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事実婚のメリット・デメリット。ルールと手続きを知っておこう
婚姻届を提出しない結婚が事実婚。戸籍が変わらないため姓も変わらないなど、法律婚とはいくつかの違いがあります。ここでは事実婚について、社会保険はどうなるか、相続や子どもはどうなるかなど、必要な対応を解説しています。
事実婚とは
事実婚は、役所に婚姻届を出していない夫婦のことで、内縁と呼ぶこともあります。夫婦なのでお互いに婚姻の意志を持っていて、生計を一つにし、一緒に暮らしていることが必要です。婚姻届を提出して「法律婚」をすれば、夫婦の新しい戸籍が作られるのですが、事実婚では戸籍はそれぞれ別のままです。戸籍が変化しないので、姓が変わることもありません。ただし住民票においては、事実婚の状態でも「未届の妻(夫)」と記入することが可能です。
ここで人々が「事実婚」に対してどんな意識を持っているのか確認しておきましょう。博報堂生活総合研究所がおこなう「生活定点」という調査では、首都・阪神圏に住む20~69歳の男女、3,080人に意見を聞いています。2020年の結果を見ると「入籍(法律婚)をせず事実婚でもかまわないと思う」人は、33.3%でした。法律婚が一般的と考えらえるなかでも、事実婚に肯定的な人が少なくない状況がわかります。
事実婚の良いところとは
事実婚のメリットとして挙げられるのが、夫婦のどちらも姓を変えず元の姓のままでいられるという点。夫婦の姓は同じほうが良いと考える人も、別々が良いと考える人もいるでしょうが、結婚で姓を変えたくない人にとっては、事実婚も選択肢の一つとなるでしょう。銀行口座などの氏名変更といった事務手続きは必要なく、もし離婚となった場合でも、戸籍には変化がなくそのままとなります。
また法律婚では新しい戸籍を作ることになり、互いに相手の親族と法律上の姻族関係が生まれます。お互いの親や兄弟などとの関係を作りたくないというケースでは、戸籍に変更のない事実婚が良いと言えるでしょう。他にもお互い一人っ子の場合に、それぞれの家を継ぎたいと考えるときにもメリットとなる可能性があります。
お金に関しては、結婚すると社会保険に影響がでてきます。たとえば健康保険や厚生年金。夫婦どちらかが扶養に入ることができれば、金銭的に有利です。事実婚の場合はどうなるのでしょうか。結論から言うと事実婚でも法律婚と同じように、社会保険で扶養に入ることが可能です。ただし事実婚を証明できることが条件となります。一般的には、2人の関係について、世帯主と「未届の妻(夫)」と記載されている住民票があれば、夫婦であることを証明できます。
事実婚の落とし穴とは
社会保険では法律婚同様のメリットを享受できる事実婚ですが、税金の面ではそうでもないようです。配偶者控除を見てみましょう。所得税を計算する際に、控除対象となる配偶者がいれば、一定金額の所得控除があり税金が少なくなります。事実婚による内縁関係は対象とならないため、損をすることがあります。
税金でもう一つ問題となるのが相続税。そもそも事実婚の場合、法律的な夫婦関係がないのでお互いの法定相続人になっていません。民法では、相続人の範囲や法定相続分が決められています。たとえば相続人が配偶者と子ども1人の場合、2分の1ずつが法定相続分となるといったものです。
事実婚では法定相続人にはなれませんが、遺言により遺産を受けとることが可能です。しかしこの場合でも、「配偶者の税額の軽減」が受けられません。1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額の、大きいほうの金額まで配偶者に相続税はかからないという制度が事実婚の配偶者には認められません。これも事実婚のデメリットとなるでしょう。
そして事実婚の場合、子どもの認知に関する問題があります。事実婚の状態で子どもが生まれると、母親の籍に入り、姓も母親のものとなります。親権を持っているのも母親です。役所の戸籍窓口へ認知届を提出するまでは、父と子の関係は法的にはないことになります。また親権を父親に移動するには、家庭裁判所への請求が必要です。共同で親権を持つことはできません。法律婚では子は自動的に夫婦の子となり、親権も共同で持つことになるのと比べると大きく異なる点です。
事実婚の準備をおさらい
事実婚の場合、まず事実婚を証明できるようにすることが必要です。配偶者の住民票での記載を「未届の妻(夫)」というように変更しておくと良いでしょう。社会保険でのメリットを受ける際に必要です。事実婚の契約書を公正証書にしておくことも可能です。
相続に関しては、遺言書を作成して相手に財産を遺すことができます。自分に万一のことがあったときに、相手の生活費として財産を遺したいという場合に必要な準備です。また同じ目的では、生命保険の死亡受取人を事実婚の相手にしたいというケースもあるでしょう。これについては保険会社によって対応が異なるようです。互いに戸籍上の配偶者がいないことや、事実婚の状態を証明することなどが求められます。
パートナーシップ制度について
パートナーシップ制度は、限られた自治体が導入するものであり、事実婚の異性カップルや同性カップル、もしくはその両方を対象にした制度。パートナーシップ関係にあることを宣誓したカップルは、自治体が取り決めた制度を受けることができます。しかし、あくまで自治体単位の制度であるため、それぞれ制度のもとでできるようになる内容は異なります。
公的な効力はないものの、医療や財産に関わる手続きをスムーズに進めるための確認書受領証、公正証書等受領証などを交付される自治体も。事実婚と合わせて申請したいパートナーシップ制度ですが、現時点で(2021年7月1日)110自治体に導入されているものの、それぞれカバーしているサービスが異なります。自分たちが住む自治体はどうなのか調べたり、引っ越す場合にはパートナーシップ制度のある自治体を視野に入れたりすることを事実婚のカップルにはオススメします。
このように事実婚は、法律婚とさまざまな点で違いがあります。メリットとデメリットを比較して、選択することになるでしょう。社会保険や相続などについては、いくつかの手続きによる対応が必要になります。
また子どもに関しては、認知や親権、どちらの姓を名乗るかなど話し合っておく必要があるでしょう。どのような選択をしたとしても、子どもの将来の教育資金は2人で協力し、前もって準備しておくことが望ましいものです。それでも不足する場合は、奨学金や教育ローンの利用を検討しましょう。奨学金は子どもが借りるものですが、教育ローンは親が借りるもの。楽天銀行の教育ローンでは、提携大学について優遇金利が設定されています。より有利な条件で資金を準備するためにも、チェックしてみてください。
参照元:日本のパートナーシップ制度
このテーマに関する気になるポイント!
- 事実婚とは
役所に婚姻届を出していない夫婦のことで、内縁と呼ぶこともあります。夫婦なのでお互いに婚姻の意志を持っていて、生計を一つにし、一緒に暮らしていることが必要です。 - 事実婚状態の住民票はどうなる?
事実婚の状態でも「未届の妻(夫)」と記入することが可能です。 - 事実婚のメリットは?
夫婦のどちらも姓を変えず元の姓のままでいられるという点。 - パートナーシップ制度とは
限られた自治体が導入するものであり、事実婚の異性カップルや同性カップル、もしくはその両方を対象にした制度。
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