リベンジ消費とは?意味を解説|アフターコロナに向けたアンケート調査も紹介
「リベンジ消費」という言葉をご存じでしょうか?新型コロナウイルス感染拡大を受けて余儀なくされた自粛生活の反動として期待される消費活動のことを指します。今回は、このリベンジ消費について詳しく解説していきます。
リベンジ消費とは
2020年初頭から新型コロナウイルスの感染が拡大を続け、長期間の緊急事態宣言下による自粛生活に耐えた反動として、大きな消費活動が期待されています。これがいわゆる「リベンジ消費」です。
ワクチン接種を完了した人の割合が増加し感染拡大が収まると、消費意欲の高まりと、それに伴う国内景気の回復が想定されます。コロナショックにより大打撃を受けた多くの企業は、リベンジ消費の本格化に期待を膨らませています。
アフターコロナの生活はどうなる?人々の意識とは
新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活環境に大きな影響を与えました。リモートワークの導入が進んで働き方は大幅に変わり、在宅時間の増加により家族と過ごす時間が増えました。中には運動不足を懸念している方もいることでしょう。
・コロナ禍の生活は受け入れられている
2021年12月現在、新型コロナワクチンを接種した割合は、8割近くに及びます。依然として感染者はいる中でも、長引く自粛のなかでコロナ禍の収束後のことを考え始めている方もいるのではないでしょうか。では、アフターコロナの生活について人々は一体どのように考えているのでしょうか。
新型コロナウイルス影響下の生活者意識については、2021年10月に株式会社ビデオリサーチが調査しています。それによると「感染緩和後も『いまの生活スタイル』を維持したいか」という質問に対して「とてもそう思う」「少しそう思う」と回答した人は、全体の約7割という結果になりました。半ば強制的にステイホームが呼びかけられ、外出自粛を求められて作り上げられた現在のライフスタイルは、意外にも多くの人々に受け入れられていることがわかります。
総じてコロナ禍でのライフスタイルが多くの人に受け入れられているのは、通勤時間や意義の薄い人付き合いがなくなり、以前よりも時間を有効活用できることに理由があるようです。
・課題はオンラインとリアルの振り分け
コロナ禍での外出自粛により、さまざまなことがオンラインで行われるようになりました。この点については、仕事の一環である会議や打ち合わせ、セミナーなどは今後も「オンラインが良い」と回答する人が目立つ一方、飲み会や食事会、友人・知人との付き合いは「リアルな空間で行いたい」と回答する人が圧倒的多数の結果になっています。
そのほか、役所での申請や手続きはリアルよりもオンラインで行いたいという人が多いなど、行動項目によって今後の生活でオンラインとリアルのどちらで行いたいかは明確に変わってくるようです。
リベンジ消費の現状
では、日本のリベンジ消費はすでに始まっているのでしょうか?国内の景気動向は2021年9月から3カ月連続で回復傾向にとなっています。一方で、業界によって大きく状況は異なるようです。ここでは、リベンジ消費が比較的好調な業界と、伸び悩む業界とに分けてご紹介していきます。
・リベンジ消費が好調な業界
時計や宝飾品といった高級品、そして高級食材などいわゆる「いいもの」の消費が増加傾向にあり、リベンジ消費が好調な状況となっています。デパートや百貨店はその恩恵を受けており、客足の回復を実感しているようです。
そのほか、エステなどの美容業界でも客足が増え、1人あたりの単価も上がっていて、2021年10月には前月9月に比べて売上が4倍までアップしたエステ店もあるとのこと。
また、自粛生活で旅行なども控えられてきましたがアフターコロナの生活では旅行やライブ、イベントなどにお金を使う人が増えると考えられています。旅行会社JTBでは、感染拡大の収まった2021年10月の旅行の予約は9月の2倍と倍増しているとのこと。また、国内旅行は海外旅行ほどお金がかからないため、少し贅沢した「いい宿」を予約する傾向にあるといいます。
・リベンジ消費が伸び悩んでいる業界
新型コロナウイルスで大打撃を受けた業界の1つが飲食業界です。緊急事態宣言が解除された後、徐々に客足が回復傾向にあるものの、期待されていた年末年始の忘年会や新年会などの会食の予約はあまり多くないようです。東京商工リサーチ(TSR)が8,000社超の企業を対象に実施したアンケートでは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令有無に関係なく、忘年会および新年会を「開催しない」と回答した企業は全体の7割(5,760社)にも及びました。
また、需要回復が期待されながらも品不足で暗雲が立ち込める業界もあります。コロナ禍でオンライン化が進んだことで、コンピューター機器の利用が急増し、また在宅時間が増えたこともあり、家電の性能を重視する傾向になり家電需要が高まりました。そのため、身近な電化製品に幅広く使われる半導体が世界的に不足する状況となり、例えば半導体を必要とする自動車業界も減産体制に追い込まれています。半導体が組み込まれている電子機器類の価格も上昇し、値上げの連鎖が進む可能性もあります。
このように、リベンジ消費という購買層の消費意欲の高まりがあったとしても、それに供給が追いつかないケースもあるようです。需要量と供給量がマッチせずに供給が足りていないと一般的には販売価格が上昇します。それでも消費意欲の高まりが維持されるのかという懸念もあるでしょう。
リベンジ消費の動向は富裕層と庶民で異なる?
リベンジ消費の傾向が顕著に見られる例として腕時計や宝飾品などを紹介しましたが、こういった高級品を購入している人の多くがやはり富裕層です。コロナショックでは所得が低い層ほど経済的打撃を受けたことはよく指摘されることですが、リベンジ消費の動向も富裕層と庶民で二極化しています。以下で、富裕層と庶民それぞれの消費動向を見ていきましょう。
・富裕層の消費動向
コロナショックによる経済的な打撃をそれほど受けていないのが富裕層です。株をはじめとする金融資産の価値は下落するどころか、むしろ上昇しました。コロナショックで株価は一時的に急落したものの、その後徐々に右肩上がりとなり、日経平均株価は2021年9月に約31年ぶりの高値をつけるまで上がりました。つまり、コロナ禍であっても金融資産を多く保有する富裕層は資産を減らすどころか増やしているのです。
緊急事態宣言解除後に来店客数が急増したという銀座のある高級時計店では、1日100人前後の来客があり、おおよその平均購入単価は400万円~600万円ほどだといいます。また、日本自動車輸入組合によると、高級輸入車の販売台数も2020年後半から伸びており、1,000万円以上の価格帯の輸入車も販売台数は増加傾向にあるとのこと。そのほか、観光事業においても高級リゾートホテルなどの宿泊施設で高価格帯の部屋から予約が埋まっていくそうです。
自粛期間中に保有資産は増えつつもそれを使う先がなかったという富裕層が、コロナの落ち着きとともに100万円・1,000万円単位の商品を次々に購入するという動向がうかがえます。
・庶民の消費動向
Yahoo!ニュースが2021年9月~10月に実施した「リベンジ消費したいですか?」というアンケートに対しては、3万票を超える7割の回答者が「したくない」に投票しています。コメントを見てみると、したくても経済的余裕がないという意見が目立ちました。コロナショックにより仕事を失った人や収入が激減した人にとっては、リベンジ消費どころではないという状況なのでしょう。
収入が減っている一方で、ここ最近は電気ガス代やガソリン、食料品、日用品などさまざまな生活必需品・サービスが値上がりし、支出が増えて生活が厳しくなったと感じる人も少なくないでしょう。
それでもこれまで自粛を続けてきて、気分転換として消費活動をしたいという人もいます。実際、上記Yahoo!ニュースのコメント欄でも「したいけどできない」という回答が多く見受けられました。
リベンジ消費で日本経済は回復するのか
お伝えしてきたように、全ての業界においてリベンジ消費が始まっている、もしくは今後起こると見込まれているわけではありません。また、実際のところ、現在リベンジ消費を担っているのは富裕層のみで、庶民にはそういった消費活動の変化はあまり見られていません。
また、リベンジ消費が本格化するとしても、コロナ禍で生まれた新しいライフスタイルが多くの人に受け入れられていることを見れば、コロナ禍以前の消費生活に戻るわけではないと想像できます。売り手としても、コロナ禍以前の販売商品と販売スタイルのままでは、売上を回復できない環境になったといえます。
つまり、リベンジ消費が本格化するとすれば、それは既存の商品・サービスに向けられるのではなく、新たなライフスタイルによって生まれた新しいニーズに対応した商品・サービスに向けられることになるでしょう。新たな価値の創造が新たな消費を生み出し、日本経済を回復させていくのではないでしょうか。
まとめ
このテーマに関する気になるポイント!
- リベンジ消費とは?
コロナ禍の自粛生活の反動として期待される消費活動のことを指しています。 - リベンジ消費が好調に推移している業界は?
高級時計や宝飾品、高級食材といった高級品の需要が高まっており、それらを多く扱っているデパートや百貨店の売上が好調に推移しています。 - リベンジ消費の動向はどのように二極化している?
2021年12月現在では、リベンジ消費の動向が見られるのはコロナショックで経済的打撃をあまり受けなかった富裕層の消費です。庶民の消費傾向に大きな変化は現れていません。
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やっちゃんさん
対法人向けに保険のコンサルティング営業を行う中で、FP知識に興味を持ち独学でFP2級・AFPを取得。その後、家計管理や資産運用についてマンツーマンで1人1人の状況に合わせたアドバイスや運用方法を指南。現在主に金融分野のライターとして活動中。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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