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リセッションとは?アメリカ・日本での定義やコロナショックとの関係を解説
景気が落ち込むことをリセッションと呼びますが、具体的な定義はあまり知られていません。今回はリセッションの定義を確認するとともに、新型コロナウイルス感染拡大によって、世界経済がリセッションに入ったのかについて解説します。
リセッションとは?
まずは、リセッションの意味や日本と欧米の違いについて紹介します。
・リセッションの意味・定義
リセッションは、景気の良いとき(景気の山)から悪いとき(景気の谷)へ変わる局面を指しています。日本語では景気後退局面と呼び、日本や欧米でも活用されている専門用語です。また、景気の状態を示す用語は4種類あり、それぞれ以下の名称と定義となります。
●好況:景気が良い、株価は右肩上がりの傾向
●後退:景気が悪くなる、株価は下がる傾向(リセッション)
●不況:最も景気が悪い状況、株価は低調
●回復:不況から好景気へ変わる、株価は再び上昇傾向
上記の流れを景気循環と呼び、一般的に3年~5年で循環しています。そして景気拡大期(回復から好況)は2年~3年かかるのに対して、景気後退は1年~2年というスパンです。
・欧米と日本では基準が違う
リセッションを知る上で気をつけておくべきポイントは、欧米と日本で異なる基準という点です。
ヨーロッパの場合、GDP(国内総生産)が2四半期(1四半期は3カ月)連続でマイナスの数値を記録すると、リセッションのサインとして捉えます。いわゆるテクニカル・リセッションです。
一方日本の場合はGDPではなく、内閣府が毎月公表するDI(ディフュージョン・インデックス)という景気動向指数を基準としています。DIは複数の経済部門の景気を総合した指標で、3カ月前と比較して景気が改善した経済部門の割合をパーセントで表したものです。DIが50%を下回ると、景気が良くなっていない部門のほうが多いことを示し、この状態が続けばリセッションと判断されます。
・「景気減速」と「景気後退」の違い
景気減速と景気後退は、同じ意味として捉えている方もいるかと思います。
景気減速とは、景気拡大期(景気が良い時期)に景気が落ち着く、または拡大速度が鈍る状態のことです。一方景気後退(リセッション)は、不景気な状態を指します。
一般的に景気減速より景気後退(リセッション)のほうが、景気の悪い状態と考えておくと覚えやすいのではないでしょうか。
そもそもなぜ景気はよくなったり悪くなったりするの?
経済活動には周期性があり、その周期性を景気循環と呼びます。景気循環(好況・後退・不況・回復)が起こるのは、以下のようなメカニズムが働くからです。
●物を作る
●物が売れる
●経営者は労働者をさらに雇い、生産活動の強化(好況)
●さらに物を作り、売る
●物が余って売れなくなる(後退)
●事業規模の縮小、労働者の解雇(不況)
●物が少なくなる
●再び物を作る(回復)
このように景気は需要と供給のバランスが変化することで、よくなったり悪くなったりします。現代の経済は複雑な構造となっているため、それほどシンプルではありませんが、基本ですので覚えておきましょう。
また、景気循環には長期・中期・短期と複数存在していて、それぞれ以下のようなスパンに分かれています。
●長期:コンドラチェフの波、50年周期で景気循環。公共設備などの老朽化と建設需要、技術革新が主な要因と考えられている。
●中期:ジュグラーの波・クズネッツの波、約10年・20年周期で景気循環。工場などの設備需要や老朽化による建設需要が主な要因と考えられている。
●短期:キチンの波、約40カ月(4年弱)周期で景気循環。企業が在庫を減少させたり増やしたりする動きが短期的な景気に影響を与える。
世界経済はいつリセッションに入る?
世界経済はすでにリセッションに入っているという見方もあります。その大きな理由は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と、ロックダウン・自粛による経済活動停止です。
また、2020年6月9日の報道によると、NBER(全米経済研究所)がアメリカのリセッション入りを宣言しています。原因は新型コロナウイルスによる経済活動停止とされていて、10年8カ月続いた景気拡大局面は2020年2月に終了しました。
日本の場合、政府や日銀によるリセッションの宣言などはありません。しかし、海外の報道などではすでにリセッション入りと伝えられています。理由は、新型コロナウイルスによる経済的影響、そして消費税増税によるGDPの2四半期連続マイナス成長です。
リセッションに陥ると米国株や投資はどうなる?
リセッションに入ると米国株や日本株の多くは、業績悪化などによる下落傾向へ変わります。しかし今回のコロナショックは、リーマンショックと違い金融機関の破綻などが原因ではありません。ワクチン開発や治療薬の開発、新しい生活様式の普及などが順調に進めば早期の景気回復も期待できます。
6月現在は、世界的に経済活動再開の動きへ変わっているので、景気回復を期待して現在の状態を「投資の側面から買い」と捉えることもできます。市場経済は好景気と不況を繰り返すものです。リセッション期は、米国株が安く買える絶好の投資機会なのかもしれません。ただし第2波によるコロナショックや、米中対立による米国株の急落(2番底)の可能性には注意しておきましょう。
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このテーマに関する気になるポイント!
- リセッションとは
景気の良いとき(景気の山)から悪いとき(景気の谷)へ変わる局面を指しています。 - 「景気減速」と「景気後退」の違いは
景気減速とは、景気拡大期(景気が良い時期)に景気が落ち着く、または拡大速度が鈍る状態のことです。
景気後退(リセッション)は、不景気な状態のことです。 - リセッションに陥ると米国株や投資はどうなる?
リセッションに入ると米国株や日本株の多くは、業績悪化などによる下落傾向へ変わります。
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