会社設立するために資本金はどれくらい必要か?決める際の注意点も!

リリース日:2020/02/18 更新日:2024/10/24

30代・40代の女性による開業が増えています。開業の際に必要となるのが元手となる資本金。ここでは資本金とは何なのかを説明し、節税や銀行からの融資といった面でどうすれば有利になるのかなどについて解説しています。

資本金とは
  1. 資本金とは
  2. いくらに設定すべき?
  3. 決める際の注意点

資本金とは

資本金とは

資本金の説明の前に、まずどのような人が開業しているのかデータをみてみましょう。2019年11月に日本政策金融公庫総合研究所が、開業後1年以内の企業2,137社について調べたアンケートの結果を公表しています。それによると、個人企業の割合は63.5%でした。開業時の年齢は40歳代が36.0%ともっとも高く、次いで30歳代が33.4%となっています。開業者に占める女性の割合は19.0%。割合としては少ないと感じるかもしれませんが、1991年の12.4%から増加傾向が続いています。

会社を設立するには、開業資金や運転資金が必要です。株式会社として設立するのであれば、自分自身と出資者が株主となり、資本金を用意することになります。例えば1株300円で1万株を発行し、株主からの払い込みを受ければ、300万円の資本金が準備できるでしょう。

貸借対照表では、資本金は右下の「純資産の部」に入ります。会社が保有する固定資産や流動資産などは、左側の「資産の部」に金額が記載されます。右上に記載されるのが、流動負債や固定負債などの金額をしめす「負債の部」です。銀行からの融資など、将来的に返済が必要となる金額となります。

この3つの部分の間には、「資産の部」の金額から「負債の部」を差し引いたものが、「純資産の部」の金額になるという関係があります。資本金は返済の義務がないお金で、経営の安定性を測る指標としてみられることもあり、重要な数字と言えるでしょう。

いくらに設定すべき?

いくらに設定すべき?

現在、株式会社や有限会社は、資本金1円での設立が法的に可能です。2006年5月に施行された会社法によって、最低資本金制度が撤廃されたためです。それ以前についてみると株式会社では1,000万円以上、有限会社では300万円以上の資本金が必要でした。最低資本金制度がなくなることで、多くの人にとって会社を設立しやすい環境となっています。

法的には資本金1円でも問題ありませんが、実際には開業の初期費用や当面の運転資金を、資本金として設定する場合が多いようです。開業の手続きをおこなうには、登記にかかる費用が発生しますし、オフィスや店舗を使用する場合、保証金が必要です。そのほかにも仕入れの資金、従業員を雇い入れるなら、給料を支払うための資金も準備しなければなりません。必要な金額は、人数や設備の規模などで決まります。PC1台1人で営業する会社から、店舗で商品を販売する形、数人で生産設備を稼働させるようなものまで様々です。

営業を開始してから利益が出るまで、ある程度の期間が必要なことも考えると、数カ月分の運転資金も資本金として最初に用意しておくのがよさそうです。

また開業にあたり資本金とは別に、銀行からの融資を受けたいというケースもあるでしょう。その際に、資本金の額が融資の条件となっていることがあります。例えば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」。これは新規に事業を始めた人を対象に、無担保・無保証人で融資する制度です。この制度による融資を受けるには、創業資金総額の10分の1以上を、自己資金で用意しなければなりません。資本金を設定する際に考慮するべきポイントです。

決める際の注意点

決める際の注意点

資本金は多いほどよいと感じるかもしれませんが、節税の面からはそうとも言えない点がいくつかあります。まず会社が納める税金には、「住民法人税」というものがあります。このなかに資本金や従業員数を基準に金額が決まる「均等割」があり、会社が得た利益に関係なく納めなくてはなりません。資本金が1,000万円以下であればもっとも税金が安く、それを超えると1億円、10億円、50億円といった段階で金額が上がっていく仕組みになっているのです。法人住民税を低く抑えたい場合は、資本金を1,000万円以下にするのがよいということになります。

また資本金を1,000万円未満に設定して会社を設立すると、設立1期目または2期目まで、「消費税免税措置」を受けられる場合があります。2019年10月に税率が上がったばかりでもあり、大きな節税のポイントとなるでしょう。

資本金についてもう一つ注意したいのは、業種によってその金額が許認可の条件になることがあるという点です。許認可を受ける際、資本金にある程度の大きさが求められるということです。例えば一般建設業は500万円以上、第一種旅行業では3,000万円以上といった金額が設定されています。許認可が必要な業種では、確認が必要です。

資本金が大きいほど、取引先からの信頼を得られるというメリットもあります。商品の納入や代金の支払いなどの能力について、判定の基準になることもあるようです。資本金が小さすぎるのも、考えものと言えるでしょう。

このように会社を設立する際に資本金の額を決めるには、考慮すべき点がいくつもあります。銀行からの融資を得安くしたり、税金を安くしたり、当面の経営を安定させたりと必要性やメリットを総合的に勘案する必要がありそうです。データをみると30代・40代の開業が多く、女性の割合も増えてきています。何歳までに会社を設立したいなどの目標を立て、事業の計画を考えながら、今から資本金のための貯蓄を始めてみるのもよいかもしれません。

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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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