何歳まで働く?定年後の暮らし方と今からできる準備とは

リリース日:2020/09/04 更新日:2020/09/04

定年後も働けば、老後資金が長持ちします。データからは65歳以上の就業率が上昇していることがわかります。ただし社会保険との関係で損をする場合があることには注意が必要。ここでは定年後に働くこと全般について解説しています。

何歳まで働く?定年後の暮らし方と今からできる準備とは
  1. 75歳定年の時代がやってくる?!
  2. 何歳まで働きたい?人々の就業意識
  3. シニアのお仕事事情
  4. 定年後の暮らし方を考える
  5. お金の使い方や資産形成も大事

75歳定年の時代がやってくる?!

75歳定年の時代がやってくる?!

これから先、定年が75歳になる時代が来ると言われています。現在65歳以上のシニアの就業状況を見てみましょう。

 

・65歳以上の就業率の推移

総務省統計局が2020年1月に公表した「労働力調査(基本集計)2019年」によると2019年における65歳以上の就業率は24.9%でした。2009年は19.6%。10年前と比較して、増加しているのがわかります。ちなみに2019年の男女別内訳は、男性34.1%、女性17.8%でした。

 

・年齢別の正規雇用率の推移

「労働力調査(基本集計)2019年」では、65歳以上における正規の職員・従業員の数を知ることもできます。2019年では114万人で、前年から3万人増加しています。

 

その一方で65歳以上の非正規の職員・従業員は389万人で、前年比31万人の増加。非正規雇用の数が、正規雇用の約3.4倍という数字となっています。65歳以上では、非正規雇用の割合が多くなっているのがわかります。

何歳まで働きたい?人々の就業意識

何歳まで働きたい?人々の就業意識

・男女別「何歳まで働きたいか」調査結果

人々は今、何歳まで働きたいと考えているのでしょうか。これについては、内閣府が2018年11月に調べた「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」があります。全国18歳以上の日本人2,919人が回答したものです。

 

これによると、「51歳~60歳」と答えた人の数は女性で多くなっています。男性が12.9%、女性が23.9%でした。これより高い年齢については男性の割合が多くなります。「61歳~65歳」と答えたのは男性で35.0%、女性で27.0%、「65歳~70歳」と答えたのは男性が26.4%で、女性が17.3%でした。さらに「71歳~75歳」と答えたのは男性11.8%、女性7.0%などという結果になっています。

 

・65歳以降も「働きたい理由」、それ以上は「働きたくない理由」

同調査によると、65歳以降も収入を伴う仕事をしたいと答えたのは1,100人。その年齢まで働きたい理由をたずねると「経済的にゆとりある生活を送りたいから」が28.9%でもっとも多くなりました。以下「働き続けないと生活費が足りないと思うから」が24.9%、「仕事をするのが好きだから」が16.9%、「社会との繋がりが欲しいから」が13.4%とつづきます。

 

その一方で収入を伴う仕事を、65歳よりも前にやめたいと答えたのは1,646人。理由としては「定年退職の年齢だから」が29.2%でもっとも多くなっています。以下「体力的・精神的に難しいから」が29.0%、「趣味やボランティアなど仕事以外のことに時間を使いたいから」が17.0%、「年金を受け取れる年齢になるから」が9.8%などとなっています。なかには「資産が十分にあるから」という回答も0.5%ありました。

シニアのお仕事事情

シニアのお仕事事情

シニア世代が働きたい職種としては、どのようなものに人気があるのでしょうか。求人情報サイト『an』の調査では、事務・軽作業・清掃のほか、医療/福祉系や資格を生かした仕事に人気が集まっているようです。体力面を考えたものや、これまでの経験を生かしたものが多いようです。

 

シニアが仕事を探す手段としては、これまで勤めていた会社で再雇用してもらうという方法があります。またシニア向けの人材センターに登録しておくこともできるでしょう。最近では、60歳以上を対象とする仕事を集めた求人サイトも増えてきました。様々な情報をチェックすれば年齢に合った仕事を見つけることができそうです。

定年後の暮らし方を考える

・定年後も働き続けることは本当に「得」なの?

定年後も働き続けると、年金以外にも収入源が確保できます。このとき考えておきたいのが社会保険との関係。収入が増えることで、全体として損になることもあるからです。例えば国民健康保険。高額療養費制度では、自己負担の上限額が所得によって変化するので、所得が増えると自己負担額が増える可能性があります。

 

また家族が介護保険施設を利用する場合、様々な費用が軽減される制度があります。これについても世帯の収入が増えることで、軽減措置が受けられなくなるケースもあるので、どのような影響を受けるのか確認しておくことが必要です。

 

・定年後も働き続けるなら、健康管理が大切!

調査では、65歳以降に働きたくない理由として「体力的・精神的に難しいから」というものがありました。体力を維持するには、身体を動かす趣味を持つのが良いでしょう。ウォーキングやガーデニングなどを趣味にすれば、外で体を動かせます。インドアでは、楽器や手芸など新しい趣味に挑戦してみると、心の健康が維持できそうです。上達への意欲を保てば、働き続けるのに必要な精神力を養えます。

 

・収入確保のために準備できること

定年後の仕事に向けては、資格を取っておくことが役立つことがあります。介護福祉士や宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナーなど、やってみたい仕事へ繋がる資格を選ぶと良いでしょう。また、これからは英語やパソコンのスキルが必須になる可能性も考えられます。仕事を探す前に準備しておきたいスキルです。

お金の使い方や資産形成も大事

お金の使い方や資産形成も大事

定年後は、これまで貯めた老後資金を使っていく時期です。若いうちはある程度のリスクを取って、資産を増やすことに重点を置くことが可能でした。定年後は、資産の安全性を重視することになります。老後資金を増やすのは、若いうちの運用が大切と言えるでしょう。定年後も長く働けば老後資金に手を付けず、さらに積み上げることもできます。

 

定年後の生活資金は、公的年金が中心です。年金だけでは収支がマイナスになるという場合には、老後資金を取り崩すことになります。定年後も仕事の収入があれば、収支をプラスにできるかもしれません。黒字の状態がつづけば、老後資金を長持ちさせることができます。生活費を見直して支出を減らすことも、収支の黒字化に役立つでしょう。

 

若いうちに、株式などある程度のリスクを取って資産を増やしたい場合は楽天証券が利用できます。NISA口座を開設すれば、値上がり益が非課税になります。また老後資金の準備では、個人型確定拠出年金(iDeCo)もおすすめ。こちらは積み立て時の掛金が「全額所得控除」で、運用時の分配金などの運用利益が「非課税」。早めにスタートすることで、制度的なメリットを大きく生かした資産形成ができます。

黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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