アプリでカード番号表示
Project 01
アプリひとつでサービスを完結できる。
カードレス時代のサービス進化につながるプロジェクト。
Project Member
は主幹メンバーです
Step01
サービスの企画
Step02
プロジェクト始動
Step03
開発
Step04
リリース
0カ月24カ月
#01
スマホアプリで完結する将来の決済体験の提供を見据えたサービス。
2021年後半、重要な戦略案件として走り始める。
楽天グループにおけるFinTech事業の中核を担う楽天カード。キャッシュレス決済の普及にも寄与し、より便利で使いやすいサービスや機能を世に送り出している。
そのサービスのひとつが、2023年11月末にリリースされた楽天カードアプリでのカード番号表示サービスだ。スマートフォンの普及により、外出時や移動中などクレジットカードを取り出せない状況でもカード番号を確認したいという需要は高まっている。そこに着目したのが、カード企画部のKeiだった。
(Kei)「ニーズ調査の結果、お客様の要望も高く収益性が高いこともわかりました。また、将来のカードレス化を見据えると、今後必要な機能になると確信し、実現に向けて社内でサービスの提供を提案しました」
Keiはセキュリティ的な課題の解決、詳細な要件定義などを進めていたが、ここで1つ目の壁が立ちはだかる。それは「開発の優先度」だった。
楽天カードでは、開発の設計・実装・監視・運用など、サービス提供の基盤となるITシステムを内製しているため、スピード感をもって新しいサービスや機能のリリースや更新を行えるという強みがある。また「常に改善、常に前進」という楽天ならではの企業文化も相まって、次々と開発案件が生まれている。そのため「数ある案件の中で開発の優先度を勝ち取ることは難しかった」とKeiは語る。
Keiが本件の起案をした2019年当時、Webサイトのセキュリティ強化を図るプロジェクトが最優先で動いていた。Keiの上司は、経営陣に対して積極的にサービスの必要性を説明し続けた。その結果、将来のカードレス化にも繋がる重要なプロジェクトであるという理解が広まり、マーケティング本部全体の戦略案件として認められたのだ。
そして、2021年後半、プロジェクトが本格的に動き出す。
#02
タイトなスケジュールの中、
スピード感をもって進められたプロジェクト。
起案から時間が経っていたこともあり、まず要件定義の見直しに着手した。
プロジェクトには、プロダクトやサービスの企画立案を担う「カード企画部」、Webやアプリのデザインを担当する「編成部」、カードの不正使用対策に取り組む「信用管理第1部・第2部」、そしてシステム開発を行う部門から総勢20人ほどのメンバーが集結。2022年夏からは、Keiと同じカード企画部のTakeが統括的な立場としてプロジェクトに加わった。
(Take)「1人のユーザーとして考えたときに、どんな機能があれば便利なのか、心理的に安心と感じる番号の表示方法はどうすべきかを考え抜いて、サービスに落とし込みました」
さらに、セキュリティ対策を行う信用管理第1部のInosanとも頻繁に協議を重ねた。要件は「アプリでカード番号を見せる」というシンプルなものだ。しかし、楽天カードでは、それまでアプリでもWebサイトでもカード番号の表示は行っていなかった。どこにどのようなリスクが潜んでいるのか。それを確認するために、セキュリティ対策の部署はもちろん、お客様からの問い合わせに対応するコンタクトセンター、法的な知識を持つ法務部など広範囲に確認することによりさまざまな視点から注意深く検証したという。
同時期に楽天カードアプリの仕組みやデザインを一新するプロジェクトも動いていた。早期にカード番号表示サービスをリリースするため、アプリのリニューアルを待たずに、現行のアプリからサービスを搭載することが決定。ここから一気にこの取り組みが加速することになる。
2022年に新卒入社したUtaにとっては、編成部のディレクターとして臨む初めての大型案件だった。
(Uta)「ディレクターは企画、デザイナー、システム開発の橋渡し役です。企画どおりのデザイン、システム実装ができるかどうか。その調整には難しさもありました」
プロジェクトメンバーが最も苦労したこと。それは「セキュリティとユーザビリティの両立」だった。その課題の克服には、楽天カードならではの「One Team」の文化が活きていた。
#03
利便性の高い新たな認証方法を考案し、セキュリティとユーザビリティの両立に成功。
クレジットカードのさまざまな不正使用が急増する今、案件のセキュリティ対策は欠かせない。しかし、単にセキュリティ対策を強化すればいいというわけではない。セキュリティを強化したことにより利便性が低下してしまうと、ユーザーに利用されないサービスとなってしまう。
また、ログイン認証などアプリの仕様を大きく変えることなく、番号表示サービスを搭載する必要もあった。さらに、表示された番号を盗み見られた場合の不正使用にどう対応するかも課題となった。
(Inosan)「信用管理第1部・第2部では、24時間365日体制で不正検知に取り組んでいます。カード番号表示サービスのリスクを低減するために、どのような認証を行うのか。仮にお客様が被害に遭われたときに、どう対応するのか。未然に不正使用を検知する部門だけではなく、不正被害に遭われたお客様の後続手続き対応部門とも連携する必要がありました」
Webサイトのセキュリティ強化で導入されたワンタイムパスワード認証などのリソースも活用。企画を担当するKeiやTakeは、セキュリティ対策、システム開発、そしてデザインを担当する部署と協力して、今までにない認証を考案。さまざまなリスクを想定した機能や設計を取り入れ、ユーザビリティを損なわず、セキュリティを強化することに成功した。
WebディレクターのUtaは、デザイナーや開発メンバーとの調整に多くの時間を費やした。システム開発を進める中で、いくつかのエラーやデザインの体裁崩れなどの問題が発生。そのたびに、企画担当、システム開発担当、デザイナーと話し合いを重ねながら、一つひとつの問題に対処していったのだ。
(Uta)「開発案件に携わるようになって2年ほど。原因を探り、解決策を提案する引き出しはまだまだ少なかった。上司やプロジェクトメンバーのサポートが心強かったです」
(Take)「20代後半から30代前半の上司も珍しくなく、気軽に相談できる。そうした環境も全員が同じ目標に向かい、スピード感をもって案件を進められた要因のひとつだと思います」
#04
事実上のカードレス化を実現!
今後のサービス展開においても重要な役割を担う。
2023年11月。
カード番号表示サービスはリリースを迎えた。
リリース後は、予想より多くのユーザーがサービスを利用。スマートフォンひとつでネットショッピングを完結できるようになったため、EC決済を新たに利用するユーザーも増えた。購買活動の変化で楽天カードの利用が促進され、新たな収益源となっている。
(Take)「このサービスは、決済のさらなるシームレス化はもちろん、クレジットカードを利用することの安全性強化にも繋がると考えています」
スマートフォンだけでカード利用ができるので、クレジットカード自体を持ち歩く必要がなく、紛失のリスクも減る。万が一、スマートフォンを落としても生体認証がなければ番号を表示できないため、安全性が高いことも強みだ。
(Inosan)「リリース以降、現時点(※)で本サービスに起因する不正使用は、弊社で把握している範囲では起きていません。プロジェクトメンバーで協議を重ね、セキュリティ対策を強化してきたことが実証できたと思っています」
※2024年5月23日時点
リリース後の現在は、本サービス機能をより良くするための改善も継続中。また、より多くのユーザーに利用してもらうための施策を予定している。
(Uta)「アプリを使うお客様も増えている中、このプロジェクトで得た知見を活かし、ユーザビリティを強化していきたいです」
「今回のプロジェクトの成功で、楽天カードが目指す、アプリひとつでサービスを完結できる環境にまた一歩近づいた」とTakeは言う。これから展開する新しい仕組みやサービスにおいて、カード番号表示サービスは必須条件になる。ほかの開発案件にも活かせる機能なのだ。
(Kei)「楽天カードではまだ完全な形でのカードレス化には対応できていませんが、モバイル決済とカード番号表示サービスを利用することで、事実上のカードレスを実現できました。楽天カードのお客様の数の多さを考えれば、社会的インパクトも大きいと考えています」
カード番号表示サービスの誕生により、安心・便利に利用できる新たなサービスがどのように進化していくのか。これからの展開が楽しみだ。