暗号通貨
豪ドルとは?世界の評価と今後の見通しを予想
保険や外貨預金ではよく耳にする豪ドルですが,為替の情報は米ドルやユーロほど入手しやすくありません。為替が大きく動く豪ドルについて,その背景となる経済状況等を確認しながら正しく理解したいと思います。
豪ドルとは
豪ドルはその名の通り、オーストラリアで流通している通貨を指します。イギリスの植民地であった歴史から、オーストラリアは1966年までポンド通貨圏に属し、英国ポンドに連動するオーストラリアポンドを使っていました。
今でも、発行されている6種の硬貨(2ドル、1ドル、50セント、20セント、10セント、5セント)すべての裏側に、オーストラリアの君主でもあるイギリスのエリザベス2世の肖像が描かれています。
紙幣はユーロと同様、素材にポリマーを使ったもので、製造コストはかかるものの丈夫で耐用年数も長いものです。額面は5、10、20、50、100豪ドルがあります。
世界では豪ドルをどう評価しているの?
いわゆる国の借金といわれる政府総債務残高で見ると、GDP比40%程度と低い水準です。GDP比で200%を超える日本と比べると、オーストラリアの財務体質の健全性がよくわかります。
豪ドルの評価として、オーストラリア国債の格付けを見てみると、2020年1月時点でアメリカの大手格付け会社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)が3社とも最高評価。安全に投資できると判断しています。この格付けが高ければ、株価や通貨の価値は上がり、信用リスクが下がるのでリターンである金利は下がる傾向にあります。
このように評価される最も重要な理由は人口増加です。2019年時点で約2,520万人のオーストラリアの人口は、現在も年々増え続けており、今後も経済成長するものと世界は見ています。人口が増加しているのは、高い技術を持つ外国人を積極的に移民として受け入れてきたため。人口の自然減が始まっている日本も参考にできる政策といえるでしょう。
人口は米国の約10分の1、日本の約5分の1であり、一見すると広い国土に対して余裕がある印象を受けるかもしれません。しかし、国土の大半が乾燥地帯であるため、都市部では他の先進国と同様、人口増加に伴うインフラ不足や不動産価格の上昇が問題となっています。
豪ドルの今後の見通しを解説
人口増加に加え、オーストラリアの経済成長には農産物や豊富な鉱物資源の輸出が大きく貢献してきました。ただし2020年は、他国に先んじて早期抑制に成功したといえるものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う都市封鎖の影響が全面的に出ています。
また、2019年9月ごろから2020年2月にかけて、国の南東部が異常な高温と乾燥による大規模な山林火災に見舞われました。最終的な被害額はGDP比で0.3%程度に相当する50億豪ドルに及ぶと予想されています。2020年1月には、約20億豪ドル規模の復興支援予算を組みました。
オーストラリアにとって最大の貿易相手国は中国です。リーマンショック以降の中国の資源開発ブームによって、経済だけでなく政治的にも緊密な関係となってきました。しかし、近年は中国による農地の買い占めなどに対し、オーストラリア国内でも不満の声が挙がっており、外国からの投資案件審査を厳格化する動きが出ています。この情勢は、今後、オーストラリアの景気に多少なりとも影響するでしょう。
豪ドル/円の為替レートを見ると、2020年3月に60円を下回ったものの、9月時点では70円台後半で推移しています。豪ドルは資源価格や中国経済の回復に歩調を合わせて買われる傾向にあることから、再び大幅に下がることもない一方、100円に近づくような上昇も期待しづらい状況といえるでしょう。
金利が高かった頃は、金利を目的とした取引により、豪ドルは高く評価されすぎているという見方をされていた時期もありました。現在の為替相場については、2020年6月、オーストラリア連邦銀行(中央銀行)総裁が「豪ドルの最近の上昇は問題ではなく、過大評価されているともいえない」という見解を示しています。
オーストラリア連邦銀行の目標インフレ率は2~3%。実際のインフレ率が目標値を下回っているため、政策金利を0.25%というオーストラリアでは歴史的な水準にまで下げています。さらなる利下げ余地は小さい一方で、景気の先行きが不透明であるため、利上げする理由も乏しい状況です。
ただし、先に挙げた中国との関係や資源価格の値動き、さらには新型コロナウイルス感染症の影響など、豪ドルに影響を与える要因は様々ありますので、取引には注意が必要です。
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。