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ダウ(NYダウ)とは。ニュースでよく聞く「NYダウ」の意味と知っておきたい米国経済の話
報道でよく耳にするNYダウ。ダウの値動きによる影響は日本の株価にも及び、経済を語る上で欠かせない存在です。今回は、ダウとはそもそも何か?日経平均との違いは?米国経済との関係は?といった疑問にわかりやすくお応えします。
経済の勉強をしていなくても「NYダウ」という言葉はニュースを見ていれば耳にします。今回は「NYダウ」を中心にダウの基礎知識、日経平均との違い、米国経済との関係など基本的な情報をわかりやすくお伝えいたします。
ダウ(NYダウ)とは
ダウとは、アメリカの代表的な株価指数のことで「ダウ工業株30種平均」や「ニューヨーク・ダウ」などと呼ばれることが多いです。
アメリカの経済情報新聞『ウォール・ストリート・ジャーナル』を発行しているダウ・ジョーンズ社がダウの算出・公表を始めたのは1896年のこと。すでに120年以上の歴史がある指数です。
ダウはアメリカの株式市場であるニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している企業から選出した30種の銘柄で構成され、各銘柄の株価の平均に特殊な計算を加えて算出されています。
ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している企業数の合計は、2020年5月時点で6,000超です。ダウを構成するのはその中でも、企業の評判、成長性、投資家の関心などが高い、厳選された30銘柄。コカ・コーラ、ウォルトディズニー、IBMなど世界中で知られている大企業ばかりで、ダウの値動きはアメリカのみならず、世界の経済を反映しているともいえるでしょう。
ダウと日経平均の算出方法の違い
日本にもダウのような株価指数がいくつかあります。そのうち最も代表的な指数が日経平均株価指数です。「日経平均」や「日経225」などと呼ばれる日経平均株価指数は、日本経済新聞社が東証1部上場企業の中から225銘柄を選び、その平均を算出したものです。
日経平均の銘柄の採用には基準が定められています。重視されるのは市場での流動性と業種のバランスです。
東証1部上場企業のうち、まずは売買代金基準をもとに流動性の高い450銘柄を選定し、上位75位までの銘柄を日経平均に採用します。
次に、残り150銘柄を「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」の6業種に分け、バランスを考慮し採用します。その際も各業種の中で重視されるのが流動性です。
日経平均は毎年10月に見直しが行われ、必要であれば入れ替えられます。また構成銘柄の上場廃止や合併、統合、買収などがあればその都度臨時で見直されます。
ダウと米国経済の関係
既にお伝えした通り、ダウはアメリカを代表する株式指数です。アメリカの経済情勢が顕著に反映される指数ともいえるでしょう。ただ、ダウを構成する銘柄は、あくまでもアメリカ市場の中でも流動性が高く(売買高が大きい)、投資家から評判の良い大企業です。このことを考慮したうえで、ダウの値動きを観察してみましょう。
それではここから、実際にアメリカの経済情勢がダウの数値にどのような影響を与えたのかを、ダウの推移と共に見ていくことにします。
まず、ダウの算出・公表が始まった1896年、構成銘柄は12銘柄でした。指数は40.94ドルからスタートしています。
その後銘柄の追加が行われ、1928年に30銘柄となりました。ダウの呼称である「ダウ工業株30種平均」は当時の名残で、現在の構成銘柄は工業系に限らず、サービス業やITを始めとするハイテク業なども採用されています。
下表を見て分かる通り、算出開始以来指数は右肩上がりに上昇し、2020年の高値はついに3万ドルを突破しました。
参照元:楽天証券 NYダウ特集
ただし、これまで経済的な危機がなかったわけでなく、世界的に深刻な打撃を受けるような状況を幾度も経験しています。その中でも特に大きな出来事と、当時のダウの値動きを確認してみましょう。
・1929年~世界恐慌
大恐慌ともいわれるこの出来事は、1929年10月24日のニューヨーク証券取引所での株価暴落(ブラックサーズデー)を皮切りに、世界中に厳しい不景気が広まったことで知られています。この状況は1930年代の世界経済を後退させ、1940年ごろまで続いたといわれています。
当時のダウはというと、それまでは第一次世界大戦後の特需や新興産業の台頭により高値を更新し続けていましたが、世界恐慌を機に大きく値を下げました。世界恐慌前の高値が約381ドル、世界恐慌中につけた最安値が約41ドルなので、下落率90%ほどの大暴落でした。
・2008年 リーマンショック
2008年、米国投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことに端を発して、世界経済が大混乱に陥った出来事です。その影響は日本市場にも及び、受注のストップが相次ぎ倒産する会社が続出するなど大打撃となりました。当時の日経平均は1万4,489円から7,055円まで、約51%下落しました。このことからも、アメリカ経済が日本に与える影響が大きいことを確認できます。
当のアメリカ経済を反映するダウは、リーマンショック前の2007年につけた高値約1万4,164ドルから7,600ドルほど下げ、安値約6,547ドルにまで達しました。下落率は約54%です。
・2020年 コロナショック
そして現在もその影響が続く、2020年のコロナショックです。世界各国で新型コロナウイルスの感染拡大防止策として外出を禁止する「ロックダウン」が行われたことで、経済が一時停止する事態となりました。
ダウもその影響を大きく受けています。コロナショック前の2019年12月につけた高値である約2万8,701ドルから1万500ドルほど下げ、2020年3月の安値は1万8,213ドルになりました。下落率は約36%です。
こういった出来事からもわかるように、アメリカ経済で大きな出来事があるたびにダウが反応しています。
今回は特に大暴落の局面をご紹介しましたが、その後の推移を見ても分かる通り、ダウは危機を乗り越えて回復し、長い目で見れば右肩上がりで上昇し続けているといえます。コロナショックで一時的に大幅に下落しましたが、その後回復しコロナショック前の高値を更新するほどになりました。
これらの出来事は、アメリカ経済の力強さを象徴しているともいえるでしょう。一方、個別の株価を見るとまだコロナショックから立ち直れていない企業もあります。様々な視点から経済と株価を観察していくと、興味深い現象に気付くこともあります。是非、ご自身で気になる銘柄を見つけてみてください。
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