ポンドについて詳しく解説。イギリス通貨単位の知られざる歴史と位置づけ

リリース日:2020/11/04 更新日:2021/01/14

イギリスの通貨ポンドは、EU離脱という世界情勢に関連する通貨として最も注目を集めている通貨です。かつては主要通貨としての位置づけにあったポンドの歴史と、今後の値動きについて解説しています。

ポンドについて詳しく解説。イギリス通貨単位の知られざる歴史と位置づけ
  1. イギリスの通貨「ポンド」とは
  2. イギリス ポンドの歴史トリビア
  3. EU加盟後もなぜポンドは残った?
  4. EU離脱でどうなる?イギリス ポンド
  5. 関税の仕組を理解しましょう

イギリスの通貨「ポンド」とは

イギリスの通貨「ポンド」とは

イギリスの通貨であるポンドは、ドル、ユーロ、円についで世界で4位の取引量をほこるポピュラーな通貨です。

 

2020年9月11日現在、1ポンドは135円~136円くらいになりますが、値動きの幅が大きく流通量もそこそこという点から、外国為替証拠金取引(FX)では、リスクをとって大きなリターンを狙える通貨として人気があります。

 

ポンドはとても不思議な位置づけにある通貨ということをご存じでしょうか?ポンドはイギリスの通貨です。2020年1月にイギリスはEUを離脱しましたが、それまではEU加盟国でした。

 

EU加盟国の多くが通貨としてユーロを採用しているなか、どうしてイギリスの通貨はユーロではなくポンドのままなのでしょうか?

イギリス ポンドの歴史トリビア

イギリス ポンドの歴史トリビア

ポンドの歴史は古く、初めて作られたのは8世紀にさかのぼります。ポンドはもともと重さの単位で、かつては、1ポンドの重さの銀を1つの通貨の単位として使用していました。1ポンドの重さを測るときに天秤が使われていたので、ポンドを意味する記号は天秤を表すラテン語「リブラ」の頭文字「L」が使われます。

 

イギリスは産業革命をなしとげ、世界一の先進国になります。造船業の発展を背景に、世界中に移動することが容易になり、イギリス本土から遠く離れた植民地にもその優れた技術を広めました。技術の移転に伴い、ポンドも世界中で使用されるようになり、その流通量は世界一をほこっていました。

EU加盟後もなぜポンドは残った?

EUはEuropeanUinionの略で、加盟国それぞれは独立して存在しながらも、各国の協力で、アメリカやロシアのような大国に対抗できるような経済圏を作ることを目的として設立されました。その目的のため、加盟国間の往来にパスポートは不要とし、加盟国間の関税も撤廃、さらに通貨の統合を目指しています。

 

イギリスはEUに加盟しながらも、通貨のユーロは採用せず、ポンドを維持することを選択しました。ユーロ圏の金融政策は欧州中央銀行(ECB)が担っているため、ユーロを採用すると独自の金融政策がとれなくなるからです。世界の金融センターであるシティを抱えるイギリスは、自国の金融政策決定権を失いたくなかったため、ユーロ導入を見送ったと考えられています。

EU離脱でどうなる?イギリス ポンド

EU離脱でどうなる?イギリス ポンド

メイ前首相、現首相のジョンソン氏の功績もあり、2020年1月末にEU離脱案がイギリス議会で承認され、正式にEU離脱が決定しました。2月1日からは急な離脱による弊害を避けるために設けられた「移行期間」に入っています。これまでのEU加盟国同士の関税や、人の移動の自由はまだ残っていますが、イギリスはもはやEUの政策決定には関与できません。

 

移行期間が終了する2020年12月31日までに、イギリスとEUで決着しなければならない課題は多岐にわたります。今後、円満に離脱できるかどうかがイギリスポンドの今後を左右するといっても過言ではありません。

関税の仕組を理解しましょう

最大の争点となるのがFTAです。FTAとは、貿易や投資を拡大するために、物品にかかる関税や非関税障壁を削減・撤廃することを約束する二国間または多国間協定のことをいいます。

 

日本とアメリカの事例を挙げると、例えばアメリカから牛肉を輸入したら、日本の輸入業者が関税を支払う必要があります。

 

アメリカ産の牛肉は日本の牛肉よりも安く、そのまま輸入できれば日本の消費者にとってはありがたいかもしれません。しかし、安いアメリカ産の牛肉が日本に入ってくることで、日本の牛肉が売れなくなり、日本の食肉業者が困ってしまうかもしれません。そこで、輸入品に関税をかけることで、国内の企業が海外からの輸入品によって過度に不利益が生じることがないよう保護しているのです。

 

しかし、行き過ぎた保護貿易は互いのメリットにならないので、国同士で自由に貿易できる品目などを定め、各当事者の利益を調整した取り決めがFTAです。

 

今までイギリスはEU加盟国として、EU各国と関税なしで取引ができていたわけですが、今後EUとイギリスの関係がどうなるのかが争点になります。また、EUとFTAを結んでいる国が、EUを離脱したイギリスと同じようなFTAを個別に結んでくれるかどうかも争点です。

 

これらの取り決めがされないまま、移行期間終了を迎えてしまうことを「合意なき離脱」といいます。仮にこのような事態になれば、市場には失望感が広がり、ポンドは大幅下落(円高ポンド安)するでしょう。

 

ポンドの行く末は、EU離脱の結果「合意なき離脱」となるか、関税をはじめ離脱に伴うさまざまな取り決めが期限までになされるかどうかにかかっています。

 

ポンドを取引する方法としては、FX(外国為替証拠金取引)があります。FX取引なら、保持していないポンドを売ることも可能。ポンド価格が上昇すると思っている方も、下落すると思っている方も、どちらも取引を始められます。ポンド/円の取引をすれば、イギリスが次第に身近に感じられるようになるでしょう。FX取引には、マーケット情報が充実している楽天証券がおすすめです。

金子賢司
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
金子賢司

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

この記事をチェックした人にはコチラ!




LINE友だち追加
Instagramフォロー
この記事をシェアする

よく読まれている記事 (掲載期間: 2024/11/16~2024/11/20)

はじめよう、いつか、君が困らないように

ラストメッセージ

人生の最期の日、その日は全ての人に必ず訪れます。あなたの遺すメッセージ・言葉は、これから先の未来を生きていく人にとって大きな励みになります。

参加者募集中

みんなのマネ活コミュニティ

みんなのホンネ

あなたの1票は多数派?少数派?みんなのホンネは投票後すぐにグラフに反映。Let'sポチっと投票!

 

  • Q&A
  • マネ活ラッキーくじ
  • 今月のマネー運占い|中嶋マコト先生の九星気学
  • 中途採用募集中!楽天カードで一緒に働きませんか?
  • あなたは何問わかるかな?マネ活クイズ
  • 楽天モバイル
  • 楽天Bic
  • 楽天グループ若手社員座談会
  • 楽天ビューティ
  • 楽天ふるさと納税
  • 楽天インサイト
  • 楽天ウォレット
  • 楽天スーパーDEAL
  • 楽天レシピ
  • 楽天西友ネットスーパー
  • 楽天ママ割
  • 楽天モバイル_スマ活
  • 楽天生命保険
  • 楽天市場
  • FinTech学割
  • 楽天エナジー
  • 楽天Car
  • 楽天損保