プラザ合意とは?円高と円安の意味をわかりやすく解説!

リリース日:2020/07/06 更新日:2024/11/07

1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルでプラザ合意が行われました。行き過ぎたドル高を是正し、アメリカの輸出力を高めることが目的でした。日本のバブル経済の起点となったともされています。

  1. 円高/円安の意味をおさらい
  2. プラザ合意とは?
  3. プラザ合意の背景と内容
  4. プラザ合意の影響
  5. プラザ合意がアベノミクスに与えた影響
  6. 長期的な資産運用をはじめてみては?

円高/円安の意味をおさらい

円高/円安の意味をおさらい

プラザ合意の内容は為替レートに関する取り決めです。本題に入る前に、円高/円安の意味をおさらいしておきましょう。

 

・円とドルの関係

円とドルの関係で言えば、「円高とドル安」、「円安とドル高」はそれぞれセットです。円の価値が上がる(円が買われる)とドルの価値が下がり、ドルの価値が上がる(ドルが買われる)と円の価値が下がる、いわばシーソーのような関係と言えます。

 

例えば1ドル100円が変化したときには、このような関係です。

 

1ドル100円→90円 円高・ドル安
1ドル100円→110円 円安・ドル高

 

1ドルが100円から90円になると、「値段が小さくなっているのに円高なの?」と混乱しがちです。ドルの視点に立ってみると、1ドルが100円から90円になるので、「ドルが安くなっている=円が高くなっている」ということになります。

 

・円高と円安、どっちがお得?

もうひとつ覚えておきたいのが、どちらが得かということ。先ほどの例において、100ドルを得るために必要な日本円を考えてみましょう。

 

円高 100ドル 9,000円
円安 100ドル 1万1,000円

 

日本から海外旅行に行くときは円高だと得をします。旅行先に100ドルの商品があったとして、円高なら9,000円で買えるところが、円安だと1万1,000円必要になるからです。

 

一方、輸出には円安のほうが有利です。アメリカの会社に商品を売って、100ドル得たとしましょう。円安なら1万1,000円に換金できますが、円高では9,000円になってしまいます。

 

プラザ合意の狙いは、アメリカが行き過ぎたドル高を是正して、輸出力を高めることにありました。これらを踏まえ、プラザ合意の内容について見ていきましょう。

プラザ合意とは?

プラザ合意とは?

プラザ合意の「プラザ」とは、会議が行われたニューヨークのプラザホテルの名に関連しています。合意内容はすでに各国で共有されており、会議そのものは20分程度で終了したと言われています。

 

・プラザホテル

プラザホテルはニューヨークのセントラルパーク近くにある高級ホテル。1986年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。ドナルド・トランプ氏がオーナーを務めていた時期もあります。1991年には映画『ホーム・アローン2』のロケ地にもなりました。ほかにもドラマ『ゴシップ・ガール』や『華麗なるギャツビー』など、複数の映像作品に登場します。

 

・会議の出席者

会議に出席したのは先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁です。

 

アメリカ ジェイムズ・ベイカー
イギリス ナイジェル・ローソン
西ドイツ ゲルハルト・シュトルテンベルク
フランス ピエール・ベレゴヴォワ
日本 竹下登

 

当時の日本は中曽根康弘内閣。会議に出席した竹下登大蔵大臣はその後首相を務め、消費税の導入やふるさと創生一億円事業などを行いました。タレント・ミュージシャンのDAIGOさんの祖父としても知られています。

プラザ合意の背景と内容

1980年代前半のアメリカでは厳しい金融引き締めが行われていました。金融引き締めに伴い金利が上昇、世界中から多くのお金がドルに集まってきます。その結果ドル高が進み、アメリカは貿易赤字を抱えていました。

 

プラザ合意の主な内容を簡単に言えば、「参加各国が外国為替市場に協調介入して、ドル高を是正しましょう」ということでした。発表後1日の間に円相場は1ドル235円から約20円下落。翌年には150円台になり、円高ドル安という目的は達成されました。

プラザ合意の影響

プラザ合意の影響

・ルーブル合意とクリスマス合意

今度はドル安が進行しすぎたということで、1987年2月22日、ドル安の歯止めを目指すルーブル合意が成立しました。これはパリのルーブル宮殿で行われたもので、会議にはプラザ合意の5カ国にカナダとイタリアが加わっています。1987年12月22日にはドルの安定を求めるクリスマス合意も出され、ドル円はしばらく120円を底に推移するようになります。

 

・日本国内への影響

日本では円高が進行したことで輸出が減少。いったん国内景気が低迷します。日銀は円高不況に対する懸念から低金利政策を継続。一方で企業は円高メリットを享受するようになり、景気回復に転じました。

 

この低金利を利用し、銀行からお金を借りて土地を買い、これを担保にしてさらにお金を借りて土地を買う企業が増加し、バブル景気に突入していきます。プラザ合意が全ての原因ではありませんが、起点と言われています。そんなバブル景気から1990年初頭の株価暴落によりバブルは崩壊、そして「失われた10年」と呼ばれる期間に突入しました。

プラザ合意がアベノミクスに与えた影響

プラザ合意がアベノミクスに与えた影響

景気底上げのため、アベノミクスと呼ばれる経済対策が主に行ってきたのは大胆な金融緩和でした。金融緩和とは中央銀行(日銀)が金利を引き下げて、人々や企業がお金を借りやすくすること。この対策による経済効果は一時期みられたものの、近年では停滞の一途を辿っています。


その理由の一つにあげられるのがプラザ合意による影響です。プラザ合意以前、海外への輸出産業に力を入れていた日本の企業はあらかた拠点を海外に移しはじめ「生産の空洞化」が起こりました。そのため国内の企業に有効な金融緩和には限界が生じているのです。それだけでなく、長期的な金融緩和によって預金と貸出金の金利差で稼ぐ地域金融機関が大きなダメージを受けるという問題も上がってきています。

長期的な資産運用をはじめてみては?

以上、プラザ合意について説明しました。なんだか大昔のことのように感じますが、今から35年前のこと。35年後どのようになっているか、予測するのは難しいですね。上記のように日本の経済復活はいつになるか見通しが立たないと言われています。そのため、海外株式にも目を向けてみると良いでしょう。将来に備えて今から少しずつ積み立てておきたいところです。

 

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宮島ムー
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)/宅地建物取引士
宮島ムー

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

関西に住む子育て中の主婦です。 お金や不動産に興味があり、日商簿記1級・FP2級・宅建などの資格を独学で取得しました。 記事ではなるべく専門用語を使わず、わかりやすく説明するよう心がけています。

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