オフショア市場拡大で注目!オフショア銀行口座は日本からも開設できる?

リリース日:2020/09/02 更新日:2024/11/19

オフショア銀行とは海外の銀行のことです。富裕層の資産管理のために利用されることがあります。一般の人でも海外に銀行口座があれば、出張や留学、旅行などに便利です。ここでは口座開設の方法や、メリット・注意点を解説しています。

  1. オフショア銀行とは
  2. オフショア銀行口座を作る目的
  3. オフショア銀行のメリットや注意点
  4. 口座を開設するには
  5. 開設する際の注意点

オフショア銀行とは

オフショア銀行とは

オフショア銀行とは、預金者が居住する国の外にあり、外国の金融当局の管轄下に置かれている銀行のことです。日本から見ると金融庁の管轄外の銀行ということになります。

オフショア銀行という言葉はとくにタックス・ヘイブン(租税回避地)にある銀行を指すこともあります。タックス・ヘイブンの多くが島国であるため、沖(offshore)にある銀行と呼ばれたのがもともとの語源です。たしかにオフショア銀行の口座残高が大きいケイマン諸島は島です。しかしそれを上回る規模のスイスは内陸部の国のため、島にあるかどうかは関係ありません。

パナマ文書にて明らかに

2016年に公表されたパナマ文書により、多国籍企業や富裕層がタックス・ヘイブンとなっている国に資産を移すなどして租税を回避する実態が明らかになりました。そのことからオフショア銀行に預金すると、その利子などについて日本で納税しなくても良いと思っている人もいるかもしれません。しかし日本の居住者は、所得の生じた場所が国内か国外かを問わず、日本で課税されます。

二重課税は防げる?

海外のオフショア銀行に預金すると、海外と日本とで二重に所得税が課税されてしまうことがありますが、「居住者に係る外国税額控除」という制度で最終的に調整されます。所得税の控除限度額は、次のように計算します。

所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)

その外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合、復興特別所得税の控除限度額としてその年分の復興特別所得税額から差し引くことが可能です。

復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)

オフショア銀行口座を作る目的

オフショア銀行口座を作る目的

オフショア銀行に口座を開設するということは、海外の銀行に口座を持つということです。その目的は人によってさまざまですが、例えば富裕層の場合、より政治的・経済的に安定した国に資産を置いておきたいというニーズがあることが考えられます。

またオフショア銀行のサービスは充実しており、例えばオフショア銀行が提供するデビットカードの中には、世界中の多くのATMで現金を引き出せるものもあります。旅行や出張の際に便利なので利用したいというニーズもあるでしょう。




オフショア銀行のメリットや注意点

オフショア銀行のメリットや注意点

オフショア銀行のメリット

オフショア銀行のメリットとしては、より安全な国で資産を守れることと、海外での生活に便利という点が挙げられます。また日本では預金金利が低い状態が続いていますが、高金利の国の銀行に預ければ利子を多く受け取れるでしょう。また、リスクヘッジとして資産分散をするために預ける方もいると考えられます。日本と海外では金融上の法制度が異なるため、日本にはないタイプの金融商品を利用できることも考えられ、興味のある方にはそれも魅力のひとつかもしれません。

オフショア銀行の注意点

注意点としては、言葉の壁が問題になるかもしれません。普段はオンラインで取り引きをしていたとしても、何らかのトラブルで電話やメールでのコミュニケーションが必要となる場合もあるでしょう。ある程度の英語力が必要と考えられます。またオフショア銀行に口座を作った場合、銀行所在国の政治的な安定性が損なわれると、預けた資産も危険にさらされることになります。法制度の変更などについて、自国と海外の両方に気を配る注意が必要です。

口座を開設するには

口座を開設するには

銀行口座を開設する際には、現地に住所があることを証明できる書類や、合法的に居住していることを証明するビザなどの提示を求められることが多くなっています。最近では各国でマネー・ローンダリングへの警戒が強まっており、現地に住所のない非居住者が口座を開設することは難しくなっているというのが現状です。そうした中、非居住者として海外に口座開設できることもあるのがタックス・ヘイブンにあるオフショア銀行。手続きは現地で行うほか、郵送やオンラインといった方法があります

ちなみに、現在日本で開設できるオフショア銀行はほとんどありません。今まで開設できていた銀行も取り扱いを終了しているようです。三菱UFJ銀行では、米国のU.S. Bankグローバル・トランジション・ソリューションズの預金口座開設の取り次ぎを行っていますが、米国ビザを取得して原則90日以内に渡米する方が対象と条件が厳しくなっているようです。マネー・ローンダリングの対策強化の影響といえるでしょう。

開設する際の注意点

オフショア銀行に口座を開設すると、口座を維持するための費用がかかることがあります。一定額の残高があれば無料になる場合もあるので、確認しておくと良いでしょう。また長期間、預け入れや引き出し、送金といった動きがないと休眠口座になることもあります。休眠口座になるまでの期間がどれくらいか、注意が必要です。口座を開設する前には、どのくらいの金額を預けるのか、どのくらいの頻度でどのような目的で利用するのか計画的に考えましょう。

海外の銀行に口座を持つメリットのひとつは預金金利の高さですが、好金利を求めるのであれば、選択肢はオフショア銀行だけではありません。例えば楽天銀行の外貨預金。米ドルやユーロだけでなく、中国人民元なども扱っています。また外貨普通預金以外に、より金利の高い外貨定期預金も利用可能となっています。ただし為替の変動や、国ごとの政治リスクなどがある点は注意が必要です。海外の金融商品に興味のある方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。

 

※この記事は2024年10月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • オフショア銀行ってなに?

    預金者が居住する国の外にあり、外国の金融当局の管轄下に置かれている銀行のことです。

  • オフショア銀行のメリットは?

    高金利の国の銀行に預ければ利子を多く受け取れたり、日本にはないタイプの金融商品を利用できたります。ただし、銀行のトラブルなどが起きた場合はある程度の英語力が必要と考えられます。
    ※金利は変動いたしますので、利益の期待を確定させるものではありません。

  • 日本の銀行が連携してくれるオフショア銀行はある?

    現在はほとんどありません。マネー・ローンダリングの防止強化といえるでしょう。




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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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