米国雇用統計が日本経済と世界経済にもたらす影響とは?
日本の雇用統計以上に注目されている米国雇用統計。米国雇用統計とは何か,直近の結果を説明しながら,日本や世界の経済にどのような影響を与えているのか,具体的に確認をしていきたいと思います。
米国雇用統計とは
米国労働省は毎月(基本は第1金曜日、4~10月は21:30、11~3月は22:30、いずれも日本時間)、連邦レベルの雇用統計を発表しています。十数項目のデータが盛り込まれたものですが、中でも市場関係者が注目するのは非農業部門就業者数と失業率です。
非農業部門雇用者数は、自営業や農業従事者を除いた民間企業または政府機関に雇用されている就業者数を表しています。
失業率は、失業者÷労働力人口(失業者+就業者)を計算したもの。終身雇用が前提とされていない米国において、雇用情勢の変化は、個人の所得、ひいては消費に如実に反映します。
個人消費は内需が盛んな米国にとって、GDPの面でも大きな割合を占めています。そのため、米国雇用統計が景気動向を測る上で最も重要な指標のひとつとされており、金融政策はもちろん、株式市場や為替市場に影響を与えるのです。
為替相場への影響
雇用統計の数値が良好であれば、消費の拡大が意識され「ドル高」に、反対に悪化すれば「ドル安」に向かうのが、雇用統計を受けた為替相場の基本的な動きです。
あわせて、市場では雇用統計を受けた米国の中央銀行にあたるFRBの金融政策が意識されます。良好な雇用統計を受け、過度なインフレを起こさないように金融引き締め政策である「利上げ」に動くと予想されれば、「ドル高」に動きますし、反対に悪化した数値から「利下げ」が意識されれば、「ドル安」に動くこともあります。
もちろん、いつもこのような動きをするとは限りません。また、雇用統計の結果は株価にも影響を与えますが、為替と同様に予測は非常に難しいものです。
予想との乖離で動くドル/円相場
雇用統計の発表直後は、大きく為替が動くと書きましたが、発表された数値自体ではなく、予想との乖離も重要視されています。雇用統計の予想は金融機関や通信社が専門のアナリストを置いて分析しており、各社の予想値を基に平均値(コンセンサス予想)が作り出されるのですが、特に「非農業部門雇用者数」の数値は予想との乖離が大きいことがよく知られています。
というのも、事業所とのやりとりを郵送で行っているために、返送が間に合わなかった回答は翌月に回されるという、何ともアナログな手法による回答のずれが生じるためです。非農業部門就業者数の集計が対象とする事業所数は約40万社、人数約4,700万人ということですから、全体の就業者数に占めるカバー率は高いので、ちょっともったいない気もします。
予想値と発表された数値との乖離が大きいほど市場へのインパクトも大きくなり、ドル/円相場をはじめとする米国ドル関連の通貨ペアは大きく動きます。事前予想との乖離が小さいときは相場の変動も小さいことがありますが、発表直後30分~1時間は相場が不安定になることが多く、FXをしている人は特に注意が必要です。
ちなみに、雇用統計発表前にトランプ大統領がTwitterにツイートした内容が為替相場に影響を与えたこともあります。
最新の米国雇用統計
2020年7月の米国雇用統計は、以下のような結果でした。
2020年7月の米国雇用統計
失業率は依然高い水準にあり本格的な雇用の回復までは道半ばである一方、週600ドルの失業給付加算金は7月末で失効するため、次月の雇用統計にも注目が集まっています。
ちなみに2020年4月の米国雇用統計は、以下のような結果でした。
2020年4月の米国雇用統計
就業者数の減少や失業率の上昇に対し賃金が上昇しているのは、新型コロナウイルスによる影響で低賃金の労働者が一時的に解雇されたため、と分析されています。
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※2020年9月時点の情報を元にした記事です。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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