原油価格の下落や高騰など変動による影響や見通しを徹底解説!

リリース日:2019/10/29 更新日:2024/10/28

経済に大きな影響与える指標として知られているのが原油価格です。日本企業もさまざまな場面で原油価格の影響を受けます。原油価格が変動する理由を押さえて、原油価格から世界と日本の経済を見通しましょう。

原油価格の下落や高騰など変動による影響や見通しを徹底解説!
  1. 原油価格とは
  2. 原油価格の変動による影響
  3. 原油価格の現状(下落)
  4. 米国の原油生産の影響力

原油価格とは

原油価格とは

原油価格はニュースなどでも報道されることが多いでしょう。そもそも原油価格とは、原油を取引するときの価格を言います。なぜ原油価格が上下するかというと、それは需要と供給のバランスが変わるからです。世界経済が活発になり生産が増えれば、原油の需要も増加します。一方、供給面では、産油国がどの程度原油を供給するかといった政治情勢の影響も受けるでしょう。

 

石油価格の指標として世界で用いられているのが、アメリカ産原油価格の指標であるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)、アジアの指標であるドバイ原油価格、そしてイギリスのブレント原油価格などです。

原油価格の変動による影響

原油価格の変動による影響

原油価格が私たちの生活に影響を与えた例として有名なのがオイルショックです。トイレットペーパーの買い占めが起きて、市場で流通しなくなったという話はよく知られています。1970年代に原油価格が急激に高騰することによって起きた経済混乱です。

 

1950年から1960年代、世界的に主要なエネルギー源が石炭から石油に変わり、日本でもアラブ地域などの石油を使って経済成長を遂げました。ところが、1973年には第4次中東戦争が勃発します。

 

アラブ石油輸出国機構(OAPEC)はイスラエルを支持するアメリカなどの動きをけん制するために、原油の輸出禁止や原油価格引き上げの方針を発表しました。このことで原油の取引価格は4倍ほどに高騰しました。日本は禁輸措置の対象国とはなりませんでしたが、このオイルショックによって景気が減退し、高度経済成長に終止符が打たれたのです。

 

1980年代には石油が供給過多となって原油価格は暴落しました。その後、2000年代になると、OPEC加盟国が生産調整をおこなって石油価格は上昇しています。日本ではオイルショックの経験を踏まえて省エネ型の産業への転換が進められてきました。多くの工場で省エネが図られ、それは現在でも続いています。自動車産業の低燃費化の追求は、自動車の輸出促進に大きく貢献してきました。

原油価格の現状(下落)

経済への影響が大きな原油価格ですが、2014年までは1バレル100ドル前後で取引されていました。しかし、2014年後半には、一時4分の1にまで下落し、2019年現在も最も高かったときの半分程度の価格で取引されています。

 

これは単純に言えば、石油を消費する国から石油産出国へ支払われる代金が少なくなったことを意味することになります。石油を消費している国からすればコスト削減になっているものの、石油産出国からすると大きな減収です。例えば原油で多くの収入を得ているロシアなどは経済的に大きな打撃となります。

 

日本は石油を消費している国なので、石油価格が下落すれば企業のコストは減ります。また石油関連製品の価格も下がっていくでしょう。ただし、石油が下がれば下がるほどよいかというと、それもまた違います。石油価格が急激に動けば、株式市場など資産価格にも影響します。市場は急な価格変動を不安要素として捉えることもあるでしょう。

米国の原油生産の影響力

米国の原油生産の影響力

オイルマネーと言えば、誰しも中東をイメージするでしょう。しかし、2018年の原油生産量トップはアメリカです。2013年まではサウジアラビアがトップだったものの、シェールオイルの開発が進んだことによりアメリカがトップに躍り出ました。

 

さらにアメリカは石油の消費量においても世界でトップ。つまり、アメリカは世界一の産油国で消費国なので、それだけ原油価格に与える影響も大きくなります。

 

特に近年問題となっているのは米中の貿易摩擦でしょう。アメリカから原油を輸入している中国がアメリカ産の原油輸入に課税する懸念、他国からの輸入に切り替える不安から、アメリカの原油価格は下落しています。

 

原油価格が下落することで影響を受けやすいのがアメリカのシェールオイル企業です。シェールオイル企業が原油で利益を出すためには、1バレルあたり平均50ドル以上でなければいけないと試算されています。つまり50ドル前後が損益分岐点です。

 

原油価格が50ドルを割るようであれば利益率は大幅に悪化します。原油価格は1バレル50ドル割れ寸前まで下落した後、現在は50ドル台半ばから60ドル付近にまで回復してきました。アメリカの巨大石油産業シェブロン、チェサピークエナジー、エクソンモービルがどの程度の原油価格下落まで耐えうるのか世界的にも注目が高まっています。

 

石油価格が下落することでアメリカの石油生産が低下すれば、当然世界の市場が反応を示します。また日本の製造業は北米市場への依存が大きく、アメリカの景気は日本の景気を左右することになるでしょう。

 

日本でもエネルギー調達の手段を多様化するなど、原油価格の動向に左右されない仕組みの構築が求められています。バランスが取れたエネルギー戦略を構築できるかどうかが、これからの日本企業が利益を確保し続けることができるかどうかの分岐点になるのかもしれません。

前述の通り、原油価格の変動は株価にも大きく影響します。詳細は楽天証券の海外株式ページから確認できます。アメリカ株や、中国株の変動などの特徴についてもチェックしておいたほうが良いでしょう。

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この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)
Y.O

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

株や社会情勢に興味を持ち、証券会社入社。在籍中にファイナンシャルプランナー2級を取得し、個人の資産運用への理解を深める。退社後に結婚と出産。現在は二人の子どもを育てながらライターとして活動中。

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