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青色申告の対象と手続方法とは?青色にするメリットや注意点を詳しく解説
青色申告とは、確定申告の方法のひとつです。事業所得か不動産所得、山林所得がある方は青色申告を選ぶことができ、控除額が増えるなどのメリットがあります。ここでは、青色申告のメリットや注意点についてわかりやすく紹介します。
- 青色申告とは
- 青色申告の対象者
- 青色申告をするメリット
- 青色申告をするときの注意点
- 青色申告のために保管するべき書類
- 青色申告の手続方法
- 青色申告の提出方法
- 青色申告のメリットや注意点を理解して申告しよう
青色申告とは
青色申告とは、日々の取引状況を複式簿記により記帳し、確定申告する方法のことです。年間の所得金額を正しく報告することができ、より詳細な情報を提出できます。
確定申告の方法には、白色申告と青色申告があり、青色申告にすると控除額が増えるなどのメリットがあります。
青色申告と白色申告との違い
前述のとおり、確定申告の方法には青色申告のほかに白色申告もあります。それぞれの違いは以下のとおりです。
白色申告は、青色申告に比べると経理作業がシンプルです。例えば青色申告では複式簿記で帳簿をつけ、確定申告時には賃借対照表と損益計算書から成る青色申告決算書を提出しなくてはいけません。白色申告は単式簿記で帳簿をつけ、確定申告時は収支内訳書のみを提出します。
一方で、税制上のメリットが少ない点には注意が必要です。青色申告では最大65万円の特別控除を受けられますが、白色申告では特別控除は適用されません。
赤字が生じたときも青色申告であれば3年間繰り越して課税所得額を減らすことができますが、白色申告では赤字の繰り越しをすることはできません。
ただし、特定非常災害により生じた損失については、白色申告の場合でも繰り越しが可能です。特定非常災害に関連する損失の繰越控除期間は、令和5年度の税制改正により従来の3年間から5年間に延長されました。
なお、令和5年分以降の収支に関する青色申告決算書には、「売上(収入)金額の明細」と「仕入金額の明細」の部分に、Tからはじまる13桁のインボイス登録番号を記載する欄が表記されています。登録番号がある場合は、忘れずに記入してください。
青色申告の対象者
青色申告はすべての方が実施できる申告方法ではありません。青色申告の対象者は事業所得か不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある方のみとなります。
また、開業届および青色申告承認申請書を事前に提出しておく必要があります。該当する所得がある場合は適切に書類を提出し、青色申告をするようにしましょう。
個人事業主・フリーランス
個人事業主やフリーランスで、次の計算により残額がある方は確定申告の義務があります。
- 所得の合計額から所得控除を差し引いて、課税所得金額を求める
- 課税所得金額に所得税の税率をかけて、所得税額を求める
- 所得税額から、配当控除額を差し引く
なお、事業所得か不動産所得、山林所得のいずれかの所得に関しては、青色申告か白色申告を選ぶことができます。
一定の所得がある会社員
会社員などの給与所得者は、給与から所得税が源泉徴収されるので、基本的には確定申告する必要はありません。しかし、事業所得か不動産所得、山林所得のいずれかの所得があり、税務署に認可されれば青色申告が可能です。
ただし、事業所得か不動産所得、山林所得のいずれかの所得があっても、所得額が少ない場合には雑所得として扱われ、青色申告できないケースもあります。
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青色申告をするメリット
青色申告をすることには次のメリットがあります。
- 条件を満たすと最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 家族の給料を経費にできる
- 白色申告にはない繰り越しや繰り戻しが可能
- 少額減価償却資産の特例を適用できる
- 貸倒引当金の計上が可能になる
それぞれのメリットについて解説します。
条件を満たすと最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
青色申告特別控除は所得の規模や、記帳方法などの条件を満たすことで10万円・55万円・65万円のいずれかの青色申告特別控除が受けられます。控除額が増えると課税所得金額が減るため、所得税額を減らすことができます。
なお、貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合の特別控除額は65万円でしたが、平成30年度の税制改正により55万円に引き下げられました。
ただし、電子帳簿保存もしくはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の特別控除が適用されます。いずれの条件を満たさない場合の特別控除額は10万円です。
家族の給料を経費にできる
青色申告専従者給与として、配偶者や親族で年齢が15歳以上であれば、支払った給与を経費にすることができます。経費が増えると課税所得金額が減るので、所得税額を抑えられます。
ただし、家族への給与は、労働の対価として適正な金額の範囲内であることが条件となります。不当に高額なときは認められないこともあるので注意しましょう。
白色申告にはない繰り越しや繰り戻しが可能
所得に損失が発生した場合、その損失額を原則3年間に渡って繰り越すことが可能です。また、繰り越しだけでなく繰り戻しも可能であり、損失が発生した年の前年に支払った所得税を対象に還付が受けられます。
なお、繰り越しや繰り戻しは、前年に青色申告をしていることが条件となります。また、税務署の審査によっては認められないケースもあるので注意しましょう。
白色申告では、地震、台風などの一部の災害を除き赤字を繰り越すことができません。赤字を節税に活かすためにも、青色申告を選択しておきましょう。
少額減価償却資産の特例を適用できる
少額減価償却資産の特例とは、青色申告を行う個人事業主や中小企業を対象に、取得価額が 30 万円未満の減価償却資産を導入した場合に利用できる制度です。取得価額は合計300 万円を限度として、全額損金として算入できます。
ただし、少額減価償却資産の特例が適用されるのは、令和6年3月31日までに取得した資産のみです。
貸倒引当金の計上が可能になる
将来的に、取り立て不可能になる可能性がある金銭債権を保有することがあるかもしれません。金銭債権が事業に関するものである場合、貸金の帳簿価額合計の5.5%以下(金融業の場合は3.3%以下)を貸倒引当金勘定へ繰り入るのであれば、その金額を必要経費として扱うことができます。
青色申告をするときの注意点
メリットの多い青色申告ですが、いくつか注意点もあります。特に次の点には注意が必要です。
- 正規の簿記の原則に従った記帳が必要
- 青色申告特別控除を受けるには貸借対照表の提出が求められる
それぞれのポイントについて解説します。
正規の簿記の原則に従った記帳が必要
青色申告では、複式簿記による記帳が必要です。必要な記載項目が白色申告よりも多いため作成には手間がかかりますが、会計ソフトなどを利用することで作業を軽減することもできます。
青色申告特別控除を受けるには貸借対照表の提出が求められる
青色申告をすると、最大65万円の特別控除が適用されます。しかし、55万円もしくは65万円の特別控除が適用されるためには、貸借対照表の提出が必要です。
なお、青色申告を選択している場合でも、貸借対照表の提出を省略することはできます。その場合は、青色申告特別控除額は10万円になるので注意しましょう。
青色申告のために保管するべき書類
青色申告をするためには、所得の計算に必要な書類を一定期間保管する必要があります。保管が必要な書類と保存期間は以下をご確認ください。
前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の場合は、現金預金取引関係書類の保存期間が5年になります。
また、雑所得が生じる業務に従事している方で、前々年分のその業務にかかる収入金額が300万円を超えている場合も、現金預金取引等関係書類は5年間保存が必要です。
なお、保存期間は確定申告書の提出期限翌日から始まります。
青色申告の手続方法
青色申告をするためには、前提として「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。また、開業届を提出していない場合は、開業届も必要になります。
なお、所得税の青色申告承認申請書には提出期限が定められています。期限を過ぎた場合、青色申告ができるのは翌年以降となるので注意しましょう。
開業してすぐに青色申告で申告したい場合
開業してすぐに青色申告で申告したい場合は、開業日から2カ月以内に所得税の青色申告承認申請書を提出します。
ただし、事業を開始するきっかけが、被相続人の事業の相続である場合は、相続開始の時期によって提出期限が異なります。以下を参考にしてください。
白色申告から青色申告に変更したい場合
白色申告から青色申告に変更したい場合は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。3月15日が土日にあたる場合は、翌平日が期限日となります。
青色申告の提出方法
青色申告は、確定申告期間中に書類を提出します。提出方法は、以下が挙げられます。
- 管轄の税務署の窓口に持っていく
- 管轄の税務署に郵便もしくは信書便で送付する
- e-Taxで申告する
それぞれの方法のメリットと注意点は、以下をご覧ください。
郵便もしくは信書便で提出するときは、消印の日が確定申告期間中でなくてはいけません。確定申告の最終日の最終便が行った後に投函すると、申告期間内に確定申告できないことになるため注意が必要です。
なお、令和5年5月送付分からは、申告書等用紙が国税庁から送付されなくなりました。申告書等用紙が必要な場合は、税務署で受け取るか、国税庁のホームページでダウンロードしましょう。
ただし、法人税予定申告書と消費税中間申告書に関しては、従来と同様、該当する事業者に送付されます。正しく作成し、期限までに提出してください。
また令和6年5月分からは、次のいずれかに該当する方には国税庁から納付書が送付されません。
- e-Taxにより確定申告書を提出している法人
- ダイレクト納付やインターネットバンキング納付、クレジットカード納付、スマートフォンのアプリ納付、コンビニ納付など納付書を使用しないで納付した方
納付方法としては、キャッシュレスによる納付が推奨されています。
青色申告のメリットや注意点を理解して申告しよう
青色申告の対象者は事業所得か不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある方です。
青色申告をすると青色申告特別控除が適用されるため、課税所得金額を減らし、節税することができます。また、青色申告専従者給与や損失の繰り越し・繰り戻しもできるので、必要に応じて活用するようにしましょう。
ただし、提出書類や書類作成の手間が増えることは注意すべき点です。それぞれの違いを理解したうえで、青色申告と白色申告のどちらかを選択しましょう。
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※この記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しております。
このテーマに関する気になるポイント!
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青色申告の対象者は?
事業所得か不動産所得、山林所得を得ている方で、なおかつ確定申告の必要がある方が対象となります。
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青色申告にはどんなメリットがある?
青色申告特別控除が適用されます。10万円~65万円の特別控除額が課税所得金額から差し引かれるので、所得税を軽減できる場合があります。また、家族の給料を経費にしたり、赤字を繰り越し・繰り戻ししたりすることができ、大幅な節税が可能になることもあります。
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青色申告に注意点はある?
確定申告時に提出する書類が増えるため、手間と時間がかかる点には注意しましょう。会計ソフトの利用によって負担を軽減できる場合もあります。
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