超小型EVとは|メリットやデメリット、重電や走行距離、価格など詳しく解説
小型EVは、1人~2人乗り程度のコンパクトな電気自動車です。CO2の排出を減らすなど環境性能が良く、小回りが利くため、地域の手軽な足として普及が見込まれています。ここでは市販されている車種や選び方などを解説しています。
超小型EVとは?
超小型EVは、EV(電気自動車)の中でも、軽自動車より小さなタイプ。比較的短い距離の移動を想定して作られ、公道を走ることができます。環境性能が良く、小回りが利くのが特徴。超小型で、乗れるのは1人か2人程度です。国土交通省では「超小型モビリティ」として、最高速度や出力、車体の大きさなどを分類しています。以下の3タイプです。
●第一種原動機付自転車(ミニカー)
●超小型モビリティ(型式指定車)
●超小型モビリティ(認定車)
「ミニカー」は、原動機付自転車の一種として公道を走ることができます。速度は時速60km以下に制限され、高速道路等は走ることができません。「超小型モビリティ(認定車)」は軽自動車に分類される車で、2013年(平成25年)に創設された認定制度によって、公道での走行が可能となりました。
さらに2020年(令和2年)9月に法律が改正され、「超小型モビリティのうち、長さが2.5m、幅1.3m、高さ2mを超えない、最高時速60km以下の軽自動車のうち、高速自動車国道等を運行しないもの」と定義される「超小型モビリティ(型式指定車)」も公道を走れるようになりました。
・免許や車検
これらの超小型EVを運転するには、普通自動車運転免許以上の免許が必要です。ミニカーには車検がありませんが、それ以外には車検があります。またミニカーには車庫証明の必要がありませんが、それ以外は地域によって必要となる場合があります。同じ超小型EVでも、タイプによって制度上の違いがあるため、購入の際には確認すると良いでしょう。
また超小型モビリティ(型式指定車)は、車両の後面に、最高時速60km以下の車両であることを示す三角形のマークを付けて運転します。
・超小型EV登場の背景
こうした超小型EVが登場したことについては、さまざまな背景があります。1つは環境。電気自動車の普及によって、CO2の排出を削減するというのが狙いです。
また自動車利用の実態を調べると、移動距離は10km以内のケースが約7割、乗車人数は2人以下となる場合が大半、5割以上のドライバーは高速道路をほとんど利用しないといった状況が見えてきます。こうした実態に合わせた自動車が「超小型EV」です。環境にやさしく、より使いやすい自動車といえるでしょう。
超小型EVのメリット
国土交通省は、2013年(平成25年)に認定制度を創設し、業務・観光・日常とさまざまな場面での超小型モビリティ導入を進めてきました。そこでは超小型EVが多く活用されていて、その上で見えてきたメリットや課題が報告されています。超小型EVには、どんな場面でどんなメリットがあったのか紹介していきましょう。
・小回りが利く
日本郵便とセブン-イレブンは、配送業務の効率化に向けて超小型EVを導入しました。導入の理由は、小回りが利くという点。住宅街の狭い道でもUターンが可能です。車体が小さいため、駐車スペースが小さくて済むのも利点。狭い道に停車しておいても、邪魔にならずに済みます。またバイクよりも安定性が高いことも好評だったようで、二輪車の運転に慣れていない女性やアルバイトの人でも、超小型EV利用なら配送業務がしやすくなるとのことです。
・手軽な移動手段
観光地では、観光地回遊の手段として活用されました。たとえば温泉が5kmから10kmほどの間隔で点在するような温泉地では、ちょうど良い移動手段となったようです。観光地によっては、バス・タクシー・レンタカーといった2次交通がないため、観光客から敬遠されていたところもあります。超小型EVを導入し貸出などすることで、観光客の利便を図りました。観光地では、ドアや窓のないタイプが爽快感をもたらし人気だったそうです。
・非常用電源にも
離島では日常利用としての導入が試されました。バスの本数が少ないため、新たな交通手段が求められている場所です。狭い道が多い離島でも、やはり超小型EVは扱いやすく、多くの利用者があったようです。また台風など災害の多い離島では、超小型EVが非常用電源にもなります。
・カーシェアリング
都市部では、カーシェアリングの形で日常利用が試験されました。1人から2人乗りの超小型EVは、駅を中心に住宅や職場をつなぐ通勤用交通手段として利用できる可能性を明らかにしました。
超小型EVのデメリット
超小型EVの導入事例から、課題となった点も見ていきましょう。
・荷物のスペース
日本郵便とセブン-イレブンの配送業務で導入された超小型EV。小回りの良さがメリットでしたが、その車体の小ささがデメリットとなることがあります。積める荷物の量が限られるからです。バイクよりは多くの荷物を運べるのですが、軽自動車などと比べると、物足りない部分があるようです。実際に超小型EVを購入する際などは、考慮したい点といえるでしょう。
また坂道でのパワー不足、エアコンがないタイプの快適さの不足、窓やドアがないタイプでのセキュリティ上の心配などがあげられています。
・航続距離と充電
観光地でも、やはり窓やドアがないタイプでは、天候の影響を受けやすいことがデメリットとなりました。また航続距離が短いことと、充電が必要なことも問題になることがあります。超小型EVを利用したいという観光客がいる時に、充電が間に合わずに貸し出す機会を失ってしまうというケースもあったようです。普段の生活のために超小型EVを購入するという場合でも、こまめな充電の必要性はデメリットと感じることになりそうです。
超小型EVを選ぶ際のポイント
新しいライフスタイルを実現してくれそうな超小型EV。早速手に入れたいと考えている方も多いと思います。実際に超小型EVを購入する際には、前もってチェックしておきたいポイントがいくつかあります。
・乗り心地や荷物スペース
コンパクトが売りの超小型EVですが、実際に乗った時に狭すぎるようでは、快適に乗り続けることができません。できれば実物を見て、試しに座席に座ってみるのが良いでしょう。また1人での通勤や買い物に利用するといった場合でも、荷物スペースをどれだけ確保できるのかも、確認しておきたいところ。小さい自動車なので、運転する時の感覚も違ってきます。走行時の安定性も、できれば実際に試してみた方が良いでしょう。
・装備とパワー
超小型EVでは、窓やドアがなかったり、エアコンが付いていなかったりします。軽自動車など、今までの自動車には当然あったものがないということもあるので、よく確認しましょう。また出力がそれほど大きくない超小型EV。加速性能やスピードが求められる広い道路を走るのには適していません。「地域の手軽な足」としての利用が想定されています。自分が超小型EVをどんな用途で使うのか、イメージしてから購入するのが良いでしょう。
・航続距離と充電頻度
超小型EVだけでなく、電気自動車全般で気になるのが、航続距離と充電頻度。たとえば毎日の通勤や買い物では、どれくらいの距離を走るのか、知っておく必要があります。どのくらいのペースで充電すればよいのか、カタログなどの数字から計算しておいた方が良さそうです。スマホの利用でも、バッテリーの充電を管理する習慣が付いていると思います。その経験が生かせるところかもしれません。
各自動車メーカーの超小型EVの価格と特徴
それでは各メーカーが販売する、超小型EVを見ていきましょう。
・COMS(コムス)
まずはトヨタ車体の「COMS(コムス)」。1人乗りタイプで、規格上はミニカーに分類されます。ルーフはありますが、左右のドアがない形状で、価格は「P・COM」でメーカー希望小売価格が、89万5,278円(税込み)です。(2022年1月時点)CEV補助金の対象となっていて、申請により20万円が補助されます。充電は家庭用コンセント(AC100V)から可能。約6時間で充電が完了し、1回の充電で57km走れます。後ろにはキー付きのトランクがあり、気になる持ち物のセキュリティも安心です。
参照元:超小型EV「コムス」|トヨタ車体
・C+pod(シーポッド)
トヨタ自動車の「C+pod(シーポッド)」は、2人乗りの超小型EV。規格としては「超小型モビリティ(型式指定車)」に区分されます。こちらは左右のドアも窓もあるタイプ。価格は171万6,000円(税込み)から。(2022年1月時点)CEV補助金の対象になっているため、一般向けの場合22万円の補助が出ます。1回の充電での走行距離は150km。バッテリーは停電・災害時の非常用電源としても利用でき、1,500Wまで対応可能となっています。
・ミリューR
富山県にあるタケオカ自動車工芸が、北陸電力と共同で開発した超小型EVが「ミリューR」。1人乗りのミニカー規格です。価格は91万5,200円(税込み)から。(2022年1月時点)1人乗りですがドアと窓も付いています。1回の充電で走れるのは、約50km。快適機能として、送風と暖房が利用できます。運転のしやすさという面では、エコモード・パワーモードと、2つの走行モードが切り替え可能。超小型EV全般に見られる特徴かもしれませんが、個性的なデザインとなっています。
・タジマ・ジャイアン
「タジマ・ジャイアン」は、タジマモーターコーポレーションの超小型EV。2人乗りで、超小型モビリティ(認定車)に分類されています。形状は左右にドアと窓があるタイプ。価格は141万9,000円(税込み)からとなっています。(2022年1月時点)最高速度は時速45km。1回の充電で走行できるのは、鉛バッテリーで約90km、リチウムバッテリーでは約130kmです。エアコンやパワーステアリングを装備し、天井が大きく開く「パノラマルーフ」となっているのが特徴的です。
・IDETA(イデタ)
2022年登場予定の超小型EVも1台紹介しましょう。出光タジマEVが開発している「IDETA(イデタ)」。出光タジマEVは2021年4月に、出光興産とタジマモーターコーポレーションが共同で設立した会社です。ティザーサイトのプロダクト情報によると、家庭用コンセントから充電可能な、4人乗りタイプとなっています。数分から数年単位で利用できるなど、サービス提供の形も新しいものになりそうです。
すでにさまざまな場所で導入され、これからは個人での利用も進みそうな「超小型EV」。支援制度やカタログを見ながら購入の検討中という方も多いのではないでしょうか。実際に購入を決めるには、お金の準備も重要です。そんな時に活用したいのが楽天銀行の自動車ローン。カードローンなので、見積書や売買契約書などの書類を提出する必要がありません。生活に便利な「超小型EV」。購入には、利便性の高いローンの利用がぴったりです。
このテーマに関する気になるポイント!
- 超小型EVとは?
1人~2人乗り程度のコンパクトな電気自動車のことをいいます。 - 超小型EVのメリットは?
環境性能が良く、小回りが利くのがメリットです。災害時には非常用電源として使えるタイプもあります。 - 超小型EVのデメリットは?
荷物を多く積めない点や、1回の充電で走れる距離が短いことなどがデメリットとなる場合があります。 - 超小型EVを選ぶ際のポイントは?
試乗して乗り心地を確かめ、実際に使用する際に必要な充電頻度などをチェックしましょう。 - 各自動車メーカーの超小型EVの価格と特長は?
価格が100万円を切るもの、補助金を受けられるものなどがあります。乗車人数やドアの有無、快適装備なども比べて選びましょう。
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黒川ヤスヒトさん
証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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