クーリングオフは、消費者が訪問販売などを通じて商品を購入した際に、一定期間内であれば無条件で消費者側から一方的に契約解除できる制度です。クーリングという言葉には「あなたにとって必要な契約だったか、頭を冷やして考えてみてください」という意味合いが込められています。

この制度ができ上がった背景には、電話でのアポイントメントや路上でのキャッチセールスなど、その商品の購入を検討していない段階で不意を突くように勧誘され、購入契約を促された消費者の救済をすることが目的として挙げられています。

経験のある方ならわかるかもしれませんが、電話や路上などでの勧誘の場合、こちらが冷静な判断力を失うこともあります。また、「契約するまで帰さない」というような強引な契約を迫られるといった事案に対応できる制度です。

クーリングオフ制度は、クーリングオフ期間内に販売会社宛てにクーリングオフする旨の通知書を送付することで有効になります。クレジットやローン契約をした場合は、そのカード会社などにも通知書を送付します。（書面への記載事項は、国民生活センターや消費者センターなどのホームページで確認することができます。）

はがきを利用した送付でも良いですが、より証拠となる書面にするためには、「内容証明郵便」を利用することをおすすめします。

クーリングオフ制度は、適用される取引が限られています。ここでは主なものを挙げてみます。

・訪問販売
・電話勧誘販売
・マルチ商法（連鎖販売取引）
・語学教室やエステ、結婚相手紹介など継続的なサービス（特定継続的役務提供）
・モニター商法（業務提供誘因販売取引。提供される商品を購入すれば収入につながる仕事を紹介するといった取引）

こちらに挙げた取引が主なクーリングオフの対象です。クーリングオフが適用となる期間は、契約書を取り交わし、消費者が契約書面を受け取った日を1日目と起算して、以下の通りとなります。

・訪問販売、電話勧誘販売、継続的なサービスなど…8日間
・マルチ商法、モニター商法など…20日間

この期間内にクーリングオフの通知書を提出すれば制度が適用されます。ただし、事業者から契約書を受け取っていない場合は、適用期間を越えて制度を利用することが可能です。

クーリングオフの制度を利用できる取引でも、条件によっては適用されない場合があります。継続的なサービスとして、契約金額が5万円を超えるものでなおかつ、エステは1ヶ月を超える契約期間のもの、語学教室や結婚相手紹介サービスがありますが、この場合は2ヶ月を超える取引のみが対象となります。（クーリングオフの対象となる取引でも、現金取引で3千円未満の契約になる場合には、この限りではありません。）

そのほか、訪問販売などで健康食品や化粧品などの指定消耗品と呼ばれる製品を開封し使ってしまった場合、クーリングオフの対象から外れますのでご注意ください。（ただし、業者が開封や消費を促した場合はクーリングオフが可能です。）


クーリングオフという言葉自体は広く浸透しているものの、詳しく知っている方は少ないようです。また、対象になる取引とそうでない取引が細かく分かれているため、残念ながら泣き寝入りする方も後を絶えません。

また、書面を送付しても支払った代金が返ってこないというケースもあります。トラブルに発展した場合や、自分では判断が難しいという場合は、お住まいの自治体にある消費生活センターや、国民生活センターに相談しましょう。

トラブルを避けるためには、安易な契約は避け、その商品の口コミを調べるたりするほか、家族に相談するなど第三者を交えたじっくり考える時間を設けることが大切です。