ETCカードの挿し忘れによって起こると考えられることは3つあります。それぞれ紹介します。

料金所のアンテナとETCカードを挿入した車載器との間で無線通信を行うことで、自動的に料金が支払われるのがETCと呼ばれるシステムです。

車載器にETCカードを挿し忘れた場合は、正しく通信ができない状況にあるので、ETCレーンの入口付近でその旨を伝える警告音やアナウンスが流れます。

ETCカードを挿入していない場合は、無線通信が正しく行われないため、ETCレーンでETCバーが開きません。

ETCレーンを通過できないだけでなく、ETCバーへの接触や、停車することによって後続車から追突される可能性もあるので危険です。

ETCカードを挿入していないにもかかわらず、先行車によって開かれたETCバーからそのまま通過できてしまう可能性もあります。

このような場合は、高速道路の通行料金を支払えていません。支払えなかった場合、後日、監視カメラなどをもとに通行料金が請求されます。

未払いのまま放置し、請求されるまで連絡をしなかった場合は、不正通行として通行料金に加えて割増金を請求されることもあるので、ETCカードの挿し忘れで料金が未払いとなった場合は、速やかに高速道路の管轄会社に連絡しましょう。

ETCカードの挿し忘れが考えられるケースと気づくタイミングについて下記にまとめました。

乗車時にETCカードの挿入確認を怠ったために発生するケースです。

ETCレーンの手前でアナウンスされたり、ETCバーを通過できなかったりすることから挿し忘れが発覚します。

また、ETCカードの挿し忘れに気づかないまま、ETCレーンを通過できてしまい、後から挿し忘れに気づくケースもあります。

ETCカードを挿し忘れたままETCレーンまで到達すると、先述のように事故につながる危険性があります。ETCカードの挿し忘れがないか、乗車時には必ず確認しましょう。

サービスエリアなどの長期滞在により、ETCカードを抜き取ったまま挿入を忘れてしまう可能性が考えられます。

出口でのみETCカードが挿入されていない場合は、ETCバーを通過できないケースや、どこから出たのかがわからなくなるので、正しい清算ができない可能性があります。

乗車時に挿し忘れたケースと同様に事故につながる危険性があるので、サービスエリアなどではETCカードを抜かないようにするか、抜いた場合は乗車時に挿入できているか必ず確認することが重要です。

ここまで紹介したETCカードの挿し忘れで考えられるケースについて対処方法を3つに分けて解説します。

ETCカードを忘れたことに気づいたタイミングが早ければ、一般レーンを利用しましょう。一般レーンでは料金精算機の前で停車して、音声案内に従って通行料金を支払います。

料金所付近で、ETCカードがないことに気づいた場合（一般レーンに移れないタイミングの場合）は、係員から通行券を受け取ります。その後、出口料金所の一般レーンかETCレーンで、通行券とETCカードを係員に渡して通過します。

「入口は通過できたが、出口が通過できない」といった場合は、係員を呼び、係員の指示に従って支払います。

ETCカードの挿入を忘れていたにもかかわらず、ETCレーンに誤って入場してしまったとき、後続車の状況によってはその場で停車すると追突されるリスクなどがあり危険です。

ETCバーが開かないときは、バックせずにその場で停車して係員の案内を待つのが原則ですが、事故のリスクを感じた場合は臨機応変に対応しましょう。

誤ってETCレーンを利用した時点では、料金の未払いにはなりますが、不正通行とはみなされず罰則はありません。

安全な場所に入ってから料金を支払うことが認められているので、停車することが難しい場合は目的地や安全な場所まで止まらずに運転しましょう。

ETCレーンに誤って入場したときや、出口のみETCカードを挿し忘れたときは、高速道路を管轄する会社に連絡しましょう。

高速道路の管轄会社に、通行日時や通行した料金所などの支払いに必要な情報を伝えることで、後から料金を支払うことが可能です。ETCカードの挿し忘れで料金の支払いができなかった場合は、管轄会社ごとに求められる必要な情報を提示して、必ず支払いの申し出を行いましょう。

ETCカードを挿し忘れた場合の注意点を3つ紹介します。

ETCカードを利用するとETC割引が受けられます。具体的には平日の朝や夕方に高速道路を利用することで受けられる平日朝夕割引などがあります。

そのほかにも事前登録が必要になりますが、ETCカードを利用することでポイントの還元が受けられるETCマイレージサービスもETCカードの利用で受けられるサービスのひとつです。

ただし、ETCカードを忘れて、一般レーンを利用した場合や、現金で料金を支払った場合は割り引きやサービスが受けられないこともあります。

出口でETCカードを挿し忘れ、出口を通過した情報がない場合は、実際に利用した区間にかかわらず、上限料金を請求される可能性があります。上限料金とは、入場した料金所から最遠の出口までの通行料金のことです。

一方で、高速道路の管轄会社が申告内容に相違がないと判断すれば、区間どおりの料金になることも考えられます。高速道路では不正通行防止のため監視カメラを設置しているので、通行日時から利用した料金所がわかれば、事実確認ができる場合もあるからです。

ただし、通行してから日数が経過するほど事実確認が難しくなることが考えられるので、監視カメラの映像を確認しやすい段階で、できる限り早く管轄会社に連絡することが重要です。

ETCレーンの通行料金が未払いとなっている状況が続くと、支払いの意思がないとみなされ、不正通行として通行料金を請求されることがあります。

例えば、首都高速道路では「首都高をご利用後、10日以内にお申し出ください」と決められているため、10日以内に申告しなければ不正通行とみなされる可能性があります。

不正通行とみなされた場合、割増金などの罰則が科せられます。悪質と判断された場合は、道路整備特別措置法に基づき30万円以下の罰金が科されることもあるので、未払いのまま放置することがないように注意してください。

ETCカードの挿し忘れによってトラブルが発生すると、焦ってしまうかもしれませんが、間違った行動をとると事故やトラブルなどの原因にもなるので、落ち着いて対処しましょう。

ETCカードがない状態でETCレーンを通ってしまった場合は、後から高速道路の管轄会社に連絡して料金を支払います。上限料金の支払いや不正通行にならないようにするために、適切な対処が重要です。

ETCカードは複数枚保有することで、挿し忘れや紛失を避けられる可能性があります。そのため、さまざまな理由でETCカードが使えなくなった場合に備えて、スペアとしてもう1枚保有しておくと安心です。