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売上原価の考え方をわかりやすく解説 具体的な計算方法も
売上原価とは商品の製造費用や仕入れ費用のこと。粗利益を計算するのに必要な項目です。ここでは、売上原価の考え方(商品が売れた場合にだけ計上される)と計算方法、また製造原価との違いを説明します。
売上原価とは?
まず、売上原価とはどのようなものか見てみましょう。
・売上原価とは売れた商品の原価
売上原価は、売れた商品の仕入れ原価のことです。たとえば、販売価格1,000円の商品の仕入れ費用が500円であれば、売上原価は500円となります。
売上原価は売れた商品の費用のみ計上するため、「売れた商品数×原価(仕入れ原価)」で計算されます。「売れた商品の原価のみ計上」という基本的な考え方を正しく理解しておきましょう。
・売上原価は業種によって考え方が変わる
売上原価というと小売業の仕入れが浮かぶでしょうが、製造業などでは原価の範囲も変わります。小売業では人件費を含めませんが、製造業の場合は、生産に直接関わった人件費も売上原価に含めます。
例)売上原価として含める費用項目例
●小売業(家具を仕入れて売る):家具の仕入れ費
●製造業(家具を製造、売る):材料の仕入れ費、人件費、生産コスト
売上原価の区分を行う場合は、どのような業種・業務に発生したコストか各項目を見極める必要があります。
製造原価との違い
ここで、売上原価と製造原価の違いを理解しておきましょう。どちらも「原価」という言葉が含まれているため混同してしまいがちですが、考え方や計算方法はまったく違います。
・製造原価は生産にかかった費用
製造原価とは、商品やサービスを作るために必要とした費用の総称です。たとえば椅子を作るには、材料の調達費・加工機の稼働費用・組み立てスタッフの人件費など、あらゆる費用がかかります。実際に製造原価を算出するときは、以下3種類の項目を計算に活用します。
●材料費:商品を作るために必要な材料調達にかかった費用
●労務費:商品を作るために関わった人件費の総称
●経費:いわゆる水道光熱費のこと(たとえば、生産に必要な照明設備や工作機械を稼働させるための電気代)
しかし、上記の項目を単純に合算するわけではありません。製造間接費(対象の製品に対してどれだけ費用を費やしたかわからない項目)を足したり、作業時間で割ったりするため複雑な計算となります。このような性質も売上原価と異なります。
・売上原価と製造原価は費用に対する考え方が違う
売上原価と製造原価は、原価の求め方と考え方が違うと説明してきました。それではその違いはどのようなものなのか、以下にまとめます。
●売上原価:売れた商品から原価を差し引いた費用のこと。
売上原価は売上総利益を計算するためにも必要な費用項目
●製造原価:商品を作るためにかかった労務費・人件費・材料費などを足した費用
売上を得るために必要な費用(製造原価に利益を上乗せし販売する)
売上原価と製造原価は会計で使用される箇所も違いますし、上記のように意味も違います。また、売上原価は売れ残った商品の原価を含めませんが、製造原価は含めます。
計算方法
売上原価は損益計算書の項目のひとつで、売上総利益(粗利)を計算するのに必要な項目です。ここからは売上原価の計算方法を詳しく見ていきましょう。
・昨年までの在庫金額を整理する
1月1日時点(1月を期首とした場合)で、どれだけでの在庫を所有しているか確認します。この場合の在庫とは、昨年の決算までに売れ残った商品を指します。さらに昨年の在庫を会計用語で「期首棚卸高」と呼ぶ点がポイントです。期首棚卸高=昨年の決算までに売れ残った在庫と覚えておきましょう。
例:2022年を当期と仮定
●2021年12月31日(昨年)までに、100万円分の商品が売れ残る(在庫)
●2022年1月1日月時点の期首棚卸高100万円
・当期に仕入れた商品金額の整理
当期に仕入れた商品も売上原価の計算に必要ですので、仕入金額を確認しておきましょう。また、新規に仕入れた商品金額を「今年度仕入高」と呼びます。
例)2022年を当期と仮定
●2022年1月1日~12月31日の間に仕入れた仕入れ金額が500万円
・年末の在庫金額を確認
期末とは当期末のことで、2022年1月1日を期首とする場合は2022年12月31日のことです。そして売上原価の計算では、期末時点の在庫金額も確認する必要があります。期末時点の在庫金額は、期末棚卸高と呼びます。
例)
●期末棚卸高が200万円(今年度仕入高に対して年末までに売れ残った在庫金額)
・3つの項目を売上原価の計算式に含める
ここまで以下3つの項目を紹介しました。売上原価を算出するには、3つの費用項目を以下の計算式に当てはめます。
期首棚卸高+今年度仕入高-期末棚卸高=売上原価
例)
●期首棚卸高100万円
●今年度仕入高500万円
●期末棚卸高200万円
期首棚卸高100万円+今年度仕入高500万円-期末棚卸高200万円=400万円
上記例の場合は、売上原価は400万円となります。
売上原価を求めるためには、昨年の在庫金額・今年の仕入金額・年末に残った在庫金額の3項目を正確に記録しておくことが大切です。
売上原価は年間の売上総利益、いわゆる粗利を算出するのに必要な費用項目です。製造原価と違い、在庫分の原価は含めません。今後のライフプランを考え、事業立ち上げを検討している方は、売上原価についても関心を持っておきましょう。
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今後、これらの知識をもとに、会社の決算発表をご覧になるとさらに理解を深まることでしょう。また決算発表前と後で株価の動きも気になるところ。楽天証券のマーケット情報を一緒にチェックしみるのも面白いですよ。
このテーマに関する気になるポイント!
- 売上原価とは?
売れた商品の仕入れ原価のことです。 - 売上原価の計算方法は?
「売れた商品数×原価(仕入れ原価)」で、売れた商品の原価のみを計上します。 - 売上原価に人件費は含める?
業種によって考え方が異なります。 - 売上原価に含める費用項目は?
仕入れ費、人件費、生産コストなど(業種によって異なる)です。 - 製造原価に含める費用項目は?
材料費、労務費、経費、製造間接費などです。
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
何気なく手に取ってる商品にも手間やコストがかかってること、忘れないようにしないとね!