテルなら、交通費もかからないし、計画無しでいつでも泊まれるし、それでいて家とは少し違う時間を過ごすことができるのだ

 

 

 

 

今日は東京都中央区にある「ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町」にやってきた。

時刻は15時。僕はビジネスホテルに泊まるとき、チェックインはできるだけ早く、チェックアウトはギリギリまで粘るようにしている。何時間いても料金が同じなら、できるだけ長く滞在したほうが得だ。

 

 

ビジネスホテルはいろいろあるけれど、僕はドーミーインがお気に入りだ。一番好きなところは、風呂だ。ドーミーインには大浴場が付いているのだ。

 

 

大浴場がないビジネスホテルに泊まった場合、ホテルの中で滞在できる場所は自分の部屋しかない。夜遅くに帰ってきて寝るだけだったらそれでもよいのだけど、僕のようにビジネスホテルへの滞在自体を楽しみたい場合は、ずっと部屋にいると飽きてしまう。

 

 

大浴場があれば、部屋と大浴場を往復できるので、ホテルの外に出なくても一晩くらいなら退屈しない。

 

 

ちなみに僕は大浴場付きのビジネスホテルに泊まるとき、風呂には3回入ることにしている。チェックインしてすぐの昼間に一回、夜遅くに一回、朝起きてから一回だ。何回入っても同じ料金なので、できるだけ多く入っておきたい。

 

 

 

 

まずはロビーでチェックインをする。機械で宿泊情報を選択しクレジットカードで決済したらチェックインができる。便利だ。

部屋に入るとこんな感じだった。シンプルで過ごしやすそうだ。

とりあえず着替える。ドーミーインのこの館内着が結構好きだ。

そして真っ先に最上階の大浴場へ向かう。

露天風呂もあるしサウナもある。素晴らしい。これこそが僕が求めていたものだ。

 

しばらく露天風呂にのんびり浸かったあとに、サウナ・水風呂・外気浴のコンボを3セットくらいこなす。そうするとあっという間に一時間くらいが過ぎてしまう。

 

 

僕はサウナが好きで、よくスーパー銭湯などに行くのだけど、サウナで一番気持ちいいのは出たあとに休憩室でごろごろする時間だ。

 

ホテルに泊まった場合は、サウナを出たあとに個室の広いベッドでごろごろできるのがいい。そのために泊まりに来たといっても過言ではない。

 

 

この日も部屋に戻ってさっぱりした気分でベッドに寝転んでいると、いつの間にか眠ってしまっていた。

 

 

 

 

目が覚めるともう夕方だ。外が暗くなり始めている。

 

ホテルにチェックインしてすぐのときは、部屋にいても慣れない環境に来たばかりで少し落ち着かない感じがあるのだけど、風呂に入って一眠りすると、部屋が自分に馴染んできた感じがしてくる。気分が落ち着いてきた。

 

 

ホテルの部屋では別に大したことは何もしない。家で過ごしているときとほとんど変わらない感じで、寝転んでスマホでだらだらとネットを見たりとか、あとは本を読んだりとかしている。

 

 

ベッドでごろごろしていると、そのうち自分がどこにいるかも忘れてしまったりする。そしてふと我に返って、「あ、そういえばここは家じゃなかった」と気づく瞬間が好きだ。

 

自分の家はちゃんとあるけれど、自分はその家以外にも泊まることができる。行こうと思えば自分はどこにだって行ける。そのことを確認すると安心感を覚える。

 

 

今の家が嫌いなわけじゃない。むしろ気に入っているほうだ。だけど、毎日同じ布団で眠る日々が続くと、なんだか飽きがやってくるのだ。自分はなぜここでこんな生活をしているんだっけ、ということを見失ってしまう。

 

 

ときどき普段の生活を離れたほうが、何気なく過ごしている普段の生活の良さを振り返ることができる

 

 

晩ごはんはどうしようか。どこか近くの店に食べに行ってもいいのだけど、一人で飲食店に入るのがそんなに好きじゃないし、部屋にこもっていたい気分なので、コンビニで何か買ってくることにする。

 

今日は「ひたすら自分を甘やかす日」なので、コンビニで好きなものを買いまくろう。

 

そう思ってコンビニを2軒回って、欲望のままに買い物をした。

少し買いすぎたかもしれない。まあ食べきれなかったら持って帰ればいいか。コンビニだとどんなに豪遊しても2,000円を超えることはない。

 

 

ドーミーインにはマンガも置いてある。この本棚のマンガは部屋に持って行ってもいいので、懐かしいマンガを読み返したりしようか。

部屋に戻って、ホテルに置いてあったマンガと、コンビニで買ったマンガと、持ってきた本とを机の上に積み重ねる。そしてノートパソコンを広げ、音楽を聴くためのBluetoothスピーカーも設置する。

これが俺の王国だ、という気分になる。ここに娯楽のすべてがある。好きな音楽を流しながらマンガや本を読んだりネットを見たりしていると、それだけで時間がいくらでも過ぎていく。

 

 

そんなふうに過ごしていたら、いつの間にか22時になっているのに気付いた。危ない、あれを忘れるところだった。

これはドーミーイン名物の「夜鳴きそば」で、宿泊者は無料で食べることができるのだ。

 

 

この夜鳴きそばが、シンプルだけど結構おいしい。今どきのラーメン屋に行くといろいろ工夫をこらしたラーメンが多くて、逆にこういう“シンプルな中華そば”といった感じのラーメンはなかなか見かけなくなってしまった。

 

スープのうまさが染み渡る。お酒を飲んだあとの締めにちょうどいい感じの味だ。豪華な料理よりもこれくらいの食べ物のほうが気持ちが平和な感じになってよい。

 

 

そして寝る前にもう一度風呂に入りに行く。夜中は他のお客さんも誰もいなくて、静かで落ち着く。最高だ。

 

露天風呂って、温泉地とかに行って自然の中で入る露天風呂も最高だけど、ビルだらけの都会の真ん中の露天風呂でも、外気に触れているというだけですごく贅沢な感じがする不思議だ。

 

 

風呂あがりにマッサージ椅子で体をほぐしてもらう。今日はよく眠れそうだ。

今日ここに泊まりに来なければ、いつもと同じように、家でだるいだるいと言いながら大して何もせずにだらだらと時間を過ごしてしまっていただろう。それに比べれば楽しく時間を使えた一日だった

 

 

 

 

翌朝、目が覚めると午前9時前だった。朝食を食べに行かなくてはいけない。

 

朝食バイキングはホタテや甘エビなど魚介類もあって豪華だった。ドーミーインPREMIUMは普通のドーミーインより朝食も豪華なようだ。バイキングってつい取りすぎて食べすぎてしまう。

朝食を食べたら、もう一度風呂に入りに行く。朝の風呂もあまり人がいなくてよい。

 

 

朝の空気を感じながら露天風呂に入る。
外はすっかり明るくなって車の音などが聞こえてくる。
外の世界では社会が今日も始まろうとしている。

 

そんな中でゆっくりと湯に浸かるのは至福だ。

 

 

風呂からあがって、チェックアウトの11時までのあいだ、またしばらくベッドでごろごろする。このままずっと寝ていたい気分だけど、10時を過ぎると隣の部屋から清掃の音が聞こえ始める。

 

泊まっていた人たちもみんなもう旅立ってしまったようだ。僕もそろそろ行かないといけない。

 

 

 

 

フロントでカードキーを返却してチェックアウトをした。

 

 

今回の宿泊費は約1万円で、ちょっと贅沢したなとは思う。

 

だけど、すべてが嫌になったときのリフレッシュ代と思えば、まあありなんじゃないだろうか。

 

 

都心から離れた場所で、朝食を抜きにして、ホテルが安くなる日を狙えばもっと安く済ませることもできるし、もっと高級ホテルみたいなのに泊まるのも面白そうだなと思い、実際にそういうところを下見に行ったりもしたのだけど、結局慣れ親しんだビジネスホテルを選んでしまった。

 

 

コーヒーが1,000円くらいするカフェがあったり夜景が奇麗なバーがあったり、高級なレストランや結婚式が開催されるようなホールが建物内にあるゴージャスなホテルに泊まっても、僕はどうせ部屋にこもってネットを見たりマンガを読んだりしているだけだろう。

 

それなら大浴場付きのビジネスホテルのほうがいい。気楽だし、高級ホテルにはサウナや露天風呂やマンガコーナーがないし。僕の気分転換には大浴場付きのビジネスホテルくらいの感じがちょうどいい。

 

 

外に出ると太陽の光がまぶしい。外の世界はすっかり活動を始めていて、人々がみんな足早に歩いている。

 

僕もあの慣れ親しんだ家に帰るか。

 

 

家は家でやっぱり落ち着くんだよな。いつもと違う場所に一泊するだけでも結構リフレッシュができる。ちょっとだけ新鮮な気分でまた今日からがんばっていけそうな気がする。

 

行き詰まった気分になったらまた泊まりに来よう。ビジネスホテルは全国どこでも同じような部屋で、いつでも我々を待っていてくれている。

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この記事を書いた人
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

毎日寝て暮らしたい。著書に『しないことリスト』(だいわ文庫)、『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎文庫)など。2019年からエリーツというバンドを始めました。

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