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電動キックボードを公道で!規制緩和に向けて実証実験も活発化
ラストワンマイル問題を解決するシェアリングサービスとして、欧米で利用が進む電動キックボード。ここではサンドボックス制度を利用した実証実験や規制の見直し、保険制度や安全の確保など日本での状況について解説しています。
手軽に移動できる乗り物「電動キックボード」
電動キックボードは、文字通りキックボードに電動式のモーターがついたものです。足を乗せる板があり、前後に車輪がついています。両手でつかむハンドルがあり、ブレーキやアクセルの操作ができます。実際に乗るときは、片足を板に乗せて地面を蹴ってスタート。アクセルレバーで加速し、止まりたいときはブレーキレバーを使います。
電動キックボードは、キックスケーターや電動スクーターとも呼ばれることもあるようです。電動キックボードの利用が想定されているのは、通勤通学や観光地での移動など。交通におけるラストワンマイルの移動を便利にすることが期待されています。つまり電車やバスを降りてから目的地までの間、または出発点から公共交通機関が利用できる場所までの移動を助けるものです。自動車の利用を減らすことでCO2を減らし、環境問題を改善する効果もあります。
海外での普及
電動キックボードが登場したのは2017年。ヨーロッパやアメリカを中心に利用が広がっています。1台10万円から30万円程度で販売されることもありますが、シェアリングサービスとして利用されることが多いようです。たとえばGPSが搭載された電動キックボードを見つけたら、QRコードをスマートフォンで読み取って解錠し利用スタート。解錠時に1ドル、利用1分当たり15セントといった料金が課されるというものです。好きな場所で乗り捨てできるタイプと、決まった場所で借りて返すタイプとがあります。
世界の電動キックボード市場は成長をつづけ、2025年にシェアリングだけで約5兆円の規模、日本でも普及が進めば約1兆円規模の市場になるとの予測があります。アメリカの電動キックボード大手Bird(バード)社は、短期間で時価総額が1,000億円を超えるユニコーン企業に成長しました。
日本における法規制
現在の日本では法規制により、電動キックボードで公道を走行することはできません。道路交通法上、電動キックボードは原動機付自転車に該当するので、原動機付自転車と同様の条件を満たさなければ、公道を走ってはいけないということです。
これはつまり、バックミラーやナンバープレート、前照灯などを装備する必要があることを意味します。また、電動キックボードで移動するには運転免許証が必要となりますし、さらには軽自動車税の納税、自賠責保険への加入も義務付けられます。こうした制約なしで電動キックボードに乗ることができるとすれば、今のところほぼ私有地だけです。
実証実験の活発化
電動キックボードについては、こうした規制の見直しに向けて実証実験が進められています。この実証実験の実施に活用されているのが、「規制のサンドボックス制度」。現在シェアリングサービスを始め、IoTやブロックチェーンなど新しい技術が登場しています。こうした技術を活用したサービスの導入が、既存の規制との関係で困難な場合が増えました。そこで事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証実験を実施。そこで得たデータを基に規制を見直していくという制度です。
電動キックボードのシェアリングサービス「Luup(ループ)」は、サンドボックス制度を活用し、2019年10月17日から12月まで電動キックボードの実証実験をしました。場所は、横浜国立大学常盤台キャンパス内の一部区域です。利用者を18歳以上の教員・学生など、大学関係者に限定。決められた区域内で自由に走行できるようにしました。
実験では、車両の安全性・交通の安全性・車両管理・利用者ニーズ・事業性といったデータを集め、電動キックボードの規制見直しへつなげていくことになっています。
安全性の確保と保険の整備
Luupはこれまでいくつかの電動キックボードに関する実証実験を行ってきました。あわせて、三井住友海上火災保険とともに電動キックボード向け保険制度の構築にも携わっています。保険の目的は、実証実験において利用者に起因する事故を補償すること。電動キックボードによる対人・対物事故が起きた場合の賠償責任リスク、利用者自身が負傷した際の傷害リスク、電動キックボード破損などの物損リスクをカバーします。
電動キックボードのシェアリングサービスが、公道で広く利用されるようになれば、こうした保険に加入することになるのかもしれません。
安全性の確保という面では、GPSを活用した安全システムを搭載したものがあります。たとえばGPSによって電動キックボードの位置を把握し、交通事故が起きやすい危険なエリアに入ると速度を制限するというようなものです。またLuupのキックボードには、急加速や蛇行運転を検知すると運転者に注意を促す機能も備え付けられています。
自宅から駅やバス停までの距離が遠い場合など、電動キックボードには潜在的なニーズがあります。シェアリングサービスとして提供されれば、利用するための費用も安く抑えられることになるでしょう。現在は実証実験の段階ですが、近い将来、電動キックボードの利用が身近なものになっていくのかもしれません。
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