リースのすすめ。レンタルとの違いは?メリット・デメリットも

リリース日:2022/01/27 更新日:2024/10/16

企業が設備を導入する際には、購入するかリースを利用するかという選択肢があります。ここではリースの種類、レンタルとの違い、リースした場合の資金繰りや会計上のメリットなどについて解説しています。

リースのすすめ。レンタルとの違いは?メリット・デメリットも
  1. そもそもリースとは?その特徴
  2. リースの種類
  3. レンタルとの違い
  4. メリット・デメリット

そもそもリースとは?その特徴

そもそもリースとは?その特徴

リースは、主に企業が設備投資をする際に活用する取引です。まず企業が、必要とする機械や設備などを選びます。リース会社は、企業に代わって機械や設備を購入。企業に対して長期間、貸し出します。企業はリース会社に対してリース料を支払って使用する、という仕組みです。対象となる設備の所有権はリース会社にありますが、リース期間中に企業は自社で購入したのと同様に使用することができます。設備導入の資金をどうするか、買い替えの資金をどうするかといった問題を解決できるため、多くの企業がリースを活用しています。

リースの対象となるものはさまざまです。オフィスであれば、デスクやロッカー、コピー機などが考えられます。PCやサーバーなど情報通信機器もリースの対象です。小売業の場合、売り場の陳列棚などをリースでそろえることもあるでしょう。営業で使う自動車もリースできます。倉庫や工場などでは、さらに大規模な設備投資が必要です。重機や工作機械、フォークリフトさらには船舶や航空機までリース会社が取り扱うことがあります。

リースの種類

リースの種類

リースには大きく分けて、2つの形式があります。ひとつは「ファイナンス・リース」、そしてもうひとつが「オペレーティング・リース」です。ファイナンス・リースは金融色が強い契約、オペレーティング・リースは賃貸借の側面が強い契約となっています。

ファイナンス・リースには、中途解約できない(ノン・キャンセラブル)、さまざまなコストを借り手が支払う(フル・ペイアウト)、という特徴があります。借り手が支払うコストに含まれるのは、固定資産税や損害保険の保険料などです。またファイナンス・リースには、リース期間終了後に所有権が借り手に移動するものと、そうでないものとがあります。会計上は「オンバランス」、つまりリースで借り受けた資産を貸借対照表に計上することが求められるのも特徴です。

一方のオペレーティング・リースでは、中途解約が可能で、さまざまなコストはリース会社の負担となります。またリース資産について、リース期間終了後における中古市場での「残存価格」を見積もり、それをもとにリース料金を決定します。途中解約が可能なので、リース期間を柔軟に設定できるのも特徴です。オペレーティング・リースの場合、会計上「オフバランス」、つまり貸借対照表に計上しないことが認められています。

会計上のオンバランスとオフバランスの違いは、ある種の財務・経営指標に影響します。企業の価値を計る際、資産に対してどれだけの利益を上げているかを指標とすることがありますが、オフバランス処理により資産が小さくなれば、指標上では効率的に利益を上げていることになり、資金調達が有利になると言えるでしょう。ただし貸借対照表に現れない資産があることは、情報開示の面で問題があり、ルールに沿った処理が求められるものでもあります。

レンタルとの違い

レンタルとの違い

ものを借りるという点で、リースとレンタルは似ています。普段の生活ではDVDや自動車など、レンタルという言葉の方がなじみ深いかもしれません。レンタルの場合、もともとレンタル会社が保有している在庫の中から、ユーザーが使いたいものを選んで借ります。リースでは、まずユーザーが使いたいものを決め、それをリース会社が購入しユーザーに貸すという形になります。同じ「借りる」という行動でも、大きな違いがあるのです。ほかにも、レンタルでは借りる期間が比較的短くなるのに対し、リースでは期間が長くなるという違いもあります。

メリット・デメリット

メリット・デメリット

設備を購入する代わりにリース契約で調達することには、メリットもありますがデメリットもあります。

まずリースのメリットをみていきましょう。設備を導入する時点での支払いが少なくて済むことが挙げられます。このメリットについては、購入の場合でも分割払いにすれば、同じと言えるかもしれません。しかし購入すると法定耐用年数にしたがって減価償却していかねばならないため、買い替えの周期もそれに縛られてしまいます。リースであれば、リース期間を任意に設定して、必要に応じて設備を最新のものに替えていけます。短期間のうちに更新を繰り返す設備では、リースが有利と言えそうです。また会計上、一定の条件を満たせばオフバランス処理できることもリースのメリットとなります。

デメリットはどうでしょうか。リースのデメリットは、利用が長期間となる場合に現れるようです。購入すると所有権を持つことになるので、支払いが終わった後も長く使い続けることができます。リースでは多くの場合、リース期間終了後も設備を使用するには再契約してリース料を支払う必要があり、不利と言えるでしょう。またリース料の総額は一括払いで購入するよりも高めに設定されているので、注意が必要です。

このように会社での設備の導入においては、購入した方がよいものと、リースを利用した方がよいものとがあります。一度購入すると長く使えるものもあれば、常に最新のものに買い替えたいものもあるので、使い分けが重要となりそうです。レンタルやシェアリングサービスを利用する際にも、同じことが言えるかもしれません。企業の場合には、資金繰りや会計上の処理における、リースのメリット・デメリットを考える必要があります。起業を考えている場合、学んでおきたい知識です。

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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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